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ローファンタジーショートショート

寿命通知

 銀行で通帳を記帳したとき、私は小さく首を傾げた。

 最後の一行に、見覚えのない文字が刷り込まれていたのだ。


「寿命残高 84年」


 最初は印字ミスかと思った。しかし何度繰り返しても同じ場所にその文字が現れる。

 家に帰って机に通帳を置いておく。寝ればこの奇妙な夢も覚めるのではないかと期待して。

翌朝に机の上を確認すると、昨日置いたのと同じ場所に通帳が置いてあり、そこにはやはり「寿命残高 84年」と印字されていた。

私はもう一度銀行で印字してみる。すると今度は数値が「83年364日」と減っていた。


 半信半疑のまま数週間が過ぎる。その間に私は何度か銀行に行って印字して確認を行った。基本的には一日ずつ印字された寿命は減っていたのだが、食事を抜いた日には減りが早く、休日に散歩した翌日は少しだけ回復している。

 やがて私はこれが「本当に寿命の残高」なのだと確信するようになった。


 その日から私は、通帳を何度も何度も記帳するようになった。残高を減らさないために、笑顔を作り、健康的な生活を意識するようになった。


 ──だが今朝。いつものように記帳すると、通帳の一行はこう変わっていた。


「寿命残高 0年0日」


 私はまだ息をしているはずなのに。

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― 新着の感想 ―
残高0という不可思議な数字には、原因不明の存在を感じます 主人公さんでない、何か別の寿命なのかという考えもありますが、真相は謎ですね
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