表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ユニーク賢者物語外伝 〜青き戦鬼の章〜  作者: ハヤテ
第7章 「邪神」との対決
178/186

第177話 救出後


 ラディウス達を退け、水音達を助け出した春風。


 しかしその後、彼はは苦しそうに悲鳴をあげながら、その場に片膝をついていた。


 それを見て、


 (ああ、春風。あんなに苦しそうに……!)


 と、水音は仲間達と共に春風に駆け寄りながら、悲しみと悔しさに満ちた表情になった。


 それから間もなくして、


 「し、師匠……」


 「大丈夫、私も手伝うから」


 と、春風は凛咲と共に彼岸花を鞘に納めた。


 すると、春風の右目の炎が消え、伸びていた真紅の髪も、元の長さに戻り、色も真紅から本来の黒に戻った。


 (ああ、春風の姿が元に戻っていく……じゃなくて!)

 

 その時には水音達も春風の傍まで来ていて、


 「春風、大丈夫!?」


 と、水音は慌てた様子で春風にそう尋ねると、


 「あー、俺は大丈夫。それより、水音達は平気なの?」


 と、春風にそう尋ね返されてしまった。


 その質問を聞いて、


 (『それより』? 『それより』だって!?)


 と、水音はカチンと来たのか、春風の両肩を掴んで、


 「どうして……どうして彼岸花を抜いたんだよ!? 『やめろ』って言ったのに!」


 と、怒鳴りながら問い詰めた。


 そのあまりの剣幕に、


 「ごめん……」


 と、春風が申し訳なさそうに謝罪すると、


 「お、オイ落ち着けよ水音」


 「そうだよ、春風君のおかげで僕達は助かったんだから……」


 と、進と耕が「どーどー……」と水音を宥め始めたので、その言葉に水音はハッとなると、それ以上何も言わなくなったが、


 (わかってる……わかってるよ。でも……)


 それでも、水音の顔から悔しさが消える事はなかった。


 すると、


 「っ! そうだ、ループス様達!」


 と、春風は思い出したかのようにハッとなってループスとヘリアテスを見たので、それにつられるように水音も、


 (あ、そういえば!)


 と、一緒にループス達に視線を向けると、


 (ああ! 凄いグッタリしているぅ!)


 2柱ともグッタリしていたので、


 「お、お父さん! お母さん!」


 と、レナはすぐに2柱のもとへと駆け出し、水音達もその後を追った。


 「お父さん! お母さん! 大丈夫!?」


 と、レナが2柱に向かってそう尋ねると、


 「うぅ……レナ、私は大丈夫。でも、ループスが……」


 と、ヘリアテスはチラッとループスを見ながらそう答えたので、


 「まさか! お父さん! お父さぁん!」


 と、レナは顔を真っ青にしながら、何度もループスに声をかけた。


 すると、


 「……れ……レナ」


 と、ループスが弱々しくそう返事したので、


 「お父さん! しっかりして!」


 「ループス様!」


 と、レナと春風は必死にループスに声をかけた。


 そんな2人を見て、


 「な、なぁ水音。これ、ヤバくないか?」


 と、進が小声で水音にそう尋ねると、


 「わかんない……わかんないよ」


 と、水音は暗い表情でループスを見ながらそう答えた。


 その時。


 ーーパキッ!


 (あ!)


 突然、ループスの体にヒビが入ったのだ。それも、全身にである。

 

 それを見て、


 「な、何これ!?」


 と、レナが驚いていると、


 「どう……やら……限界のようだ」


 と、ループスは弱々しい口調のままそう答えたので、


 (え……『限界』って?)


 と、水音がその言葉を理解出来ないでいると、


 「私達が閉じ込められていた間、ループスはずっと、私を守ってたんです」


 と、ヘリアテスは悲しみに満ちた表情でそう答えたので、


 (え? それって、まさか!)


 と、水音が思い出したかのようにハッとなると、


 「ちょ、ちょっと待ってよ。お父さん、春風達との戦いのダメージがまだ残ってたんだよ!?」


 と、レナは顔を真っ青にしながらそう言ったので、


 「……あはは」


 と、ループスはそう苦笑いしながら、レナからフイッと視線をずらした。


 その様子を見て、


 「そ、そんな……!」


 と、春風も顔を真っ青にし、


 「オイ水音! これ、マジでヤベェんじゃねぇのか!?」


 「ど、どうしよう! ねぇ、どうしよう!」


 と、進だけじゃなく耕までもが小声で水音にそう話しかけたが、


 (そ、そんなの……僕だってわかんないよう!)


 と、水音も顔を真っ青にするだけで、2人の問いに答える事はなかった。


 


 


 


 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ