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ユニーク賢者物語外伝 〜青き戦鬼の章〜  作者: ハヤテ
第7章 「邪神」との対決
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第185話 そして、新たな出発(?)へ・2

 お待たせしました、今章最終話です。


 (全く、一体これからどうなっちゃうんだ?)


 と、春風をめぐるヴィンセント達の口論を見て、水音が心の中でそう呟いていると、


 「おーい、水音ぉ! ちょっと来てくれぇ!」


 と、ヴィンセントが呼んでいたので、水音は「え?」と思いながらも、


 「ごめん、ちょっ行ってくる」


 と、春風達にそう言うと、1人、ヴィンセントのもとへと駆け出した。


 近くまで行くと、


 「悪りぃ、ちょっと付き合ってくれ」


 と、ヴィンセントはそう言って、水音と共にヴァレリー達から少し遠く離れた位置まで歩いた。


 「あ、あの、陛下、僕に一体何の用でしょうか?」


 と、水音が恐る恐る尋ねてきたので、ヴィンセントは「それは……」と言おうとすると、何かを察知したのか、ギロリと遠くにいる春風達を睨みつけた。


 そして、彼らが動かなくなったのを確認すると、


 「水音、お前に頼みがある」


 と、ヴィンセントは真剣な表情で水音にそう言った。


 その言葉を聞いて、


 「た、頼み……ですか? それは、どういったものでしょうか?」


 と、水音は再び恐る恐る尋ねると、


 「なぁに簡単な事だ。春風を「帝国に来てくれ」と説得してほしいんだ」


 と、ヴィンセントはニヤリとしながら小声でそう答えたので、


 「え、えぇ僕がですか!? 冗談でしょ!?」


 と、水音は驚きのあまり目を大きく見開きながら大声でそう言ったが、


 「わ! しーっ! しーっ!」


 と、ヴィンセントが大慌てで「声を抑えてくれ!」と言ってきたので、水音はすぐに両手で自身の口を多いながら、無言で「うんうん!」と頷いた。


 その後、水音はどうにかして気持ちを落ち着かせると、


 「せ、説得って、僕がやるんですか?」


 と、またヴィンセントに向かって恐る恐るそう尋ねた。


 それにヴィンセントは真剣な顔で、


 「そうだ。お前が春風を説得して、帝国に招待するんだ。なぁに、お前から言えば春風だって聞いてくれる筈だし、キャリーも春風を気に入ってるから、きっと喜ぶぜぇ」


 と答えると、最後に再びニヤリと笑った。


 しかし、それでも不安なのか、


 「いや、無理ですよ! 春風、ああ見えて疑い深いというか、用心深いところもありますし……」


 と、水音はやんわりと断ろうとした。出会って数年しか過ごしてないが、水音は春風がどういう人間かある程度理解しているからだ。


 そして、


 「ていうかヴィンセント陛下。僕がそんな命令みたいなものに従う人間に見えますか?」


 と、水音が真剣な表情でそう尋ねると、ヴィンセントはまたニヤリと笑いながら、


 「問題ねぇ。次の俺の言葉で、お前は俺に()()()()()()()()()()になっちまうぜ」


 と言ってきたので、水音は「え、何ですか?」と警戒していると、ヴィンセントは水音に顔を近づけて、


 「水音、俺の命令を聞け。さもなくば……」


 ーーゴクリ。


 「な、何ですか?」


 と、水音が警戒を強くすると、


 「ここへの出発前、()()()()()()()()()()()()を春風や仲間達にバラすぞ」


 と、ヴィンセントは更に真剣な表情でそう言ったので、


 「……っ!?」


 と、水音は盛大に目を大きく見開いた。


 ーーな、な、何故あなたがその事を!?


 ーークックック、皇帝()の情報網を舐めてもらっちゃあいけねぇぜ。


 驚愕の表情を浮かべる水音に対し、凶悪な笑みを浮かべるヴィンセント。


 ーーき、汚い! 汚いですよヴィンセント陛下ぁ!


 ーーフ、水音よ、『大人』ってのはなぁ、目的を果たす為なら時には汚ねぇ手段に打って出る事だってあんのさ。特に俺みてぇな『国のトップ』は、な。


 と、更に凶悪な笑みを浮かべるヴィンセントを、水音は「ぐぬぬ……」と睨んだが、やがて観念したかのようにガクリと項垂れると、無言でヴィンセントから離れ、春風達のもとへと歩き出した。


 そして、


 「ど、どうしたの水音?」


 と、尋ねてきた春風を無視して、水音はガシッと彼の両肩を掴むと、


 「春風、一緒にストロザイア帝国に行こう」


 と、真剣な表情でそう言った。


 その言葉に春風は「え?」と首を傾げたが、


 「え、待って水音! 一体何を言ってるのかなぁ!?」


 と、すぐにハッとなって水音に向かってそう尋ねたが、


 「今行こうすぐ行こうとっとと行こう! なぁに、春風ならきっと帝国(向こう)を気にいると思うから!」


 と、水音はもの凄い剣幕でそう言ってきたので、その勢いに呑まれたのか春風はそれ以上何も聞かず(というより聞く事が出来ず)、


 「あー、うん。わかったよ」


 と、諦めたかのようにそう返事した。


 すると、その言葉が嬉しかったのか水音はパァッと表情を明るくして、


 「ヴィンセント陛下、行くそうです!」


 と、ヴィンセントに向かってそう報告すると、


 「いよっしゃあああああ! それじゃあ帝国にすぐに出発だぁ!」


 と、ヴィンセントは勢いよく拳を空へ向かって突き出した。


 そして、


 「ああ勿論、ウィルフやイヴりん、他の勇者達や春風の仲間達も、帝国に行く事は決定だからな」


 と、ヴィンセントがそう言うと、


 『え、えええええええ!?』


 と、皆、一斉に驚愕に満ちた表情を浮かべた。


 とまぁなんやかんやあったが、こうして「邪神ループス」との戦いが終わり、水音は春風達と共に、ストロザイア帝国に行く事が決定した。


 いや、この場合は「帰る」と言った方が正しいのかもしれない、が。


 


 


 


 


 

 どうも、ハヤテです。


 という訳で、以上で外伝第7章(本編では第2部にあたる)は終了です。


 そして、この後また外伝の投稿はお休みし、暫くお休みした後、久しぶりの本編の執筆&投稿を再開しますので、皆様、これからもどうぞよろしくお願いします。

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