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ユニーク賢者物語外伝 〜青き戦鬼の章〜  作者: ハヤテ
第6章 「友」との再会
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第95話 邂逅


 「あー、皆さん。取り敢えず、中に入ってください」


 と、春風にそう言われるように、水音達は彼が「家主」をしているという大きな家の中に入った。中は掃除が行き届いているか結構綺麗で、それを見た水音達は「おぉ……」と感心していると、


 「それじゃあ皆さん、こちらにどうぞ」


 と、何故か丁寧な口調の春風に、広い部屋に通されたので、


 「えっと。春風、この部屋は?」


 と、水音が恐る恐るそう尋ねると、


 「食堂だよ。ここでみんなでご飯食べるんだ」


 と、春風はニコッと笑いながらそう答えた。


 その後、


 「じゃあ、ちょっと待っててね」


 と、レナが1人食堂を出て行くと、


 「ねぇ、フーちゃん」


 と、歩夢が春風にそう話しかけてきたので、


 「ん? 何、ユメちゃん?」


 と、春風がそう返事すると、


 「その……あの人達は?」


 と、歩夢はチラリとアメリアとエステルを見ながらそう尋ねてきた。その質問を聞いて、


 (そ、そうだよ春風! 彼女達は一体何なのさ!?)


 と、水音は問い詰めたい衝動を抑えながら、目をカッとさせて春風を見ると、


 「ああ、彼女達はアメリアさんと妹のエステル。2人もここで暮らしてるんだ」


 と、春風はそうアメリア達を紹介した。


 その紹介を聞いて、歩夢は「そうなんだ」と何処か悲しそうな表情で春風にギュッとしがみつくと、


 「大丈夫だよ。彼女達はディックとピートと同じく仲間……というより、家族……みたいな存在だから」


 と、春風は自信なさげにそう答えたので、


 (いや、何でそんなに自身なさそうに答えるんだよ!? ええい、こうなったら……!)


 と、水音は「怒り」で体をブルブルと震わせた後、


 「あれ? そういえば春風。君、彼女に『兄さん』って呼ばれてたよね?」


 と、さも今気付いたかのようなわざとらしい態度で春風に向かってそう尋ねた。


 その質問に対して、


 「え? ああ、うん。一緒に暮らす事になった時にそう呼ばれる事になちゃったんだ。だから、言ってみれば、アメリアさんは『姉さん』で、エステルは『妹』みたいな存在……かな」


 と、春風は「はは」と苦笑いしながらそう答えると、


 『なぁあにぃ!?』


 と、進をはじめとした男子クラスメイト達がそう驚きの声をあげて、


 「何事!?」


 と、春風も驚いていると、


 「雪村、テメェ! マイホームや弟2人だけじゃなく、美人の姉と可愛い妹まで作ってただとぉ!?」


 と、鉄雄が春風の両肩を掴んできて、


 「雪村君。君、この2ヶ月間で随分とこの世界をエンジョイしてたんだねぇ」


 と、恵樹が黒い笑みを浮かべながらそう言ってきた。


 当然、水音も、


 (いや、ホントだよね。僕達をかなり心配させといて……)


 と、ジト目で春風を見つめた。


 いや、水音だけでない。進や耕、更には歩夢ら女子クラスメイト達までもが春風をジトーッと見つめていると、


 「いやぁ、そのぉ、エンジョイっていうか……」


 と、春風は滝のようにダラダラと汗を流しながら、何とか説明しようとしたが、全員に睨まれている為、その先の言葉が出てこなかった。


 その時だ。


 「お待たせ」


 と、レナが戻ってきたので、水音達は


 (あ、戻ってきた……)

 

 すぐに彼女に視線を向けると、


 (ん? ()()()は誰だろう?)


 と、レナの傍に1人の幼い少女の姿があったので、水音は思わず首を傾げた。


 見たところ10歳から12歳くらいに見える長い金髪と金色の瞳を持つその少女に、水音は一瞬見惚れたが、彼女がレナと共に食堂に入ってきた次の瞬間……。


 ーードクン。


 (うっ!)


 水音は何やらプレッシャーに押しつぶされそうな感覚に陥り、思わず自分の胸ーーもっと言えば心臓を手で押さえた。


 (な、何だ、この感じは……!?)


 と、水音は苦しそうにふと周囲を見ると、進らクラスメイト達や、イヴリーヌ、キャロラインら皇族達までもが、皆、苦しそうに胸を押さえていた。


 しかし、全員がとある方向を見ているので、水音もそれに合わせて視線を向けると、


 (ま、まさか……この子から?)


 その視線の先には、レナと共に入ってきた少女がいたので、水音はタラリと汗を流した。


 そんな水音達を前に、


 「皆さん、はじめまして」


 と、目の前の少女が、穏やかな笑みを浮かべながらそう口を開くと、


 「私の名はヘリアテス。今は『邪神』呼ばれている存在にして、レナ・ヒューズの育ての母をしています」


 と、水音達に向かってそう自己紹介した。

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