10.経済状況把握
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皆様、ありがとうございます。
シュタイン家の屋敷には、使用人が何人かいる。
執事→一人
門番(兼、馬車の御者、兼、馬の世話係)→一人
掃除兼食事係→一人(大掃除が必要な時期は臨時で人を雇う)
掃除兼洗濯係→一人
庭師兼警備→一人
5人で全員である。
ちなみに、シュタイン家は建国当初からある由緒正しき貴族のため、屋敷の敷地面積だけでなく、床面積も大きい。
掃除係のメイドさん(年配の女性たち)2人では、屋敷の掃除は行き届かない。2人で屋敷全体の掃除をするためには、1週間かかる。掃除の合間に食事作りや洗濯をするのだ。
門番は、普段は家畜の世話をしている。門の呼び鈴がなると、門へすっ飛んでいくのだ。
子爵が外へ行くときは、馬車の御者になる。
門番が、馬車の御者になっているときの門での訪問者の対応は、庭師が行う。庭師は警備も兼ねている。草を刈るついでに、周辺を見ている程度だ。
ちなみに、こんな警備でも盗賊の被害にあわないのは、広大な荒地にある。荒地を見た瞬間、悪人たちは、屋敷に金銭が無いことを悟るのだ。
畑が荒野になっているのは、お金が無いからというより、耕す人間がいないからである。
執事のおじいさんは何をしているかというと、使用人の統括もあるが、大きな仕事は雑用である。
物品の調達や各種の手配をすべて執事1人が行っている。
屋敷の敷地内の畑が無くても、領民が耕している、領地からの税収によってシュタイン家は十分やっていけるはずだったが、約10年前にヴェルトシュタイン家に農作物の流通を完全に抑えられてからは、作物の値段が著しく下がった。市井に出回る作物の値段が下がったわけではない。そのせいで、税収は一気に少なくなった。
そこから、若い人を中心に使用人たちが一気にやめていき、残っているのは古参のものたちだけになったのだ。
それからは、シュタイン子爵は、古参の使用人以外信用できなくなった。金銭は足りないわけではなかったが、収入が減ったこともあり、新たに使用人を募集することもしなくなったのである。
状況を知ったマリスは決意した。
「独自の流通経路をつくり、経済状況を立て直す!」
そして、コメを作る余裕をつくり、白いご飯を食べるのだ。