24.部屋の内部構造
慌しくリリエンが去ってしまったので、とりあえずマリスたちは自分の部屋に入り荷解きをすることにした。
マリスの部屋は、談話室と洗濯室のちょうど間くらいの距離にある。
この場所が吉と出るか凶と出るかはまだ分からない。
マリスは、さっそく精神力認識を行い部屋に入った。
「広い……。」
これが、マリスが部屋にはいったときに感じた印象だ。
寮ということで、部屋はもっと狭いとマリスは思っていた。
履物を脱いで(くつろぐためか、履物を脱ぐスペースがある)、最初に入った部屋は、マリスが前の世界で住んでいた1LDKのアパート(就職した当初住んでいた)が、一部屋分はいってしまいそうな広さだ。
しかも、寝室のスペースが別室として確保してあり、収納スペースも沢山あるようだ。
ただ、残念なことに洗面所はあってもトイレはない。
この王都の下水と排泄物の管は違う。きっと、処理の関係でトイレをたくさん置けないのだろう。
そして、一つだけ小さなコンロがあった。この国のコンロは、精神力を流すことによって発火するようになっている。
定期的に中に入っている鉱石に精神力を充電しなくてはいけない。今は、どうやら空のようだ。どちらにせよ、2人以上の精神力が鉱石の中で混じり合うと反発し合うことが多いので、一度中に入った精神力を空にしないといけない。
寝室に入ると、ベッドの上に布団がすでにセットしてあった。布団をめくると、敷布と同じくらいの大きさの布の袋が入っていた。袋の端がベッドの下においてあるカラクリに繋がっていた。
カラクリに貼り付けてある紙には『乾燥カラクリ』と書いてあった。
(もしかして、これって布団乾燥機!?)
これなら、部屋の中で布団を乾燥させることができる。
さすがに、技術院は違うとマリスは思った。
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部屋のチェックが終わり、荷解きも終わった。
元々、あまり多くの荷物を持ってきていない。全寮制だが、自由に屋敷に戻れる距離である。必要になったら、屋敷に取りに戻ればいいという考えだ。
さっそく、マリスは乾燥カラクリ(布団乾燥機)でフカフカになった布団に大の字で横になってみた。
まだトイレの場所を確認していないし、明日から始まる授業の準備もしなければいけないのだが、マリスは布団の暖かさに負けてついうとうとしてしまう。
(このふかふかのお布団がいけないのよ!)
完全に布団が悪者になっている。
シュタイン家でもメイドさんが布団を日中干してくれていたが、乾燥したての布団の暖かさには負ける。
後もう少しで、夢の世界へ旅立つという時……
“ゴン!ゴン!ゴン!”
無情にも、部屋の扉が叩かれた。
なかなか学院生活が始まりません。
でも、内部構造はおさえておかないと後々苦しいのです。
ご理解くださいませ。