22.寮案内(1)
寮の設定を考えていたら、いつのまにか時間が経っていました。
すいません。
そして、いつのまにか、評価が上がっていました。
皆様ありがとうございます。
シィーラ寮を第1希望にした15人のうち、女性はマリスとロゼと謎の巻き毛少女だけだった。ちなみに、他の寮から流れてきた3人(他寮が人数オーバーで流れてきた)の内訳は、男性1人に女性2人だった。
つまり、今年の入学者のうちシィーラ寮に入る女性はたった5人だけなのだ。
マリスたちは、入る寮が決まるとさっそくクロークから荷物をもらい、シィーラ寮に向かった。
シィーラ寮は4階建てで、左右対称なつくりになっている。
寮のエントランスを抜けると、大広間が広がっていた。
大広間には、眼鏡をかけた細身の男性と、ちょっと派手な印象の女性が待ち構えていた。良く見ると、その2人は、性別とめがねの違いだけで顔がそっくりである。
「みなさん、シィーラ寮へようこそ!俺は、シィーラ寮副寮長のハリソン・デル・フィーピー。隣にいるのは、僕の双子の姉のリリエン・デル・フィーピーだ。君たちは、この寮について寮長から何か聞いているかな?」
(……寮長?)
新入生の頭の中には、はてなマークが広がった。
「ほら、君たちをここまで連れてきた彼だよ。」
みんなで指を指された方を見ると、寮の紹介をしていた先輩がいた。
「寮長!もしかして、名乗っていなくて、だまってつれてきたんですか?」
リリエンが寮長を問い詰める。もう、どっちが寮長か分からない。
「いや…ね。みんなヒヨコみたいにひょこひょこついてくるから…。」
寮長が口ごもりながら言い訳をする。
自分の発明の紹介をしていたときの自信はもうどこにも見受けられなかった。
「それ、言い訳になりますか?もういいです。あなたを行かせたのが間違いでした。俺たちが責任をとって、新入生たちに説明をするので、寮長はもう部屋で休んでいてください。」
さらに、ハリソンがめがねを指先で押し上げながら止めをさした。
……この寮長は人望がないらしい。
なぜ、この人が寮長になったのだろうか……。
それは、彼が優秀な発明者だからである。(ガラクタもたくさん生産しているが…)
皆で、しょんぼりと階段を上がっていく寮長を見届けた後、副寮長たちは新入生の方へ目線を向けた。
「では、いまから皆さんに、この寮の使い方とルールを教えます。この寮には最新鋭の設備が備わっています。順番に説明していきますね。今、私たちがいる大広間は、このシィーラ寮のロビーであり寮の人間が全員集まるときに使います。掲示板にも何かお知らせが載っていることがあるので、定期的に見てください。広間のむかって左側にあるのが女性用風呂場、右側が男性用の風呂場です。」
と、ここで勇気ある質問を入れた者が居た。
「女湯をのぞいた奴はいますか~?」
「浴室周辺には、実験的に作成されたカラクリが多数置いてあります。非人道的なものも多くあり、最近では逆さづりになった男子生徒が発見されています。かかった罠が、薬を打ち込むタイプではなかったのが残念です。」
今、さらっと恐ろしいことを言った気がする。かなりやばい罠があるようだ。
「この1階のことで何か質問のある人はいますか?」
だれも、質問しなかった。
ちょっと長くなりそうなので、(2)に続きます。