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天泣7


第7話 










「私はファーニス王国、レーシア神殿所属の"聖女"レイスリーネ・アニュラスと申します」







リーネが下げた頭をゆっくりあげると"聖女か・・・"と呟きが聞こえ、クラウスは呆れた表情でリーネを見た――


「これはまたとんでもない大物がお忍びで来訪したようだ」

「私個人的欲望で来たのでベルゼフ神官長には口止めしたんです」

「だが、よくレーシア神殿のものは君を外に出すことを許したな。聖女の地位をつく者は皆神殿からは出ないのが普通だが」

「えぇと、置き手紙残して脱走してきました」


「・・・・・・・」


クラウスはリーネの発言に眩暈を感じた。


この娘は今なんと言った?

脱走と言わなかっただろうか・・・・


「脱走?」

「はい、脱走してきました。だって普通に言っても絶対神殿から出してもらえなそうですし、出してもらえても手続きでやたら時間がかかるし護衛を付けられるわきっと私の思うように行動させてもらえないでしょうから」


『とんでもないじゃじゃ馬だな』


地狼グレイも呆れたように呟いた。


「今頃ファーニスは大騒ぎだろうな」

「・・・まぁ、多分?」


目線を彷徨わせたリーネ。

一応自分のしたことについてのことの大きさはわかっているようだ・・・いや、わかっていながら行動に移してしまうなんて性質が悪すぎる―――


クラウスは溜息を吐いた。

そんな彼にリーネはおずおずと少し気になったことがあった。


「あの・・」

「なんだ?」

「なんだか、少し口調が変わってないですか・・?」


そう、私が身分をあかしてから彼の口調が少々変わった気が・・・

先ほどまではどこか丁寧な口調だったのに今はなんだか少し砕けた?ような・・・


「あぁ、さっきまでのは外面ようだ」

「外面ようって・・・」


な、なんだそれは・・・


「立場上色々使い分けてるんだ。人の良さそうな雰囲気を出した方が色々とやりやすい」

「・・・そ、そうですか。でも何で急に」

「君は立場的に俺と同等の地位になる"聖女"ならば。それなら普通に話した方が俺的に楽だ・・・正直

あの話し方は疲れるんだ。たまにぼろがでるしな」

「・・・」

「それよりレイスリーネ、君はなんて置き手紙を書いて来たんだ」

「"ちょっと出かけてきます"って」


これはもう駄目だ・・・眩暈どころか倒れそうだ。

クローク王国まで来ていてちょっと出かけるレベルではないだろうに・・・


こめかみを押さえたクラウスは口もとを引きつらせながら告げる。


「今日はとりあえず遅いから神殿に戻れ、明日ベルゼフ神官長に事情を話してファーニスと連絡を取る」

「えっ!?」


思いっきり顔を顰めるリーネ。


「君がここにいることをファーニスに知らせるべきだ」

「ぐっ、それは・・・でも知られたら戻されるじゃないですか!私はまだ戻るわけにはいかないんです!」

「君の目的は達成されただろう?」

「確かにティアの相手のリュカオン殿下には会いました・・・けれと、彼が女ったらしだと聞いてそんな人に私のティアを任せられるかどうかまだ確認できてません!」


・・・しまった、俺はどうやら余計な事を言ってしまったようだ――・・・


深い溜息を吐くクラウス。


「グレイ、レイスリーネを神殿へ送ってくれ」

『わかった。行くぞ娘』

「・・・」

「レイスリーネ、まずは明日話をしよう。返事は?」

「・・・わかりました」


しぶしぶ頷いたリーネはグレイの後を追い温室を後にした。

残されたクラウスは椅子に腰をおろし冷めた紅茶を飲みほしたのだった――‐










温室を出て歩くリーネとグレイ――・・・


リーネは大きなため息をつき「あー、もうちょっといたかったのになぁ」とぼやいた。

そんな彼女に地狼グレイは口を開いた。


『レイスリーネよ、我が主は話のわかる人間だ。此処に残りたいのならお願すればよい』

「お、お願いって・・・」

『我が主は懐に入れた人間には優しい、お前はどうやら我が主に気に入られたようだし聞き入れてくれるだろう』

「そんなに簡単にはいかなさそうだけど、あの人・・・」

『まぁそれは否定できないが、主は気に入らない相手にはとことん本性はださず人の良い青年を演じる。要は自分のテリトーリーには簡単には踏む込ませない人間だ。レイスリーネはそのテリトリーに入ることが許されたようだ』

「・・・なんで?」


眉をしかめ怪訝そうにする。

だって彼と話すのは先ほどが初めてだ、それなのに気に入られるような場面などあっただろうか・・・?


『肉を遠慮なく食らうそなたに好感を持ったそうだぞ』

「・・・・・・・・・」


な、なんだそれは・・・

肉を遠慮なく食らうって、もしかしてローストビーフのサンドイッチのことだろうか?確かに一番に手をつけた。ってあんな分厚い肉をふんだんに挟んでるんだよ!?食べなきそんでしょう!


グレイは人間でいうと忍び笑いを浮かべ言った。


『何はともあれ、明日ちゃんと話をつけるべきだな』

「うー」


リーネは盛大溜息を吐いたのだった―――













クラウススの口調の変化・・・なんだか微妙にわかりにくいかも、です(汗)


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