第170話 「戦い」終わって……
(や、やった……)
爽子のトドメの一撃を受けて、ピクリともしなくなったループス。
そんな状態のループスを見て、
「お、俺達……やったのか?」
と、進がボソリとそう呟くと、
「……ああ、私達の勝ちだ。いてて……」
と、爽子がループスを殴り飛ばした右手を痛そうに振りながらそう言ったので、
『や、やったぁ!』
と、クラスメイト達は大喜びした。そんな状況の中、
(良かった。これで一応、『勇者』としての役目(?)は果たしたかな……)
と、水音は心の中でそう呟きながら、ホッと胸を撫で下ろすと、
「そうだ、春風は……!?」
と、思い出したかのように春風がいる方角に視線を向けると、
(ああ、やばい!)
そこには、今にも倒れようとしている春風がいたので、
「は、春風ぁ!」
「春風君!」
「フーちゃあああん!」
と、水音、美羽、歩夢は急いで春風に向かって駆け出したが、
(だ、駄目だ、間に合わない!)
と、水音がそう感じた、まさにその時、
「春風ぁ!」
という叫び声がした後、誰かが春風を抱き止めたので、水音達が「え?」となっていると、
(あ、レナさん!?)
その正体はレナ・ヒューズだったので、
(よ、良かった……)
と、水音が再びホッと胸を撫で下ろしていると、
「っ」
ーーガバ!
「うわぁ!」
なんと、レナは無言で春風を抱き締めたので、
『あああああああっ!』
と、それを見た水音達はそう絶叫した。特に歩夢と美羽は目の前で起きた事にショックで顔を真っ青にし、更に歩夢に至っては、
「ふ、フーちゃん!」
と、ショックのあまり目からブワッと涙が溢れた。
その後、
『じいいいいいいい……』
(春風、君って奴は……)
と、水音を含めた周囲の人達から鋭い視線を向けられた春風は、
「あー、レナさん。俺はもう大丈夫だから、レナはループス様の方に……」
と、未だ自身に抱き付いているレナに向かってそう言ったが、
「お父さんは良いの」
と、レナはそう言うと、更に春風を抱き締める力を強くした。
春風は困ったような表情を浮かべながら、ふと倒れているループスに視線を向けると、
「……あ、ヘリアテス様」
と、その傍にヘリアテスがいるのが見えたので、春風とレナはヘリアテスのもとへと歩き出した。勿論、水音達も一緒に、だ。
「ループス様……」
と、春風が倒れたループスに向かってそう声をかけると、ヘリアテスはループスに顔を近づけて、
「いつまで死んだふりしているの?」
と、尋ねた。
その質問を聞いて、水音達が「え?」と首を傾げていると、
「あはは。やっぱバレてるかぁ」
と、ループスは元気よくそう答えたので、水音達は思わず「うわ!」と驚いた。
(う、嘘だろ!? もう回復した……いや、全然効いてないのか!?)
と、水音が戸惑いの表情を浮かべる中、
「まったく、ループスったら無茶ばかりして」
と、ヘリアテスが呆れ顔でそう言うと、
「悪かったって。でも、仕方ないだろ。これくらいしなきゃ、コイツの覚悟がどれ程のものかわからないんだからよぉ」
と、上半身を起こしたループスは、チラッと春風を見ながらそう言った。
その言葉を聞いて、
(え? 『覚悟』って……)
と、水音が疑問に思っていると、
「お、お、おのれぇえええええ! まだ生きていたか邪神めぇ!」
という怒鳴り声がしたので、水音が「ん?」と声がした方へと振り向くと、
(あ、ジェフリー教主)
そこには顔を真っ赤にしながら地団駄を踏んでいるジェフリーがいたので、水音は「うわぁ」と嫌悪感丸出しの表情になった。
そんなジェフリーに向かって、
「く、クラーク教主、落ち着くのだ」
「そうだぜ。教主なんだからみっともない姿晒すんじゃねぇよ」
と、ウィルフレッドとヴィンセントがそう嗜めたが、
「なにを言うか! こうして邪神がまだ生きてるとわかった今、すぐにトドメをさすべきではないのですか!?」
と、ジェフリーが更に憤慨しながら、ヴィンセント達に向かってそう尋ねた。
それを聞いて、水音は更に嫌悪感を剥き出しにすると、
(コイツ、1発殴って良いだろうか?)
と、ジェフリーに視線を向けたまま、心の中でそう呟いた。
その時、
「そうだ。彼の言う通りだ」
という声が何処からか聞こえたので、それを聞いた水音達は思わず「えぇ!?」とキョロキョロし出すと、
「こっちだ」
と、上空からそんな声がしたので、水音達は一斉に空を見上げた。
次の瞬間、空から赤、青、緑、オレンジ、そして白の大きな光の塊が降りてきたので、
(え、な、何!?)
と、水音が戸惑いの表情を浮かべていると、光の塊が眩く輝くのと同時に、その形を変えていった。
そして、その変化が終わると、
「……え? 人?」
と、耕がそう呟いたように、5つの光の塊は、5人の人の姿になった。




