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猪瀬春太に向かって正面からゲイだと言ってしまった。


これでは、今朝、彼の告白未遂をしっかり目撃したことを自白したも同然だ。



「ごめん。軽率だった」



綾斗が慌てて失言を撤回しようとするよりも先に、猪瀬春太が謝罪を口にした。


その潔い謝罪が予想外で、綾斗はまたしても面食らう。



「・・・いや、こっちこそ変なこと言った」


「うん」



その「うん」はどういう意味の「うん」なの?


うん、変なこと言ってたねのうん?


それとも謝罪を受け入れますのうん?



「確認していい?」



いやだけど。


と思ったが、聞かずに拒むのはよくないか、とも思ったので、無言で促した。



「ゲイじゃないの?」



やはり聞かなきゃよかったな。


ほぼ初対面の相手にいちいちセクシャリティを尋ねられるのはうんざりだ。



「そうだけど。信じないなら別にいい」


「いや、信じるよ」



間髪入れずに断言するから、思わずその目を見てしまった。


冗談めかしているわけでも、真面目腐っているわけでもなくて、嘘か本当かよくわからない。


ただひとつわかったのは、やはりこの顔はあまりに美しくて、目を合わせてもあまり緊張しないということだ。





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