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ユニーク賢者物語外伝 〜青き戦鬼の章〜  作者: ハヤテ
第6章 「友」との再会
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第97話 邂逅・3


 天照大神。


 それは、水音ら勇者達の故郷「地球」……正確に言えば、祖国「日本」の神の1柱にして、その代表ーー「主神」とも言える存在の名前である。当然、それは水音も知っている話だ。


 そして今、異世界エルードにて、


 「私は天照大神。日の本の『太陽』を司る女神。『アマテラス』って呼んで良いからね」


 その「天照大神」を名乗る女性が、春風のスマホから出てきて、水音達の前に現れた。


 (……って、え? ちょっと待って、何この状況!?)


 突然の事に対して、水音は心の中で驚きに満ちた声をあげた。当然だろう、春風との再会からの、「邪神ヘリアテス」との邂逅。その後すぐに、「日本の主神」を名乗る女性が現れたのだから。


 (ど、どうしよう! これ、どういう反応をすればいいんだ!?)


 と、水音は助けを求めようとしてチラッと周囲を見ると、進達も水音と同じように困惑の表情を浮かべていたので、


 (で、ですよねぇ)


 と、ガクリと肩を落とした。


 その時だ。


 「え、えぇっと、『天照大神』って確か、私達の祖国『日本』の主神でしたよね?」


 と、美羽がタラリと汗を流しながら、目の前にいる『天照大神』を名乗った女性に向かってそう尋ねてきたので、


 「ええそうよ。私が日本の主神……神様の、天照大神。あぁ、さっきも言ったけど、『アマテラス』って呼んで良いからね」


 と、「天照大神」と名乗った女性……以下、アマテラスは「ふふん」と胸を張りながらそう答えた。


 その答えに反応したのか、


 「あ、あの! 本当に……神様なんですか」


 と、歩夢もアマテラスに向かってそう尋ねてきたので、


 「だから言ってるでしょ? 私はあなた達の故郷『地球』の神の1柱なんだってば」


 と、アマテラスは「信じてよぉ!」と言わんばかりに頬を膨らませながらそう答えた。


 その答えを聞いて、


 (いや、そんな『信じて!』と言わんばかりに頬を膨らませても……)


 と、水音が困惑の表情を浮かべながら、心の中でそう呟くと、


 「おいいい雪村ぁ! これ一体どういう事だぁ!?」


 「そうだよ! 何でここに『日本』の主神様が出てきたの!?」


 と、進と耕が春風に掴みかかり、


 「ていうか、そのスマホ! 何で雪村君ここでスマホ使えるの!?」


 「アタシらのスマホ、全然動かないんだぞ!」


 「雪村君、なんかずるい」


 と、祭、絆、祈が、春風が()()()()使()()()()について問い詰めてきた。


 その答えを聞いて、


 (あ! そういえば……!)


 と、水音も今になってハッとなった。


 スマホ自体は水音もこの場に持ってきてるが、エルード(この世界)に召喚されてから、幾ら操作しても全然反応する事はなかった。しかし、目の前で春風がスマホを普通に操作しているのを見て、


 (あ、あれ? 何で……?)


 と疑問に思っていたが、その後すぐにアマテラスが現れた事によってその疑問が思考の片隅に追いやられてしまったのだ。といっても、祭達が春風を問い詰めたおかげで、再びその疑問が浮かび上がったが。


 まぁそれはさておき、進達に問い詰められた春風は、それに「うわ!」と驚きながらも、


 「あー、みんな取り敢えず落ち着いて、その辺りについては、ちゃんと説明するから」


 と、皆を落ち着かせた。


 その後、進達が春風から少し離れると、春風は「よし」と頷いて、


 「まずみんな、この方は俺達の祖国『日本』の主神アマテラス様で間違いないよ」


 と、全員にアマテラスを紹介した。


 それを聞いて、


 (あ、ああやっぱり、神様なんだな……)


 と、水音が納得の表情を浮かべていると、春風は手に持ってるスマホを周囲に見せるように差し出して、


 「そしてこいつはね、アマテラス様を含めた『地球の神々』によって改造されたんだ」


 と、説明した。


 その説明を聞いて、


 (な……)


 『な、なんだってぇえええええ!?』


 と、水音をはじめとした勇者(クラスメイト)達が驚いていると、


 「で、その後『見習い賢者』の力に目覚めた俺が更に改造した、俺のオリジナル魔導具第1号なんだ」


 と、春風はそう説明を続けたので、


 (な……)


 『な、なんだってぇえええええ!?』


 と、水音達は更に驚きの声をあげた。


 そして、


 「因みに、これを媒体に魔術も発動出来る」


 と、春風がそう説明に付け加えると、


 (にゃ……)


 『にゃ、にゃんだってぇえええええ!?』


 と、水音達はかなりおかしな驚きの声をあげた。特に、耕、祈、歩夢、恵樹、詩織の5人は、春風の説明に目を大きく見開いていた。


 その叫びから少しすると、


 「ず、ずるいぞ雪村ぁ!」


 「そうだよ! なんか羨ましいよ!」


 「なぁ、俺のスマホも出来ねぇか!?」


 「あ、なら私も!」


 「わ、私も、お願い!」


 と、皆、自分のスマホを取り出しながら春風に詰め寄った。当然、


 (ぼ、僕のも! 僕のもぉ!)


 それは、水音も一緒だった。


 その時だ。


 「はいはい、みんな落ち着いて」


 と、アマテラスが手をパンパンと叩きながらそう言ってきたので、水音達はハッとなって落ち着きを取り戻し、春風から離れた。


 それを見て、アマテラスが「うんうん」と頷くと、すぐに真面目な表情になって、


 「日本の子供達。全員じゃないけど、こうして無事でいてくれて、本当に良かった」


 と言うと、


 「あの時助けられなくて、本当にごめんなさい」


 と、最後にそう付け加えると、水音達に向かって深々と頭を下げて謝罪した。


 その謝罪を聞いて、水音達は「え?」一瞬何を言ってるのか疑問に感じたが、すぐに「勇者召喚」の時の事だと理解して、


 「あ、ああ、そんな! 頭を上げてください!」


 「そ、そうです! 私達こうしてピンピンしてますし!」


 と、皆、大慌てでアマテラスに頭を上げてほしいとお願いした。


 その後、アマテラスはゆっくりと顔を上げて、


 「ふふ、みんなありがとう」


 と、水音達に向かってお礼を言うと、再び真面目な表情になって、


 「さてと。次は、こっちね」


 と、イヴリーヌ、キャロライン、レオナルド、アデレードに視線を向けるのだった。


 

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