第175話 危険な刀
今年最初の投稿です。
それは、水音が凛咲の弟子になって暫く経った時の事だった。
その頃の水音は、凛咲や春風と共に世界中を「旅行」していて、行く先々の国で様々な事を経験していた。
だが、そんなある時、立ち寄ったとある小国で、水音達は絶体絶命の危機に陥った。
武装した集団に囲まれ、彼らが持つ武器が自分達を狙っている。
そして、
(ぼ、僕は……今日ここで死ぬのか?)
と、水音がそう恐怖したまさにその時、ドォンと大きな音を立てて、春風の目の前に真っ赤な雷落ちたのだ。
「うわ! な、何!?」
と、突然の事に驚いた春風が、恐る恐るその雷が落ちた先を見ると、
(え? 日本刀?)
そこには鞘に納まった日本刀が突き刺さっていたので、
「う、嘘。どうして、ここに『彼岸花』が!?」
と、同じくその日本刀を見た凛咲が、驚きのあまり目を大きく見開いた。
その言葉を聞いて、
(彼岸……花?)
と、水音が疑問に感じたその時……。
ーーグゥウウ……。
と、自身の中からそんな「声」が聞こえたので、水音は思わず「え?」と自分の胸に手をあてると、
(僕の中の『鬼』が……怯えてる?)
と、そう感じた水音は、「まさか……」と小さく呟いて、
(『あの刀が怖い』って言ってるのか?)
と、目の前の日本刀を見ながら、再びそう疑問に思った。
そんな時だ。
「ん? 春風?」
春風が目の前の日本刀を掴んだので、
「だ、駄目よ春風! それを抜いちゃ駄目ぇ!」
と、何故か焦ってる様子の凛咲がそう叫んだので、
(え、師匠がそう言うって事は……!)
と、水音も漸くそこで危険に気付いて、
「ま、待って……!」
と、水音も急いで春風を止めようとしたが、1歩遅かったようで、
「彼岸花、俺に『力』を貸してくれぇ!」
と、春風はそう叫んで、「彼岸花」と呼ばれたその日本刀を鞘から引き抜いた。
そこから先は……地獄絵図だった。
そして全てが終わった時、激しい雨降り注ぎ、水音達の周りには、夥しい数の敵だったものが転がっていた。
(な……何だよ……これ……)
そのあまりの惨状に、水音が何が起きたのか理解出来ないでいる中、
「ぼ、僕は……俺は……」
と、春風の声がしたので、
(そうだ、春風!)
水音はハッと春風に視線を向けると、
(春風……なのか?)
そこには、1人の女性の遺体を前に、抜き放った彼岸花を握る変貌した春風の姿があった。
そんな春風を、
「春風……春風……」
凛咲は背後から優しく抱きしめていた。
その状態で、春風は叫ぶ。
「俺は強くなんかない! 強くなんかないんだよぉおおおおおおお!」
その悲しみに満ちた叫びを聞いて、
(……何が……『鬼宿しの末裔』だよ)
と、水音もまた、悔しそうな表情を浮かべた。
それから数年の時が流れて、異世界エルードにて、
「……あ、彼岸花」
春風の手に、あの時の日本刀が握られていた。
それを見た瞬間、
(な、何で……何であの時の刀がここに!?)
と、数年前のあの日の事を思い出して、水音は顔を真っ青にした。
そして、
「今の春風なら、きっとそれを理解し、使いこなせると思う」
と春風に向かって言った凛咲だが、
「駄目だよ春風! この剣は抜いちゃ駄目!」
と、レナは怯えた表情で春風がその日本刀、「彼岸花」を使うのを止めようとしたので、
「そ、そうだよ……春風。そいつは……危険だ」
と、水音もレナに続くように、春風に「待った」をかけた。
しかし、
「師匠、レナをお願いします」
と、凛咲にレナを託すと、春風は彼岸花を抜き放つ構えをしたので、
(だ、駄目だ! 駄目だ春風ぁ!)
「や、やめろ……春風!」
と、水音は更に必死な表情で春風を止めようとした。
だが、
「ごめん、水音。後で幾らでも叱って良いし、なんならぶん殴ってくれたって構わない。でも。それでも俺は、水音やユメちゃん達を、先生を、ループス様とヘリアテス様……レナの大切な家族を……みんなを助ける為に、コイツを振るう!」
と、春風は震えた声でそう言うと、彼岸花の柄をグッと握り締めて、
(や、やめろ! やめてくれぇ!)
「やめろおおおおおおおっ!」
「だから、俺に力を貸せ! 彼岸花ぁ!」
水音の制止を振り切って、彼岸花を鞘から抜いた。
次の瞬間、抜き放たれたその刀身から、禍々しい赤いエネルギーが溢れ出て、それが春風を包み込むと、
「う……うあああああああっ!」
と、春風は苦痛に満ちた叫びをあげた。
あけましておめでとうございます、春風です。
という訳で、前書きにも書きましたように、今回が今年最初の投稿になります。
そして、この後もどんどん書いて投稿していきますので、読者の皆様、今年もよろしくお願いします。




