第67話 「彼」の背後にいる存在(もの)・2
お待たせしました、1日遅れの投稿です。
「僕達『勇者』と春風の故郷、『地球』の神々です」
そう言った水音の言葉に、ヴィンセントをはじめとした周囲の人達がぽかんとした後、
「ちょ、ちょっと待てよ水音! それ、本気で言ってんのか!?」
「そ、そうだよ! どうしてそこで『地球の神々』が登場するのさ!?」
と、進と耕が大慌てで問い詰めてきた。
そんな2人に対して水音は、
(いやぁ、僕もかなり戸惑ってるんだけどなぁ。でも……)
と、内心自分の言葉に不安でいっぱいなのだが、それを表には出さずに落ち着いた表情で、
「覚えてるかな? この世界に召喚されたあの日、ルーセンティア王国の騎士達を相手に暴れた春風が、五神教会のジェフリー教主になんて言ったのかを」
tと、進と耕だけじゃなく、祭、絆、祈にもそう尋ねた。
その質問を聞いて、進達は「え? うーん……」と唸りながら、その時の事を思い出そうとしていると、
「……確か雪村君、『俺が信じてる神様は故郷である地球の神々だけだ』って言ってた」
と、祈が思い出したかのようにそう答えたので、それに続くように進達も、「あ、そういえば!」と全員その時の事を思い出した。
水音はそれを確認すると、
「そう。確かに春風はそう言ったんだけど、僕はその言葉に、ある違和感を感じたんだ」
と、真剣な表情でそう言ったので、
「違和感? そりゃどういう意味だ?」
と、ヴィンセントが首を傾げながら尋ねてきた。
その質問に水音は答える。
「僕が知ってる『雪村春風』っていう人物は、元々そんなに神様を信じてはいなかったんです。せいぜい、『まぁ、いるならいるで、いいんじゃないかな。信じるか信じないかはあなた次第っていうし』ていう考えでした」
その答えを聞いて、進達が「えぇ、まじで?」と微妙な表情になっている中、水音は話を続ける。
「ですがあの時、確かに彼は『神様を信じてる』と堂々とした態度で言ってたんです。その言葉を聞いて僕は、『あれ? 君ってそんなに神様信じてたっけ?』って疑問に思ったんです」
『……』
「その時だけじゃありません。そもそも、あの日の春風は様子がおかしかったんです。目立つのが嫌いだからって普段から伊達眼鏡をつけていて、必要な時以外は絶対に外さないのに、何故かあの日はみんなの前でその伊達眼鏡を外して素顔を晒していたし、いつも『物静かで大人しい生徒』を演じてたのに、国王様を前に堂々とした態度ではっきりと自分の意志を言ってて、とにかく普段の学生生活時の春風だと絶対にやらないような事をしまくってたんです!」
と、水音は「普段の春風」についてそう説明し終えると、喋り疲れたのか「はぁ、はぁ……」と肩で息をした。
そんな様子の水音を見て、
「お、おおう、そこまでやるとはな。雪村春風って奴はどんだけみんなの前で猫をかぶってたんだ?」
と、ヴィンセントが若干ドン引きしていると、
「なるほど。では、私にしていた幾つかの質問も、普段の彼からはあり得ない行為だったのだな?」
と、ウィルフレッドが水音に向かってそう尋ねてきたので、
「ええ。あの質問を聞いた時、『君は一体何をしているんだ?』って、お恥ずかしい事に内心ではハラハラしましたよ」
と、水音は苦笑いしながらそう答えて、
「ん? ああ、そういえばお前、その日雪村春風に幾つか質問されたって言ってたな」
と、ヴィンセントも思い出したようにはっとなった。
するとその時、
「ちょっとよろしいでしょうか?」
と、それまで黙って話を聞いていたレオナルドが口を開いた。
「ん? どしたレオン?」
と、ヴィンセントがレオナルドに向かってそう尋ねると、
「父上、失礼します」
と、レオナルドは先にヴィンセントにそう言って、その後ウィルフレッドに視線を向けた後、
「ウィルフレッド陛下。あなたが雪村春風から受けたその『質問』について、詳しく教えてほしいのですが」
と、ウィルフレッドに向かってそう尋ねた。
その質問にウィルフレッドは首を傾げながら、
「む、それは構わないが、一体どうしたのだ?」
と、レオナルドに向かってそう尋ね返すと、
「その、自信はありませんが。もしかすると、彼……雪村春風殿の『意図』や『目的』などがわかるのではないかと……」
と、レオナルドは少し不安そうにそう答えた。
その答えを聞いて、
「……そうだな。ちょいとここいらで、雪村春風について話を纏めようじゃねぇか」
と、ヴィンセントが「賛成」の意志を示した。
ヴィンセントだけではない、キャロラインら皇族達や、ウィルフレッドの傍で話を聞いていた王族達に、爽子、歩夢、美羽。そして、水音も、全員こくりと頷いたので、
「うむ、わかった」
と、ウィルフレッドはそう言うと、「勇者召喚」が実行されたあの日、春風から受けた質問を教えた。
謝罪)
大変申し訳ありませんでした。この話の流れを考えていたら、その日のうちに終わらせる事が出来ず、1日遅れの投稿となってしまいました。
本当にすみません。