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第2話 未来からの助言

1か月後。


鏡の事は概ね忘れかけていた。


いつものように学校へ行き、授業を受け、そして家へ帰る。

もちろん下校途中に友達と遊びに行くこともあるし、日曜日は一日中、友達と遊んでいることもある。


ある日、一人部屋にいると、どこからともなく声が聞こえてきた。

耳を澄ますと、外からではなく明らかに家の中から声がするようだった。


目を閉じながら、その声に集中すると、どうやら押入れの中から声がすることがわかった。


「どういうことなの?」


私は恐る恐る、押入れを開けてみると、例の箱があった。

ここで私は鏡の事を思い出した。


「ひかる、いるんでしょ?」


箱の中から声がする。

後ろを振り返ると、開いたカーテンの隙間から月が覗いていた。


震えながら箱を開け、鏡を取り出し、覗いてみると、

そこには以前見た5年後の私だと思われる人物が映っていた。


ただ、前のように私の動きと連動しているわけではなく、

独立して動き、話しかけてきた。


「私は5年後のあなた。」

「あと数日であなたの友人に危機が訪れます。」


「友人って、屈子の事?」


「そうです。」

「学校の屋上から、風に煽られた紙を拾おうとして転落。死亡します。」


「あらかじめ屈子に教えておけばいいの?」


「具体的に教えてしまうと、過去が大幅に変わってしまって、別の危機になる可能性が高いです。」

「本人には教えずに、そっと助けてください。」


月が陰ったのか、鏡は元に戻った。


鏡を改めて見つめ、今までのことが夢だったのか、なんだかわからない不安感があったが、

とりあえず、屈子のことを見守ることを決意した。



翌日。


屈子が「おはよう!」と元気な声で言った。


私も「おはよう」と返事をし、屈子の顔をまじまじと見つめた。


屈子は『どうしたのかな?』って顔をしていたが、そのまま席へ着いた。



数日、屈子を見ていたがとくに何も起きなかった。


私は『あの出来事は夢だったんだ。何も起きなければいいけど。』と思っていた。




そう思っていた翌日。


「学校の屋上から、富士山が見られるんだね。知らなかったよ。」


そう言うと屈子が屋上へ向かっていった。


私は緊張が走った。


もちろん、私も付いていった。


なにやら、屈子はここら辺の地図を印刷した紙をもって、方向を調べていた。


私は地図を取り上げ、屈子に見えるように持った。


「私が持っていてあげるよ。そのほうがやりやすいでしょ。」


屈子は私の持っている地図をまじまじと見ながら、

方向を調べ、富士山を見た。


「すごく小さくて、よく観ないとわからないけど、確かに観えるね。」


屈子は嬉しそうに観ていたが、私はドキドキしてそれどころではなかった。


しかし、何事も起きなくて、私のドキドキもすこし抑えられた。


さて、帰ろうと思って、屈子が振り返った瞬間、風が吹き体のバランスが崩れた。


フェンスに手をやり、ほっとしている屈子だが、その時フェンスが小さな音を立て崩れた。


「きゃ~~。」と屈子は叫び、そのまま体が落ちていった。


しかし、フェンスの下のほうのまだ壊れていない箇所に掴まっていた。



私はまだ臨戦態勢を解除してなかったので、すぐに屈子の腕を掴み、助け出した。


屈子はあまりの出来事に声が出なかった。


私もある程度の予測はできたとはいえ、その場でへたり込んでしまった。



叫び声に反応して、先生たちも来て、その後、屋上の使用は禁止になった。



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