第1話 突然の「異変」
本日2本目の投稿です。
(ど……どうして?)
気がつくと、辺りには複数の横たわる人間達がいた。
よく見ると、全員が自分と同じ年頃の少年達で、程度はあれど全員負傷していた。
(どうして……こんな事に?)
と、戸惑いながら辺りを見回すと、
「ひっぐ……ううぅ……」
と、泣いている1人の幼い少女が見えたので、彼女の傍に近づくと、その近くには、
(ああ、そんな……そんな!)
自身が傷つけたくなかったとある人物が、血を流して倒れていたので、
「うわぁあああああああっ!」
思わず悲鳴をあげた。
「……はっ!」
目を覚ますと、少年はガバッと上半身を起こした。
そこは、見慣れた自分の部屋の中で、先程まで「夢」を見ていたのだと理解して、
「……また、あの時の『夢』か」
と、少年は苦しそうに胸を押さえた。
彼の名は、桜庭水音。
両親と妹、そして母方の祖父母と暮らす高校2年生だ。
ただ、水音にはとある「秘密」があるのだが、それは後に語る事にするので、今はここでは伏せておこう。
「もう、起きなきゃ」
そう言って、水音は先程まで寝ていた布団から出ると、通っている高校の制服に着替えた。
そして、家族と共に朝食を済ませると、
「「「いってきます」」」
と言って、水音は父親である大蒼と、妹である陽花と共に家を出て、大蒼が運転する車に乗って学校に向かった。
暫くすると、陽花が通っている中学校が見えたので、
「お父さん。お兄ちゃん。行ってきます」
と、その近くで陽花は車を降り、
「「いってらっしゃい」」
水音と大蒼はそう言って陽花を見送った。
その後また暫くすると、今度は水音が通っている高校が見えた。
私立常陽高等学校。
それが、水音が通っている高校の名前だ。
高校の近くに着くと、水音は車を降りて、
「じゃあ父さん、行ってきます」
「ああ、いってらっしゃい」
と、大蒼とそうやり取りすると、水音は高校へと向い、校門を通って校内へと入った。
下駄箱で靴を履き替えた後、水音は2階にある自分のクラスの教室へと向かった。
教室に入ると、早く来た為かクラスメイトの数は少なく、そんな教室を見た後、水音は入り口近くにある自分の席に座って荷物を解いた。
それから少し時間が過ぎると、他のクラスメイト達が次々と入って来て、その中にとある分厚い眼鏡をかけた黒髪の少年を見つけると、
「おはよう、雪村君」
と、水音はその少年に挨拶し、
「ああ、おはよう桜庭君」
と、「雪村君」と呼ばれたその少年も、水音に向かってそう挨拶を返した。
それから更に時が経つと、校舎内にチャイムが響き渡り、1人のスーツ姿の女性が教室内に入ってきた。
その後、女性が教壇に立つと、女子クラスメイトの1人が、
「起立!」
という掛け声をあげると、水音を含めたクラスメイト全員が一斉に立ち上がり、
「礼!」
と、再び女子クラスメイトの掛け声があがると、
『おはようございます!』
と、全員元気よく女性に向かって頭を下げて、
「ああ! みんな、おはよう!」
と、女性も元気よく挨拶をした。
その後、朝のホームルームが始まり、それが終わると今日の最初の授業になった……と、ここまではいつも通りの水音の「日常」なのだが、その日、「異変」が起きた。
それは、午前の授業が終わって、クラスのみんながそれぞれ昼休みを迎えていた時だった。
「ーーーーー」
(ん?)
「ーーーーー」
(何だろう、この『声』?)
教室内に、何やら不気味な「声」のようなものが聞こえたのだ。
その「声」が気になったのか、水音は周囲を見回すと、今朝挨拶を交わした女性とクラスメイト全員にも、その「声」が聞こえている様子だった。当然、その中には雪村という分厚い眼鏡をかけた黒髪の少年もいた。
この事態に水音は、
(な、何だ? 何が起きているんだ!?)
と、困惑していると、教室の扉が勝手にピシャンと閉まり、その後教室の床が眩しく光り出したので、
「な、何だよこれ!?」
と、水音が驚いていると、
「キャアッ!」
と、1人の女子クラスメイトがその光に飲み込まれ、彼女に続くように、
「うわぁあ!」
「キャアアア!」
「ヒィイイッ!」
と、他のクラスメイトだけでなく、女性迄もがその光に飲み込まれた。
「ど、どうなって……」
そして、
「うわぁっ!」
水音も、その光に飲み込まれた。
その際、水音から離れた位置では、
「っ! 桜庭君!」
と、雪村がそう呼ぶ声が聞こえたが、残念な事に、その声が水音に届く事はなかった。
どうも、ハヤテです。
「ユニーク賢者物語」、第1部完結から色々と考えた結果、今日からその派生作品の投稿を始めました。
と言いましても、ある程度投稿したら、「ユニーク賢者物語」本編の第2部を書いて投稿もしますので、こちらの方もよろしくお願いします。