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ユニーク賢者物語外伝 〜青き戦鬼の章〜  作者: ハヤテ
第4章 「帝国」生活開始
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第44話 帝都、到着


 ストロザイア帝国の中心、「帝都」。


 魔導飛空船からその都市を見て、


 (まるで『近未来都市』みたいだ)


 と、水音は心の中でそう呟いた。


 ルーセンティアで暮らしていた頃、水音と他のクラスメイト達は、少しの間だが王都の中を歩いた事があった。


 清潔そうな服装に身を包んだ住人達が行き交う地面は綺麗に整っていて、幾つもの白い建物がある王都は、何処か神聖なものを感じさせる雰囲気があったが、この帝都はそれとは違って、先程水音が心の中で呟いたように、まるで漫画やアニメとかに出てくる「近未来都市」を思わせる光景だった。


 (春風が()()を見たら、ますます目を輝かせるだろうな……)


 と、水音が再び心の中でそう呟いていると、


 「さぁ、もうすぐ着くぞ」


 と、傍でヴィンセントがそう言ったので、


 「えっと、何処に向かってるんですか?」


 と、水音が恐る恐るヴィンセントにそう尋ねると、


 「ん? ほら、()()()だ」


 と、ヴィンセントはとある方向を指差した。


 それは、帝都の中にあるかなり大きくて立派な建物のようで、


 「あの……あそこって……?」


 と、水音が再び恐る恐る尋ねると、


 「俺とエレンの家、『帝城』だ」


 と、ヴィンセントはその建物ーー帝城を指差したまま答えた。


 それから暫くすると、水音達を乗せた魔導飛空船は、目的地である帝城の敷地内にある広場に着陸した。


 そこには大勢の人達が集まっていて、皆、飛空船が来るのを待っていたかのようだった。


 そして、魔導飛空船の扉が開かれると、


 「よう、みんな! ただいま帰ったぞぉ!」


 と、最初にヴィンセントが降りて、集まっていた人達にそう挨拶した。


 そんなヴィンセントに、


 「おかえりなさい、陛下」


 と、その集まっていた人達の前に立つ1人の女性がそう挨拶を返し、彼女に続くように、


 『おかえりなさいませ、陛下!』


 と、集まっていた人達もそう挨拶を返した。


 その後、ヴィンセントに続くように、


 「母様、ただいま戻りました!」


 と、エレクトラも魔導飛空船から降りて、「母様」と呼んだ先程の女性にそう挨拶すると、


 「おかえりなさい、エレンちゃん」


 と、女性もにこりと笑って挨拶を返し、彼女続くように、


 「エレン、おかえり」


 「おかえり」


 と、今度は女性の傍に立っている()()()()()をした2人の若い男女も、エレクトラに向かってそう挨拶を返した。


 そして、最後に水音達が降りてきたので、ヴィンセントは水音達に向き直ると、


 「紹介しよう、俺の妻キャロラインと、息子のレオナルド、娘のアデレードだ。因みに、双子の兄妹で、エレンの兄と姉だ」


 と、女性と若い男女をそう紹介した。


 その紹介に続くように、


 「はじめまして、異世界の()()()()()達。ヴィンセントの妻にしてストロザイア帝国皇妃の、キャロライン・ハンナ・ストロザイアよ」


 「ストロザイア帝国皇子の、レオナルド・ヴァル・ストロザイアだ」


 「その双子の妹、ストロザイア帝国皇女の、アデレード・ニコラ・ストロザイア。よろしく」


 と、女性と若い男女も、水音達に向かってそう自己紹介してきたので、


 「こ、近道(こんどう)(すすむ)です!」


 「遠畑(とおはた)(つとむ)です!」


 「出雲(いずも)(まつり)です!」


 「晴山(はやま)(きずな)です!」


 「時雨(しぐれ)(いのり)です!」


 と、進、耕、祭、絆、そして祈も緊張しながらそう自己紹介し、最後に、


 「桜庭(さくらば)水音(みなと)です」


 と、水音も自己紹介した。


 それを聞き終えて、


 「まぁ! みんな元気があっていいわねぇ!」


 と、女性ーーキャロラインはぱぁっと表情を明るくした後、


 「さて、エレンちゃん」


 と、すぐにエレクトラに視線を向けた。


 それにびくっとなったエレクトラは、


 「は、はい、何ですか母様!?」


 と、背筋をぴんと伸ばしながらそう返事すると、


 「陛下から聞いたけどぉ……あなた、向こうでかなり()()()()したそうねぇ」


 と、キャロラインは()()()()()()()を纏わせた笑みを浮かべた。


 そんなキャロラインを、水音達だけでなくヴィンセントまでもが、だらだらと滝のように汗を流しながら見ていると、


 「は、はは……」


 と、エレクトラは引き攣ったかのような笑みを浮かべて……その場からダッシュで逃げ出そうとしたが、エレクトラは落ち着いた様子で懐から小さな玉のようなものを取り出すと、


 「逃げちゃ駄目」


 と言って、その玉のようなものをエレクトラに向かって投げた。


 次の瞬間、玉のようなものは眩い光と共にぐにゃっと形を変えて、逃げるエレクトラの全身に巻き付いた。


 突然の事に、


 「う、うわぁ!」


 と、驚いたエレクトラはバランスを崩してその場に転んだ。


 エレクトラはジタバタと動きながらその変化した玉のようなものをはがそうとしたが、もがけばもがくほど玉のようなものは全身をがっちりと締めあげてきたので、エレクトラは諦めたかのように力尽きた。


 その後、キャロラインは動かなくなったエレクトラに近づくと、


 「よいしょっと!」


 なんと、動けない状態のエレクトラを軽々と持ち上げて、自分の肩に担いだ。


 その瞬間、漸くハッとなったエレクトラは、


 「は! か、母様、下ろしてください!」


 と、ばたばたともがいたが、


 「駄目よ()()()()()。あなたからもじっくりとお話を聞きたいから」


 と、キャロラインは笑顔でそう断った。


 その様子に、何処か()()()()()を感じたのか、


 『……』


 と、それを見た水音達は何も言えないでいると、


 「陛下も、一緒に来てもらうわね?」


 と、キャロラインは笑顔のままヴィンセントに向かってそう言ってきたので、


 「あ、はい。わかりました」


 と、ヴィンセントも観念したかのようにそう返事した。


 その後、


 「い、嫌だぁあああああ! 許して母様ぁあああああ!」


 と、エレクトラはそう悲鳴をあげると、


 「兄様ぁ! 姉様ぁ! 助けてぇえええええっ!」


 と、兄レオナルドと姉アデレードに助けを求めたが、


 「すまん、エレクトラ」


 「エレン、黙ってお仕置きを受けなさい」


 と、2人に拒否されてしまったので、


 「そ、そんなぁあああああっ!」


 と、エレクトラは再びそう悲鳴をあげた。


 そして、笑顔のキャロラインに何処かへ運ばれて行ったエレクトラと、暗い表情でそんな彼女達について行ったヴィンセントを見て、


 『な……何なんですか、あれ?』


 と、残された水音達は同じく残されたレオナルド達に向かってそう尋ねたが、


 『……』


 残念な事に、それに答える者は誰もいなかった。


 

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