27.再会
最初の講義を1つと、その他の講義の説明を受けたら今日は学校の予定はおしまいである。
とはいっても、やることは沢山ある。
まず、その他の1年間受ける講義の本を購入しなければいけない。学院内部では販売していないため、学院街に行かなければ行けない。
そして、一番大変なのが、ローブを改造してくれる職人探しである。
マリスたちは、寮の先輩に聞くことにした。
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「あ~、それって歴史学のシーディド教授の最初の授業よね。」
副寮長のリリアンが答える。シィーラ寮の副寮長は『フィーピー兄弟』となっているため、リリエンも副寮長である。
「私たちのときもあったわよ。改造の仕方が物足りないと、評価が落ちるのよ。それに、良い職人って言うのは、人が殺到するからね。時間がかかって期日に間に合わないことが多いのよ。学院街に住んでいる職人なら誰でもいいという条件だから、誰か手先が器用な知り合いを探した方がいいわね。紋章を傷つけてはいけないから、信用の置ける人間でないと……。」
どうやら、リリアンたちも相当苦労したようだ。
「知り合いなら、ちょうど居ますわ。」
そこで、ミゼルが何かを思い出したように大声を出す。
「どんな知り合いなの?」
マリスが聞く。
「兄の知り合いで、ちょっと変わった人ですけど、兄の発明を活用してこれから店を立ち上げるという人が!大体どのあたりに住んでいるか分かるので、さあ、マリス、ロゼ行きましょう!先輩ありがとうございます!」
と言うと、ミゼルは強制的にマリスとロゼを連れ出して、その知り合いのところへ向かった。
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「カル姉!」
「あらぁ、マリス!なんでここを知っているの?開店直前に知らせようと思ったのに。」
そこには、孤児院で一緒だったカルドーラがいた。長屋のようにつながった店の一つで開店準備をしていた。
「マリス……、知り合いなのかしら?この方が目的の人ですわ。」
偶然というのは、恐ろしいものである。
「あら?もしかして、ライの大切な妹さんかしら?お兄さんの発明を使って、この店を立ち上げることにしたのよん。まあ、こんな路上で立ってないで、中にどうぞ。」
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マリスたちは、中の従業員専用の部屋に通された。そこで、ここを訪ねたわけを話した。
「ライの発明の『ミシン』っていう布を縫うカラクリを使うのよ。ワタシは服をデザインするのは得意だけど、ちまちまと縫うのは苦手だからねぇ。まだ開店してないから、ミシンとワタシのデザイナーとしての腕があれば、3日くらいで3人分の改造ができるわよ。」
カルドーラは快く、承諾した。自分の腕にとても自信があるようだ。
「時間、大丈夫?」
今まで、空気の気配が無かったロゼが口を開いた。
今まで、開店準備をしていたのだ。開店日も決まっているので、時間はカルドーラが言うほどないに違いない。
「これくらいの時間は大丈夫よ。まあ、その代わりお店の宣伝はしておいてちょうだい。」
冗談交じりにカルドーラは言った。
まだまだ、孤児院メンバーは出る予定です。
ミゼルの兄と26.7話のライは同一人物です。