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男子校は意外にも、同性愛に厳しいらしい。



入学早々、生来悩まされてきた赤面症により、綾斗は『ゲイ』の烙印を押された。


思春期男子が集う閉鎖的な世界で、セクシャリティに関する話題は、それなりに興味を引き付ける力があったようだ。


その拡散力はすさまじく、クラスの隅っこにいる冴えない自分であっても、ゲイという言葉を伴って有名人にしてしまうほどだった。



『ゲイ』になって、もうすぐ半年。


綾斗は、なかなかに惨めな学生生活を送っている。



「なぁー、お前ってネコって方なの?」



二時間目と三時間目の間の休み時間。


机に突っ伏して寝たふりでやり過ごそうとする綾斗に、一軍陽キャが話しかけてくる。



「えー、無視ですかぁ?話しかけてんだけどわかる?あやちゃ~ん?」



呼びかけと同時に肩を捕まれ、無理やり上体を起こされた。



「やっぱり起きてんじゃん。無視すんのはひどくね?」



傷つきましたとでも言いたげな口調だが、その顔には下卑た笑みが浮かんでいる。


自身を嘲る複数の視線を受けて、綾斗は軽く握った拳で無意識に鼻元を隠した。


人差し指の関節が、顔の半分を覆うマスクに触れる。



「ご、ごめん」



一言、謝罪の言葉を口にするだけで、「ごめんだってさー!」ぎゃははははと笑われた。


机の周りには四人のクラスメイトがいて、その四人の向こう側には、傍観者の立ち位置で、安全にいじめというコンテンツを楽しむクラスメイトがいる。



男だけの社会が、こんなに排他的なものだとは思わなかった。


アニメや漫画で仕入れた知識では、男は友情に熱く、おおらかで細かいことは気にしないし、干渉もしないはずなのだが。



そう思っていたからこそ、綾斗は進学先に男子校を選んだのだ。




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