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ユニーク賢者物語外伝 〜青き戦鬼の章〜  作者: ハヤテ
第4章 「帝国」生活開始
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第43話 エルードの空にて

 お待たせしました、派生作品新章の開幕です。


 異世界「エルード」の青い空。


 白い雲が漂う何処までも広いその空の上を、1隻の船が飛んでいた。


 左右合わせて4枚の翼をつけた大型帆船のようなその船が向かっているのは、「勇者召喚」を行ったルーセンティア王国に並ぶもう1つの大国「ストロザイア帝国」だ。


 その船の中に幾つかある客室の1つで、水音はその客室に1つしかない小さな窓の外(といっても見渡す限り雲しかないのだが)をじっと見つめていた。


 ルーセンティアを出発した後、水音と5人の勇者(クラスメイト)達は、ストロザイア帝国皇帝ヴィンセントとその娘エレクトラに、その船ーー「魔導飛空船」を案内され、案内が終わった後も、クラスメイト達はそれぞれ中を見て回った。当然、水音も同様で、一通り改めて見終わると、最後に案内された客室で一休みする事にし、現在に至る。


 窓の外を眺めながら、


 (春風、きっと羨ましがるだろうなぁ)


 と、今はここにはいないもう1人のクラスメイトにして()()()を思い出して、心の中でそう呟いていると、とんとんと客室の扉を叩く音と共に、


 「おーい水音ぉ、入ってもいいかぁ?」


 という声がしたので、


 「あ、はい」


 と、水音は声の主にそう返事した後、すぐに扉を開けると、


 「やぁ!」


 「エレクトラ様……」


 そこには先程話に出た皇女エレクトラがいた。


 その後、水音はエレクトラを客室の中へと招き入れると、備え付けられた椅子に座らせて、自身ももう1つの椅子に座った。


 「……」


 エレクトラを前に、水音が若干緊張していると、


 「どうだい、この船の中は?」


 と、エレクトラがそう尋ねてきたので、


 「はい、とても素晴らしいです」


 と、水音は緊張しているのを悟られたくないのか、普通に笑顔でそう返事した。


 それを聞いて、


 「そうか、そいつはよかった。他の勇者達はまだあちこち見回ってるのにお前だけがいなかったから、てっきり気に入ってないのかと思ったよ」


 と、エレクトラは何処かほっとした表情でそう言ったので、


 「あ、あはは。それは、申し訳ありません(?)でした」


 と、水音は苦笑いしながらそう謝罪(?)した。


 それから少しして、


 「そうですね。この船自体の大きさや中の方も素晴らしかったですし、特に()()()の設備も故郷じゃ見れない技術が組み込まれていて、この場に()()()がいたら、きっと目を輝かせただろうなって……」


 と、水音が船の感想を述べていると、


 「ん? 『あいつ』って、雪村春風の事か?」


 と、頭上に「?」を浮かべたエレクトラが再びそう尋ねてきたので、


 「あ、はい。彼は普段物静かな感じを装っているんですが、見た事もない技術とか理論とかには目がなくて、そういったものを見つける度に、まるで子供のように目をキラキラと輝かせるんです」


 と、水音は少し恥ずかしそうにそう答えた。


 その答えを聞いて、エレクトラは「ふーん……」と呟くと、


 「なぁ水音。そいつの事、もっと詳しく聞かせてくれないか?」


 と、また尋ねてきたので、


 「え? エレクトラ様、まさか僕だけじゃなく春風も……?」


 と、水音は若干引きながらそう尋ね返した。


 すると、


 「おいおい勘違いするな! お前がそんな風に話すから、どんな奴なのか普通に聞きたいだけだ!」


 と、エレクトラはばっと椅子から立ち上がりながら「誤解するな!」と言わんばかりにそう怒鳴ったので、水音は少し……いや、かなり疑いつつ、


 「は、はぁ。わかりました……」


 と、雪村春風について話をしようとすると、


 「あ、そうだ。ついでにお前達が暮らしてた世界についても教えてほしいんだ」


 と、エレクトラがそう言ってきたので、


 「はぁ。僕が知ってる範囲でよろしいのなら……」


 と、水音がそう返事すると、


 「あ、そうだ。()()()も何か知ってる事があるなら教えてくれ」


 と、エレクトラは何かを思い出したかのように客室の扉に向かってそう言ったので、水音は「え?」と首を傾げていると、ゆっくりと扉が開かれて、


 『ど、どうもぉ……』


 その向こうから、5人のクラスメイト達が、「えへへ……」と苦笑いしながら入ってきた。


 そんな彼らを見て、


 (え、えぇ? みんないつからいたの?)


 と、水音はたらりと冷や汗を流したが、


 「わかりました。では、お話します」


 と、入ってきたクラスメイト達を交えて、エレクトラに故郷「地球」と、雪村春風についての話を始めた。


 当然、


 「おい、俺も混ぜろよぉ!」


 ヴィンセントもそれに加わった。


 それから暫くすると、


 「おーいお前ら! ()()()が見えたぞぉ!」


 と、ヴィンセントがそう叫んだので、水音達はすぐに客室から出て、船の甲板に出た。


 そして、


 「ほら、()()()だ!」


 と、ヴィンセントが指をさした方向を見ると、少しずつではあるが、大きな「都市」のようなものが見えたので、


 「えっと、あそこが……ですか?」


 と、水音が恐る恐るそう尋ねると、ヴィンセントはにやっと笑って答える。


 「そうだ。あれが『ストロザイア帝国』の中心、『帝都』だ」


 


 


 

 


 

 どうも、ハヤテです。


 という訳で、今日から派生作品の新章がスタートします。


 ルーセンティア王国を旅立った水音達に、一体どのような出来事が待ち受けているのか?


 彼らの活動に、ご期待ください。

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