第60話 水音達の「現在」・2
ストロザイア帝国帝都内にある、ハンターギルド帝都支部。
今、そこで水音達は、
「アーマースネーク10体の討伐、完了したぞ」
と、受付の職員であるライリーに向かってそう報告していた。因みに、一応リーダーはエレクトラという事で、報告はエレクトラがしている。
そんな水音達とライリーの間には、自分達が倒した大型の蛇型の魔物「アーマースネーク」の死体が転がっていた。その数はエレクトラが報告した通り10体である。
それを見て、
「これは……す、凄いですね」
と、たらりと冷や汗を流すライリー。
彼女だけではない、周囲にいる他のギルド職員やハンター達も、並べられたアーマースネークの死体を見て大きく目を見開いていた。
それもその筈、元々このアーマースネークという魔物はかなり強く凶悪で、1体を相手にするのに高ランク高レベルのハンターが数十人必要とされているのだ。
そして今、その凶悪とされているアーマースネークの死体が10体、自分達の前に転がっているという事態に、ハンター達は驚愕の表情を浮かべている。それだけでも衝撃的なのだが、討伐したのが皇女エレクトラとそのお付きの騎士、そしてハンター登録間もない新人の少年少女6人だというのだから、その驚きは半端ないものになっていた。
周囲の人達からの視線を受けて、
「な、なぁ水音……」
と、水音を苗字ではなく名前で呼んだ進が、何やら小声で話しかけてきたので、
「ん? 何、進?」
と、水音も進を苗字ではなく名前で呼びながらそう返事すると、
「なんか俺達、スッゲェ注目されてねぇか?」
と、進が小声で恐る恐るそう尋ねてきた。よく見ると、進の表情は何処か怯えているかのような表情になっていた。
進だけではない。耕、祭、絆、祈も、周囲の人達の視線を受けて、皆、進を同じような表情になっている。
しかし、水音だけは、
「あー、確かにそうだねぇ」
と、落ち着いた表情で周囲を見ながらそう呟いた。
そんな様子の水音に、進が「お、おいおい……」と話しかけようとしたその時、
「おーい、これから解体が行われるから、この死体運ぶの手伝うぞぉ!」
と、ライリーと話を終えたエレクトラが、水音達に向かってそう言った。
だが、怯えている様子の進達を見て、
「どうしたお前達。何をそんなに怯えているんだ?」
と、「おや?」と首を傾げたエレクトラがそう尋ねると、
「えっと、その……周りの人達の視線が……」
と、怯えた表情をしている耕がそう答えたので、
「あー。まぁ確かに……」
と、エレクトラはちらっとアーマースネークの死体を見ながらそう呟くと、
「……って、おいおい、そんなに怯える事ないだろう? 私達はそれだけ『凄い事』をやったんだから、みんなから視線を向けるのは当然じゃないか」
と、「あはは」と笑いながら、進達に向かってそう言った。その後エレクトラに続くように、
「エレクトラ様。恐らく彼らは注目されるという事に慣れてないのでしょう。ただ、水音様だけはわかりませんが」
と、レクシーが小声でエレクトラに向かってそう言ったので、
「む、そうなのか?」
と、エレクトラは進達に向かってそう尋ねると、
「「「「「え、えっと……はい」」」」」
と、進達は恥ずかしそうに顔を真っ赤にしながらそう答えた。
ただ、水音だけは変わらず落ち着いた表情をしていたが。
進達の答えを聞いて、エレクトラは「うーんそうだったのか」と納得したと言わんばかりの表情になったが、
「うん、慣れろ! それしか言えん!」
と、かなり強引な感じでそう提案してきたので、
「「「「「「「え、えぇ?」」」」」」
と、水音達は「ま、マジで?」と言わんばかりの表情になった。
その後、
「ほらほら、そんな事より、こっちの方を終わらせるぞぉ!」
と、エレクトラは親指でアーマースネークを指差しながら、そう言ってきたので、
「「「「「「は、はい」」」」」」
と、水音達もそう返事すると、エレクトラの指示に従って、職員達と一緒に倒したアーマースネークを運ぶ手伝いをした。
その最中、
(うーん。まさか僕達がこんなにも強くなってしまうとは」
と、水音は心の中でそう呟いた。
そしてそれと同時に、水音はハンター登録してから今日までの事を思い出し始めた。




