表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/16

10


つまり、なんだ。


この完璧超人は、西脇へ恋をしており、彼女ができたとの報告に返信ができずにいる、と?


連休明け初日の、それもまだ登校すらできていない朝っぱらから、情報量多くないか?



猪瀬春太のスマホから目を逸らせずに固まる綾斗と、告白のメッセージを打ち込んだまま送信ボタンを押せない猪瀬春太。


短い膠着状態を経て、先にアクションを起こしたのは猪瀬春太の方だった。


右手の親指をキーボードの右上へ移動させた猪瀬春太は、少し躊躇いを見せた後、勢いよくバックスペースボタンに触れる。


まるで逆再生のように、短い愛のメッセージはあっけなく消えてしまった。


改めてメッセージを入力することはせず、『おめでとう』のスタンプだけを送る。


その勢いのままスマホの電源を落とした猪瀬春太は、ひどく脱力したように背もたれにもたれかかった。


スラリと細く長い指の、大きくて綺麗な手が、愁いを帯びた目元を覆い隠す。


そのまま撫で下ろして顔を拭った猪瀬春太は、目を閉じたまま天を仰いだ。


彼の後頭部がこつんと車窓にあたる様さえ、映画のワンシーンのようだ。



その時、ガタンと電車が揺れて、綾斗の体は少しふらついた。


バランスを取るために足を踏みかえると、座席に腰掛ける猪瀬春太の膝に足がぶつかってしまう。


反射的に目を開けた猪瀬春太が見たのは、自身を凝視する綾斗の不審な姿だっただろう。


驚きに目を見開くお互いの視線が交わり、再び綾斗の時は止まる。



混乱極まる綾斗には、向けられた視線がトリガーとなった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ