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25.最初の波乱

ちょっと、文章が不安です。


揉め事は少し苦手>△<

マリスは、ベッドからのそりと起き上がると、寝室から出て部屋の入り口に向かった。

入り口の扉にあるのぞき窓で誰が来たかを確認する。――クルクル巻き毛のミゼルだ。


「なんでしょう「こんにちは!マリスさん…でよろしいですわよね?」」


扉を開けた瞬間、いきなりすごい勢いで、ミゼルはマリスに話しかけてきた。

マリスは半分まだ寝ぼけている状態なので、十分な反応ができない。


「一度、皆で談話室に集まりません?」


語尾は疑問系を取っているが、有無を言わせない言い方だ。

現にミゼルは、マリスの扉の取っ手を握っていない左手を、両手でしっかり握っている。


このまま引っ張って連れて行きそうな勢いである。


「わかりました。」

「では、他の皆さんも呼びに行きましょう。」


こうして、マリスは半強制的に部屋から出されることになった。


******************


のこりの3部屋からもミゼルが(・・・・)半強制的に談話室へ連れて行った。


談話室に行くと、男子寮の人たちが居た。こちらも誰かが無理やり集めたらしい。

集めたのは、先ほど「女湯をのぞいた奴はいますか~?」と空気を読まない質問をした人だろう。

なぜなら、今この場を仕切っているのは、ミゼルと彼だからだ。



「はじめまして、俺の名前は、ルートゥス・ハヴィアン・エリザイル。自己紹介からといきたいところだけど、準貴族の俺が仕切んのもアレなので、誰か代わりに仕切ってくれませんか?」


もう十分この場を仕切っている気がする。


「もう十分仕切ってますわ。学院では、準貴族とか貴族とか関係ないでしょう。」


ミゼルがムスッとして言う。身分を持ち出されたのが気に食わなかったようだ。

ルートゥスも「準貴族とか貴族とか関係ない」といった言葉を引き出すために言ったようだ。



「本当にそうかしら?」


ここで、ミリー・ハイランが話の流れに水を差した。

ミリーは、癖が強いオレンジ色の髪を肩にぎりぎり着かないところまで伸ばしている。

マリスの彼女に対する第一印象は「性格キツイよね。きっと」である。


「私は、成績が悪かったから、こっちに飛ばされてきたけど、ヘルティは違うのよ。……貴族のお嬢さんが私と一緒に来るはずだったけど、にらまれてしょうがなくこっちに希望を出したの。」

「ミリーちゃん……。もういいよ……。」


ヘルティがミリーの後ろから弱弱しく言った。ヘルティは淡いクリーム色の髪をみつあみにしている。彼女自身は、準貴族ではないが、彼女の親は準貴族だ。準貴族は、一代限りである。成人前は、親の庇護下にあるため、後ろ盾の貴族の名前が最後尾についている。彼女のフルネームの『ヘルティ・エリサン・ヒルザイト』のセカンドネームの『エリサン』だが、親が準貴族になる前の苗字だ。準貴族の子は成人すると、後ろ盾の貴族の姓が名前から取られることになっている。


もともとヘルティの気性が弱弱しいと言うこともあるが、基本的に後ろ盾となっている貴族、またはその子息には逆らえない。



ヘルティがこのシィーラ寮に来るしかなかったのだ。



とはいっても、後ろ盾のヒルザイト家の息女から離れる口実ができたので、ヘルティとしては良かったと思っている。


「やっと、はなれられるんだもん。」

「それは現実逃避よ。それに、貴族の言うことは信用できない。」


ミリーは貴族に対して、強い不信感があるようだ。



周りがザワザワとし始める。



「それ、八つ当たり。」


その中で、今まで沈黙を保っていたロゼがポツリといった。



「確かに、僕たちが何かをしたと言うわけではないしね。これから寮の中では、身分関係なしということでいかない。呼び方も皆ファーストネームだけでいいかな。」


一番この場で、爵位が高いレックス・コンラル・サラザントが言った。彼は、外交関係のサラザント侯爵の跡取りだ。(彼が貴族の多いアーノル寮ではなく、このシィーラ寮を選んだことを、皆不思議に思っている。)

普通、貴族は知人レベルではファーストネームとセカンドネームを一緒に呼びあう。

マリスだったら、『マリス・カトリーヌさん』と呼びかけられる。

セカンドネームは準貴族以上しか許されていない。そのため、準貴族以上であるという証拠になるからだ。(準貴族の子の2番目の名前は、厳密にはセカンドネームではない。)


セカンドネームを呼び合わないことで、普段の生活では身分間の隔たりをなくすという効果を期待しているのだ。


他の貴族の生徒は、この中で一番家の爵位が高い彼の発言を否定することはできない。

不本意な顔をする者は今のところいなかった。



「では、自己紹介でもファーストネームとファミリーネームだけにしよう。ルートゥス、司会をよろしく。」

「では、お言葉に甘えて。……男子寮と女子寮で交互に部屋に近い順に自己紹介していくというのはどうでしょうか?」



こうして、自己紹介が行われたが、マリスはこれからの寮生活が少し不安になった。


次話から、やっと授業が始まります。

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