第77話 再会
ルーセンティア王国。
それは、水音達を「勇者」としてエルードに召喚した国。
その国の紋章が描かれた数台の馬車が、自分達の目の前に停まっている。
そして、今、その内の1台から、立派な鎧を纏った男女と共に、1人のドレス姿の少女が降りてきた。
少女の傍まで近づくと、
「久しぶりね、イヴリーヌ姫」
と、キャロラインは穏やかな笑みを浮かべながら、その少女に向かってそう挨拶すると、
「お久しぶりです、キャロライン皇妃様」
と、少女ーーイヴリーヌはキャロラインに向かって礼儀正しい丁寧なお辞儀をしながらそう挨拶を返し、
「レオナルド様とアデレード様も、お久しぶりです」
キャロラインの傍に立っているレオナルドとアデレードにもそう挨拶した。
その挨拶を聞いて、
「久しぶりですね、イヴリーヌ姫」
「元気してた?」
と、レオナルドとアデレードがそう挨拶を返す中、水音は目の前にいるイヴリーヌについて思い出していた。
イヴリーヌ・ヘレナ・ルーセンティア。自分達を召喚したルーセンティア王国の第2王女……なのだが、水音達は召喚されてから1週間後にストロザイア帝国へと旅立ったので、彼女とはそれほど交流してはいなかった。その故にこうして彼女の顔を見ても、すぐに思い出せなかったのだ。
まぁそれ以外にも、帝国での日々が相当濃かったのもあったが。
それはさておき、イヴリーヌがキャロライン達に挨拶し終わると、水音達の傍へと近づいて、
「水音様、進様、耕様、祭様、絆様、祈様。お久しぶりです」
と、キャロライン達と同じように礼儀正しい丁寧な挨拶をした。
挨拶された水音達は、一瞬ポカンとなったが、すぐにハッとなって、
「「「「「「お、お久しぶりです、イヴリーヌ様!」」」」」」
と、ぎこちなさそうにそう挨拶を返した。そんな水音達を、キャロラインは「ふふ」と小さな声で笑いながら見た後、
「さて、堅苦しい挨拶はこれくらいにして……」
と、ボソリとそう呟くと、
「イヴりんちゃーん! 本当に久しぶりねぇ!」
と、イヴリーヌをニックネーム(?)でそう呼びながら、背後から彼女にガバッと抱き付いた。
突然のキャロラインの行動に、
「きゃ、キャロライン様、抱き付くのやめてください! あと、その呼び方やめてください!」
と、驚いたイヴリーヌは顔を真っ赤にしながらそう抗議したが、
「えー、嫌よー良いじゃなーい、可愛いんだからぁ」
と、キャロラインは笑顔でそれを拒否した。それを聞いたイヴリーヌは、
「か、可愛くありません! それと、わたくしはもう成人してます!」
と、顔を真っ赤にしたまま怒鳴った。
2人のじゃれ合い(?)を見て、水音達はどうすれば良いのかわからずオロオロしていると、
「母上、それくらいにしてください。イヴリーヌ姫だけでなく水音達も困ってますよ」
と、レオナルドがそう注意したので、キャロラインは「はーい」と不満そうな表情でそう返事しながらイヴリーヌから離れた。
それを見て、水音がホッと胸を撫で下ろすと、
「ところでイヴリーヌ姫、今日ここに来てるのはあなただけですか?」
と、レオナルドが丁寧な口調で、イヴリーヌに向かってそう尋ねてきたので、
「あ、はい。お父様お母様とお姉様には、ルーセンティアに残ってもらってます」
と、イヴリーヌはキャロラインとのじゃれ合い(?)少し乱れた身なり整えた後、質問してきたレオナルドに向かってそう答えた。
それにキャロラインが「へぇ、そうなんだ」と返事すると、
「ああ、ですが、わたくし1人だけというわけでもありません」
と、イヴリーヌがそう訂正してきたので、レオナルドだけでなく水音達までもが「え?」と首を傾げると、
「お願いします」
と、イヴリーヌは傍に立ってた鎧姿の男女に向かってそう言った。
男女はそれに「わかりました」と返事すると、もう1台のルーセンティア王国の馬車に近づいた。
そして、男女の1人、鎧姿の男性が馬車の扉をトントンとノックした後、何かを呟いてからその扉を開けた。
その男性の行動を見て、水音達が頭上に「?」を浮かべていると、馬車の中から水音と同じ年頃の、2人少年と3人の少女が馬車から出てきた。
その姿を見て、水音が「あっ」と声をもらすと、
「あー! 暁!」
「野守君!」
「夕下さん!」
「海神!」
「天上さん!」
と、進、耕、祭、絆、祈がそう叫び、
「よぉ!」
「久しぶりぃ!」
「おひさ」
「……」
「みんな、久しぶりね」
と、名前(?)を呼ばれた5人の少年少女達はそう返事した。
そう。彼らの正体は、ルーセンティア王国に残ったクラスメイト達だった。




