26.5 番外編・非公式な試験問題閲覧
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実は今回の話は、主人公が全く出ません。
皆さん初登場の方々です。
将来的に重要人物になり、時系列的にここで足した方がよいと判断したため載せます。
後々の展開にとって、重要な場面になる予定です。
明るい日差しが差し込む王宮のとある一室にて、4人の青年がゆったりとした椅子に座り、机に書類を広げていた。
この書類は、王都にある全学院の入学試験の答案用紙だ。もちろん、機密文書扱いで一般人が見れるものではない。
「今年も、無事技術院の入学式が終わったな。さて、この中に高物件(良い人材)は居るかな?」
この中で一番、身なりが良い青年が書類をパラパラとめくっていた。
ふんわりとした金髪に、陽だまりのような笑顔を浮かべているが、目の奥の光り方が尋常ではない。
見た目だけの人間ではないことが窺い知れる。
「これなんか、いいんじゃないですか~。ボクがパラっと見た感じでは、奇抜な感じで面白いですよ~。」
ウェーブした髪を肩まで伸ばした青年が、一枚の紙を皆に見せた。
「ん?……ってこれは、俺のかわいい妹のじゃないか!勝手に見るな!お前が見ると、紙どころか妹まで腐る!ジェイ、お前は見るな!」
「ええー。この答案用紙持ってきたのボクなのにぃ~。ライのけち~。こっそり持ってくるのたいへんだったんだよ。」
ライは、ウェーブの髪のジェイの言葉に耳を貸さず、妹の答案を取り上げた。
「ライ、君の妹は使えそうと言うことでいいじゃないか。ところで二人とも、高物件の選別は進んでいるかな?進んでいるよね。」
ふんわりとした金髪の青年が確認する。口調は柔らかいが、やはり目は笑っていなかった。
「もっちろん進んでマスよ。」
「かなり進んでます。このジェイと違って。」
二人とも、慌てて書類に目を通していった。
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最後の一人、銀髪の青年は書類を三つの山に分けていた。
その中の一つを見て、ジェイが面白そうに笑った。
「フランちゃん、この山はかわいい女の子が多いね~。カノジョにしたい子の候補かな~。公私混同はいけないよ。」
その声に、銀髪の青年が不機嫌そうに青筋を立てながら答える。
「その『フランちゃん』はやめろ。それから、これは『視界にも入れたくない人材』の山だ。」
「ふ~ん。かわいい子多いのにね。遊ぶ分にはいいんじゃない?使い捨てにできるし。フランの女性嫌いもそれなりに直るんじゃない。」
「余計なお世話だ。それにお前もほどほどにしろよ。――この中に、うっとうしい家がある。」
「まあ、めんどくさいのはいやだね。」
ジェイにしては、あっさりとひいた。
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――2時間後
「さあ、皆!選別は済んだね。高物件はどれくらいいたかな。」
金髪の青年の一声で、良い人材の答案だけが中央に集められていく。
「あれ?めずらし~。フランちゃんが女の子を選んでる。」
「フランさん、眼鏡壊れたみたいですね。直しましょうか?」
「フランにしては本当に珍しいね。良い子なのかい?」
上から、ジェイ、ライ、金髪の青年である。
「彼女、嫌がらせ問題全問正解しているんだ。」
嫌がらせ問題とは、技術院で出た数学の問題である。解けないことを前提とし、そこで時間をつぶさせるために作られた問題だ。できる問題、できない問題の取捨選択を迫られる。
「へぇ、後の問題に支障をきたしたわけでもなさそうだね。まあ、どんな理由でも女性に興味を持つことはいいことだね。跡取りも必要だしね。」
「ジオ、お前に言われたくない。」
フランは、金髪の青年ことジオに言い返した。
蛇足かもしれませんが、ちょっと文章力が不安なのでまとめます。
金髪→ジオ
ウェーブの髪で軽い→ジェイ
シスコン→ライ
銀髪→フラン
一応、ニックネームです。