第31話 「勇者」達と「皇帝」と「国王」inお風呂?
お待たせしました、1日遅れの投稿です。
そして、いつもより長めの話になります。
(えー。皆さんこんにちは、桜庭水音です。今僕は、クラスメイト数人と、ウィルフレッド陛下、そして、『ストロザイア帝国』の皇帝陛下と一緒に……何故かお風呂に入ってます)
と、心の中でそう呟いた水音は今、数人の男子クラスメイト達と国王ウィルフレッド、そして、「ストロザイア帝国」皇帝、ヴィンセント・リアム・ストロザイアと一緒に、何故かお風呂に入っていた。
何故このような状況になってしまったのか?
その理由を説明する為に、時を少し前に戻すとしよう。
「俺の娘、ストロザイア帝国第2皇女の、エレクトラ・リース・ストロザイアだ」
ヴィンセント皇帝ーー以下、ヴィンセントからそう告げられて4秒後、
『はぁあああああああっ!?』
水音ら「勇者」達の叫びが響き渡った。
その後、
「ちょ、ちょっと待ってください! ウィルフレッド陛下、今のは事実なのですか!?」
と、爽子が少し混乱している様子でウィルフレッドにそう尋ねると、
「ああ、信じたくない気持ちはわかるが、残念な事に事実だ」
と、顔を真っ青にしたウィルフレッドは、「はぁ」と溜め息を吐きながらそう答えた。
その答えに、
「おい、ウィルフ。『残念な』はねぇだろ」
と、ヴィンセントがツッコミを入れる中、
「ぼ、ぼ、僕は、なんて事を……」
と、水音はガタガタと震えながらそう言うと、
「オイオイ、そこの勇者君……」
と、ヴィンセントはそう言いながら水音に近づいた。
ところが、
「む?」
と、ヴィンセントは水音から少し離れた位置で止まったので、
「あの、どうしたんですか?」
と、水音が尋ねると、
「お前さん。ちょいと汗臭くないか?」
と、ヴィンセントそう尋ね返されてしまい、水音は思わず「え?」と言って自身の体の臭いを嗅いだ。その結果、
(あ、確かに汗臭いかも)
と、水音は少しショックを受けた。
それを見たウィルフレッドは、
「む、それはいかんな」
と言って、近くにいた王国兵士の1人に、
「すぐに風呂の準備をするように」
と、命令した。
すると、
「よっしゃ! じゃあ、準備が済み次第、俺も一緒に入るぞ! 勿論、ウィルフも一緒だからな!」
と、ヴィンセントがそう言ってきたので、水音ら勇者達とウィルフレッドは思わず「え?」と首を傾げた。
そして現在、ヴィンセントの宣言通り、王城内にある大浴場では、ヴィンセント、ウィルフレッド、そして水音と数人の男子クラスメイト達が、一緒に風呂に入っていた。
因みに、今、水音と一緒にいるのは、進、暁、力石、そして、純輝の4人だ。彼らは水音の前にエレンことエレクトラと戦っていた者達で、全員、前衛戦闘系の職能保持者でもある。
そして、肝心のエレクトラはというと、未だに意識が戻ってないのか、王城内にある医務室で眠っている状態だ。
で、話を戻すが、大浴場の広い湯船の中で、
「あー、気持ちいいわぁ。そう思うだろ勇者諸君?」
と、本当に気持ち良さそうに尋ねてきたヴィンセントだが、肝心の勇者達はというと、
(いや、聞かんでください)
と、湯船の中で全身をカチコチに硬直させていた。特に水音はそれに加えて真っ青な表情になっていた。無理もないだろう、何せ知らなかったとはいえ、自分と同じ年頃くらいに女の子を、それも帝国のお姫様を4回も殺したのだから。
そんな様子の水音を見て、
「おーい、大丈夫かーい?」
と、ヴィンセントが尋ねてきたので、
「はっ! す、すみませんヴィンセント陛下! 知らなかったとはいえ、貴方の娘さんに僕はなんて事を……!」
と、水音は顔を真っ青にしながらそう謝罪した。
それを聞いたヴィンセントは一瞬ポカンとしたが、
「ああ、気にすんなって。エレンの奴、最近どうも調子に乗ってるみてぇでな、いつか痛い目に遭うんじゃないかと思ってたんだ。寧ろ、俺の娘がひでぇ事しちまって悪かったな」
と、ヴィンセントは真面目な表情でそう言い、最後に「そんで……」と付け加えると、
「馬鹿娘の鼻っ柱へし折ってくれて、あんがとな」
と、水音に向かって深々と頭を下げた。
それを見て、水音だけでなく進達も「そんな……」とオロオロしていると、ヴィンセントはスッと頭を上げて、
「さて、話は変わるが、お前さんらに色々と聞きたい事があるんだわ」
と言ってきたので、
「え? あの、何を聞きたいんですか?」
と、水音がそう尋ねると、
「勿論、『雪村春風』って奴の事さ。聞いたぜ、この世界に召喚されてすぐにここを飛び出したもう1人の『異世界人』の事をな」
と、ヴィンセントは真面目な表情でそう答えたので、水音らが「あ……」と表情を曇らせると、
「だが、その前にどうしても聞きたい事が出来たんだわ」
と、またヴィンセントがそう言ってきたので、水音達が「え?」と首を傾げると、ヴィンセントは水音を見て、
「水音だったな? 聞きたいのは、お前さんの事だ」
「え、僕の事……ですか?」
「ああ、そうだ。さっきエレンをぶん投げる前……お前さんの姿が違うものに見えた」
と、かなり真剣な表情でそう言った。
すると、
「あぁ、それなら私も見えた」
と、ヴィンセントに続くようにウィルフレッドもそう言って、そこから更に続くように、
「実は……俺も」
と、進もそう言ってきた。よく見ると、純輝達もヴィンセントと同じような表情をしてこくりと頷いていたので、
「……何に、見えたんですか?」
と、水音も真剣な表情でそう尋ねると、
「俺よりもデケェ体で、頭に2本の角を生やした人型の『何か』だった」
と、ヴィンセントは更に真剣な表情でそう答えた。
その答えを聞いて、水音が「そうですか」と言うと、
「私からも聞きたい事があるのだが、良いだろうか?」
と、今度はウィルフレッドがそう尋ねてきたので、水音は「何ですか?」と尋ね返すと、
「以前、其方は『自分には職能の他に大きな力がある』と言っていたな。もしや、その『力』とやらに関わりがあるものなのか?」
と、ウィルフレッドは更に尋ね返した。
その質問に「え、マジで?」と、ヴィンセントが反応する中、水音は「それは……」と顔を下に向けたが、すぐにゆっくりと顔を上げて、
「はい。この世界風に言うのなら……」
と、ウィルフレッド達を見回した後、真剣な表情で答える。
「僕達『桜庭家』の人間は……体に魔物の力を宿してるんです」
謝罪)
大変申し訳ありませんでした。この話の展開を考えていたら、その日のうちに終わらせる事が出来ず、結局1日遅れの投稿となってしまいました。
本当にすみません。




