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ユニーク賢者物語外伝 〜青き戦鬼の章〜  作者: ハヤテ
第4章 「帝国」生活開始

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第53話 「鍛治師」の少女ブレンダ・2


 「ほーう、『鬼宿し』。体に『魔物の力』を宿した一族ねぇ」


 水音の『一族』とその身に宿ってる『力』についての話を聞いて、ブレンダは「なるほどねぇ……」と言わんばかりの表情になった。勿論、初めて話を聞いたエレクトラとレクシー、そして帝都に来る前に話を聞いていた進以外の勇者達は、あまりの内容に「ま、マジで?」と言わんばかりにぽかんとした表情になっていた。


 そんな状況の中、


 「信じられないと思っても構いません。ですが……」


 と、水音は信じてもらえる自信がないのか、辛そうに顔を下に向けたが、


 「おいおい、信じるに決まってんだろ。寧ろありがとな、話してくれて」


 と、ブレンダはそうお礼を言った後、最後に「顔を上げてくれ」と付け加えた。


 その言葉に水音はゆっくりと顔を上げると、


 「で、今その力は、この世界の『神』達に封印されちまってるんだよな?」


 と、ブレンダがそう尋ねてきたので、水音はゆっくりと自身の右腕を前に出して、ゆっくりと目を閉じた。


 次の瞬間、水音の右腕に白い鎖状のエネルギーが巻き付いたので、


 「うぐっ!」


 と、水音は苦しそうな表情で右腕を押さえつけた。


 「さ、桜庭君!」


 「おい水音! 大丈夫か!?」


 と、驚いた祈とエレクトラが水音に駆け寄ったが、


 「だ、大丈夫……です」


 と、水音がそう返事すると、右腕に巻き付いていた白いエネルギーが消えたので、水音はほっと一安心した。


 その後、客間がしんと静まり返ると、


 「は、はは。こいつはすげぇな……」


 と、ブレンダが乾いた笑い声を出しながらそう言った。


 そして、ブレンダはエレクトラの傍に立つレクシーに視線を向けて、


 「なぁレクシー。お前も気付いてたんじゃねぇのか?」


 と、尋ねた。その質問に水音ら勇者達が「え?」と首を傾げると、


 「ええ。彼の臭いを嗅いだ時、『中に何かいる』のは感じたけど、こうして話を聞いたのは今日が初めてよ」


 と、レクシーはブレンダに向かって、何処か砕けた口調でそう答えた。その時、


 「え、待て、私に黙って何をしてるんだ?」


 というエレクトラの質問が聞こえた気がしたが、水音はスルーする事にした。


 まぁそれはさておき、レクシーの答えを聞いて、ブレンダは「そうかよ……」と小さく呟くと、


 「なぁ、水音っつたっけ?」


 「……はい、何ですか?」


 「一応聞くけど、あんたにとって『職能』ってのは何なんだ?」


 と、水音に向かってそう尋ねてきたので、水音は最初答えるのを躊躇ったが、


 「……『呪い』。これしか考えられないです」


 と、真っ直ぐブレンダを見てそう答えた。


 その答えを聞いて、


 「へぇ、そうかい……」


 と、ブレンダはにやりと笑うと、


 「いいぜ、あんた達の武器、あたしが造ってやる! それも、とびっきりの最高な『相棒』をな!」


 と、水音だけでなく進達にも視線を向けながらそう言ったので、


 「何!? 本当にいいのか!?」


 と、エレクトラが意外なものを見るような目でブレンダを見つめながらそう尋ねた。当然、レクシーも同様の視線をブレンダに送った。


 すると、ブレンダは「へへ……」と小さな声で笑って、


 「ああ、嘘を言ってないって事は理解出来たからな。全然構わねぇよ」


 と、胸を張りながらそう言ったので、


 『あ、ありがとうございます!」


 と、水音達はばっと立ち上がって、ブレンダに向かって深々と頭を下げながらお礼を言った。

 

 すると、


 「お、おいおいよせよぉ! 言うのが遅れたけど、陛下の話じゃあ、あんたらあたしと同い年なんだってなぁ! だったら敬語はやめて、タメ口で話してくれよぉ! なんか恥ずかしいし!」


 と、ブレンダは恥ずかしそうに顔を真っ赤にしながらそう言った。そんな彼女を見て、水音達は『は、はぁ……』とこちらも恥ずかしそうに顔を赤くし、エレクトラは「ははは……!」と豪快に笑い、レクシーも「ふふ……」と、静かに笑った。


 それから少し話し合った末、水音達はブレンダの言葉に従う事にし、ブレンダも、


 「おう! こっちこそよろしくな!」


 と、親指を立てながらそう言った。


 それから暫くの間、水音達はブレンダと仲良く会話していると、


 「皆様、そろそろお時間です」


 と、レクシーが暗くなってきた窓の外を指差しながらそう口を開いたので、水音達は帝城に帰る事にした。別れ際に、


 『お邪魔しましたぁ!』


 「おう、気をつけて帰れよぉ!」


 と、お互い楽しそうに挨拶をしながら。


 それから暫く歩いていると、漸く帝城の前に着いたのだが、


 「あれ? 誰かいますよ?」


 と、祈が帝城前を指差しながらそう口を開いたので、水音達は「誰だろう?」と祈が指差した方向を見ると、


 「マチルダさん?」


 そこには、昼間にギルドで知り合ったばかりの、ギルドマスターのマチルダがいた。


 すると、水音達の存在に気付いたのか、


 「ああ、あんた達。待ってたよ」


 と、マチルダは水音達を見て手を振りながらそう言った。


 そんなマチルダを見て、


 「あの、どうなさったのですかマチルダ様?」


 と、レクシーがそう質問すると、マチルダはかなり真剣な表情で答える。


 「みんなに『見せたいもの』があるんだ」


 


 


 


 

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