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28.ロマンス・グレード

話が進まないのであります(´Д`)

 デザインの確認のため、カルドーラとまた次の日に会う約束をした。

 次は、本の購入である。

 

 学院街の北に直線に走るロマンス・グレード通りがある。ロマンス・グレード通りは別名『書庫通り』と呼ばれていて、古今東西あらゆる書物が集まっている。

 カルドーラの店は、学院街の南西に位置しているため、それなりに距離がある。しかし、今日本を買わないといけない理由がある。――学院のローブを着ていると、本が1割引きで買えるからである。学院の生徒は、将来お得意様になる可能性が高いためだ。本格的な講義がはじまるのは、5日後でまだ猶予がある。でも次の日では、カルドーラにローブを渡してしまうため、実質的に今日しか1割引きにならない。大貴族や大商家ならともかく、伯爵と子爵の中流貴族であるマリスたちにとって、倹約は必要なのだ。

 

 

「一度、寮に戻って良いかしら?」

 ふと、思い出したようにミゼルが言った。

「学院を通過するから問題ないわ。」

「いいよ。」

 二人の了承を得て、ミゼルは寮に戻った。

 

 ***********************

 

 寮から出てきたミゼルの手には、金属の骨組みに布がついたものが三つ抱えられていた。

 

「おまたせしましたわ!」

 ミゼルは軽く息を切らせていた。

 

 ミゼルは折りたたんであった骨組みを開き、布を膨らませる。すると……どこかで見たことがあるようなものがあった。

 

(前世で、おばあさんとかが良く引いてるカートだ!)

 

「これは、この布の箱の部分に荷物を入れて運ぶためのカラクリですわ。車輪の部分に小型のカラクリがあって、腕に負担がかからないように作られていますの。我が家の試作品ですので、お渡ししますわ。使った後、感想をくださいな。」

 つまり、このカートのモニターになってほしいということだろうか。

 

「この中に本いれるの?」

 ロゼが珍しそうに眺めている。この世界では、同じ車輪付きでも、一輪車のような大型のものはあるが、旅行用のケースのような小型のものはまだ無かった。

 

「ええ。この布は耐水性で丈夫に作られていますから、大丈夫ですわ!」

 自信満々にミゼルが答える。

 マリスも、長距離本を持って歩かなければいけないと思っていたので、大歓迎である。

 

 

 **************************

 

 必要な本は、ロマンス・グレード通りですべて手に入れることができた。本をミゼルからもらったケースに入れて、寮への帰路に就いた。

 

「ロゼ、マリス、このカラクリはどうでしょう?」

 寮へ着くと、さっそくミゼルが感想を聞いてきた。

 

「車輪が2つじゃなくて、4つの方が良い。それか、車輪がついていないほうは、何か板をつけてほしい。倒れそうになる。」

 これは、ロゼの意見である。

「布のふたの部分に、小さな鍵がほしいわ。それと、方向転換がしやすいように、もっと車輪が回転するといいと思う。」

 これは、マリスの意見だ。

 

「ありがとう。二人とも助かりますわ!」

 ミゼルは、二人の意見を一生懸命メモしていた。

 

「ミゼル。これは、誰が作ったの?」

 ロゼが疑問を口にした。

 マリスも気になっていたところである。

 

「兄ですわ。」

 

「素敵なお兄様ですね。あってみたいですね。」

 マリスがそういうと、ミゼルがため息をついた。

 

「会いに行かなくても、明日会えると思いますわ。」

 

 ……ミゼルはどこか遠い目をしていた。


ロマンス・グレード通り→始まりはロマンス小説が大好きなグレード婦人が、自分の好きな小説を広める(布教する)ために作った店だと言われている。店の人気に引き寄せられるように書店が集まったとされる。



おそらく、この設定は本編で出てきません。


次回、あの人が登場します。

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