8.5 閑話 お別れパーティー
閑話です。
マリス出番ないです。
マリスが孤児院を出るということで、急遽お別れパーティーが開かれることになった。
お別れパーティーは通常の場合、学院の卒業シーズンに全体で一斉に行われる。しかし、この年のお別れパーティーは終わってしまったばかりだった。そのため、マリスのために小規模なパーティーを開くことになった。
参加できる人だけ、準備はマリスのグループの人でというパーティーである。
今のマリスのグループのメンバーは、リーダーはオネエなカルドラ(カル・カル姉)、ソバージュヘアーのスタイル抜群のピッサが副リーダー、そしてミーザが出た後新たに入ったリリアル(注:男性)がいる。
準備の間、マリスは他のグループへお別れの挨拶(という名のお手伝い)へ行っている。
「リリア~ン?そこのクッキーあなたのバカ力で砕いてくれないかしらぁ」
オネエの口調のカルドラが、ボウルでケーキの種を泡だて器でかき混ぜながら、近くで飾り付けをしていたリリアルにお願いした。
「リリアンじゃねぇ!リリアルだ!!!って、カル姉の方がバカ力だろっ」
そこは譲れないらしい。リリアンでもリリアルで正直どっちでもいいと思う。
「いやぁね。私がそんなことできるわけないじゃない。」
「アンタも男だろっ」
「私は男も女も超えた存在になるのよ。気品が大切なのよ!気品!」
「男も超えるんだったら、楽勝だろ!」
クッキーを目の前にして、不毛な言い争いが続く。
そんな二人の目の前にこぶしが振り下ろされた。
ドガっ。ガゴツ・バキバキバキ
ピッサ(注:女性)の拳がクッキーに炸裂した。
袋に入っていた硬いロッククッキーが、すべて砕けた。
「簡単じゃないの。何やってるのよ。あんた達。時間ないのよ。さっさとやりなさいよ!」
ピッサの怒りも炸裂した。
「「ゴベンナサイ。」」
その後、あっという間にパーティーの準備は整った。
しかし、肝心の主役、マリスは他のグループからなかなか戻ってこれなかった。手伝いに熱中しすぎてしまったのだ。
マリスは自分では、冷めた性格をしていると思い込んでいる。でも、実は一度熱中すると抜け出せない性格なのだ。
ゴベンナサイは誤字じゃないです。
11月23日 改訂しました。