第174話 「神の怒り」からの……
今年最後の投稿です。
それは、まさしく「神の怒り」だった。
「よくもやってくれたわね……この、紛いものどもが!」
と、目の前のラディウス達に向かってそう怒鳴ったアマテラス。
その言葉に含まれているのは、間違いなく「怒り」だった。
その「怒り」を受けて、ラディウス達は勿論、水音や春風といった、その場にいる者達全てが震え上がった。
そんな中、
「ひ、ヒイイ……!」
と、アマテラスの「怒り」を受けてそう悲鳴をあげたラディウスの仲間であるワポルに向かって、
「び、ビビるなワポル!」
「そうよ! 『力』なら私達の方が上よ!」
と、顔を真っ青にしたカリドゥスとアムニスが励ますようにそう言ったので、
「う、うん!」
と、ワポルも顔を真っ青にしながらコクリと頷いた。
そんな彼らのやり取りを聞いて、
「フーン……」
と、アマテラスは小さくそう呟くと、ツクヨミ、スサノオと共にスーッと空中に浮かび上がり、ラディウス達と同じ目線まで近づいた。
そして、ジーッと彼らを見つめると、
「ああ、確かに『力』はあるようねぇ」
と、アマテラスはそう言うと、ツクヨミ、スサノオと共にスッと右手を上げて、それをラディウス達に向けた。
次の瞬間、
「っ!」
「うお!」
「な!?」
「うぐ!」
「な、何ですかぁ!?」
と、ラディウス達の様子が急におかしくなり始めた。
それと同時に、
「あ、あれ?」
「く、苦しさが、和らいだ?」
それまで苦しそうにしていたループスとヘリアテス、そして、
(……あ)
「……え?」
「な、何だ?」
「苦しく……ない?」
水音をはじめとした勇者達の表情が、まるで苦痛から解放されたかのように柔らかくなった。
そんな彼らを見て、
「何だ? 何が起きたんだ?」
と、春風が首を傾げていると、
「春風君」
と、アマテラスが声をかけてきた。
「は、はい、何ですか?」
「コイツらは私達が抑え込むから、今のうちにみんなを助けて」
そう言ったアマテラスに、春風が「一体どうすれば……?」と困ったような表情になると、
「大丈夫よ。ねぇ、凛咲ちゃん?」
と、アマテラスはラディウス達に視線を向けたままそう言ったので、それを聞いた春風だけでなく水音までもが「え?」となると、
「ええ、勿論よ」
と、いつの間にか春風のすぐ傍に立っていた凛咲がそう返事したので、
「うわぁ! し、師匠!」
と、春風が驚きの声をあげ、
(師匠、いつの間に!?)
と、水音も驚きのあまり目を大きく見開いた。
そんな2人を前に、
「ハァイ、ハニー」
と、凛咲は笑顔でそう言うと、すぐに真面目な表情になって、
「春風。私があげた『お守り』を出して」
と言ってきたので、春風は「え?」と首を傾げたが、すぐに凛咲の言葉に従ってその「お守り」を出した。
それは、水音が持っているものと同じ鉄扇で、その鉄扇を手にした春風と凛咲を見て、
(師匠、一体何を……?)
と、水音はそう疑問に思っていると、凛咲は露出している自身の胸の谷間に手を入れたので、
(ちょ、師匠! 一体何を!?)
と、水音が顔を真っ赤にしていると、凛咲はその胸の谷間から何かを取り出して、
「ふん!」
と、その何かを思いっきり握り潰した。
(いや、だから師匠! あなた一体何をしてるんですか!?)
と、水音がまたまた驚いていると、その握り潰した何かから、何やら禍々しい色合いをしたエネルギーが現れて、まるで吸い込まれるかのようにスゥッと春風の鉄扇へと入った。
それを見て、「何!?」と春風が驚いていると、凛咲は人差し指と中指を結んで印のようなものを作ると、スッと目を閉じて、
「……出番よ、彼岸花」
と、呟いた。
その名前を聞いて、
(え? その名前って……)
と、水音が「ん?」と頭上に「?」を浮かべた次の瞬間、春風の手に持っている鉄扇が、真っ赤な眩い光を放ちながら姿形を変え始めた。
そして、その真っ赤な光が消えると、
(あ、あれは……!)
春風の手には鉄扇はなく、代わりに鞘に納まった一振り日本刀が握られていた。
その日本刀を見て、
「あ……彼岸花」
と、春風はボソリとそう呟き、
(な、何で……何であの刀が!?)
と、水音は顔を真っ青にした。
それと同時に、水音の脳裏に、とある記憶が浮かび上がった。
どうも、ハヤテです。
という訳で、前書きにも書きましたが、今回が今年最後の投稿になります。
と言いましても、翌日からもしっかり投稿していきますので、皆様、来年もよろしくお願いします。