第57話 水音、改めて決意する?
お待たせしました、今日もいつもより長めの話にして、1日遅れの投稿です。
そして、今章最終話です。
雪村春風が「ハンター」になった。
(何で?)
その事を知った水音は今、
(……何で僕と時雨さん、ここにいるんだ?)
祈と一緒に、何故か第2皇女エレクトラの自室にいる。
そうなった経緯を語る為、時は少し前に遡る。
春風の現状を知った水音が怒りの叫びをあげた後、その場は一旦解散となった。その際に、
「あー、マチルダさんや。すまねぇがその映像、複製する事出来ねぇか?」
と、ヴィンセントにそう尋ねられたので、マチルダは「いいですよ」と返事した後、春風とヴァレリーの戦いの映像を、皇族達用に複製した。その一部始終を見て、
(うーん。この国の技術って、結構凄いんだなぁ。春風が見たらますます目を輝かせるかも)
と、水音は心の中でそう感心した。
その後、水音達はヴィンセントら皇族達と仲良く夕食を済ませて、明日に備えて部屋に戻ろうとしたら、
「水音、それと祈。大事な話をしたいから私の部屋に来てくれ」
「「……え?」」
エレクトラにそう誘い(?)を受けたので、水音と祈は彼女の部屋に招かれ、現在に至る。
因みに、誘った本人であるエレクトラは、隣にあるもう1つの自室で着替え中である。
エレクトラの部屋はとても広く、「皇女の部屋」と呼ぶに相応しい立派な家具があちこちに置かれている。その内の1つである豪華なソファーで、
(いや、ほんと……何でこうなったんだ?)
と、水音が緊張のあまり表情を強張らせていると、
「……さ、桜庭、君」
と、隣に座る祈が、小声でそう話しかけてきたので、
「な、何、時雨さん?」
と、水音は震えた声で返事すると、
「あの……ウィルフレッド陛下の部屋も凄かったけど、エレクトラ様の部屋も凄いね」
と、祈もふ震えた声でそう返してきたので、
「あー、うん。そうだね」
と、水音は何処かぎこちない笑みを浮かべながらそう言った。
その時だ。
「待たせたな」
という声と共に、動きやすそうな服装(それでも少し派手だが)をしたエレクトラが入ってきた。
そして、エレクトラが水音達の前に置かれた椅子に座ると、
「あ、あの……僕達に大事な話って一体何ですか?」
と、水音が恐る恐るそう尋ねてきたので、
「その話をする前に、水音に聞きたい事がある」
と、エレクトラは真面目な表情でそう返事した。
「な、何ですか? 聞きたい事って……」
「勿論、今日マチルダが見せた映像の事だ。お前の『兄弟子』、強かったな」
そう言ったエレクトラを見て、水音は「あ……」と、小さく声をもらすと、
「ええ、そうですね」
と、顔を下に向けてそう言った。
だが、
「ただ……」
「「?」」
「春風、全然本気を出してないと思います。そして、春風と戦ってたヴァレリーって人も」
と、水音は顔を上げて真っ直ぐエレクトラを見てそう言ったので、
「何!? わかるのか!?」
と、驚いた表情をしたエレクトラはそう尋ねた。当然、祈の表情もエレクトラと同じである。
「ええ。映像越しですので、何となくですが、2人共本気を出して戦ってない様子でした。と言いましても、僕は1度、本気を出した春風と戦った事があるんです」
「む、そうなのか? 因みに、本気を出した時の奴はどんな感じなんだ?」
その質問に対して、水音はゆっくりと深呼吸すると、再び真っ直ぐエレクトラを見て答える。
「もの凄い『殺気』を放ってました」
「「さ、殺気!?」」
「ええ。それも、ただの『殺気』ではありません。『怒り』とか『恨み』といった余計な感情がない、ただ『殺す』という想いのみで構成された、純粋な『殺気』でした」
「えぇ? そんな状態の奴と戦ったのか?」
「はい。初めて彼と会ったその日に、一度だけ」
「そ、そうなのか。で、お前は本当に奴に挑む気なのか?」
と、真剣な表情でそう尋ねてきたエレクトラに、水音も真剣な表情で、
「ええ、勿論です。その為にここで『力』と『強さ』を身に付けて、そして……僕が勝ちます」
と、はっきりとそう答えた。
その答えを聞いて、エレクトラは「そうか」呟くと、
「僕からも、個人的な質問していいですか?」
と、今度は水音がエレクトラに尋ねた。
「む、何だ?」
「エレクトラ様も、春風と戦ってみたいと思ってますか?」
その質問に対して、エレクトラは「はっ」と鼻で笑うと、
「当然だ。あんな凄い戦いをするような奴だぞ? 戦ってみたいと思うのは当然じゃないか」
と、にやりとしながら答えた。
その答えを聞いて、水音の隣の祈がごくりと唾を飲むと、
「そうですか。あの、これも個人的な質問なのですが……」
「? 何だ?」
「その……僕と同じように戦った後、彼にこ、告白とかするんですか?」
と、水音は恥ずかしそうに顔を真っ赤にしながらそう尋ねた。
「いや、それはない」
即答だった。
「え、な、何故ですか?」
と、水音が意外なものを見るような表情でそう尋ねると、
「やつは、思いっきり私の好みではない。というか、可愛すぎて『異性』として見れない」
と、エレクトラははっきりとそう答えたので、
「は、はぁ、そうですか」
と、水音はそう言うと、
(春風、ご愁傷様)
と、心の中で手を合わせた。
その後、
「えっと、ちょっと話を戻しますが、僕達に大事な話とは一体……?」
と、水音が最初話に戻すかのようにそう質問すると、エレクトラは「それはだな……」と言って椅子から立ち上がると、素早く水音達の背後に周り、2人の首根っこを掴んで、
「すまん、あれは嘘だ!」
と言うと、「え? え?」と戸惑う水音と祈を
「う、うわぁ!」
「きゃあ!」
なんと、自分のベッドの上に放り投げた。
突然の事に、
「ちょ、何をするんですか……!?」
と、水音はエレクトラを問い詰めようとしたが、それよりも早く、エレクトラは水音と祈に覆い被さるように体を重ねようとし、
「さて2人共、今なら誰の邪魔も入らないだろうし、ここらでお互いの関係を深めようじゃないか」
と言って、ぺろりと舌なめずりした。
「え、ちょ、ちょっと待って……!」
「や、やめて、くださ……」
と、2人は必死になって抵抗しようとしたが、
「くくく、大丈夫だ、私を信じて身を委ねるといい」
と、エレクトラは止まる様子はなかった。
そんな彼女を見て、
(や、やばい! これ、やばすぎるって!)
と、水音が「どうしよう」と考えていると……。
ーードシュ!
「ふぐ!」
背後で誰かに攻撃されたのか、エレクトラはその一撃を受けて「きゅう……」と気絶したので、水音と祈が「え?」となると、
「2人共、大丈夫ぅ?」
と、エレクトラの背後にキャロラインがいたので、
「「あ、はい。大丈夫……です」」
と、2人は同時にそう言った。
謝罪)
大変申し訳ありませんでした。この話の流れを考えていたら、その日の内に終わらせる事が出来ず、1日遅れの投稿となってしまいました。
本当にすみません。
そして、以上で第4章は終了となります。予定としてはこの後本編新章になる筈でしたが、ストーリー的にもう1章書いてから本編となりますので、皆様、何卒どうぞよろしくお願いします。




