第169話 「見習い賢者」vs「邪神ループス」・4
「『化身顕現』! 羽ばたけ、『フェニックスゥ』!」
そう叫んだ後、緑、赤、青い光に包まれた春風。
その後現れたのは、1羽の美しい真紅の鳥だった。
その姿を見て、
(これが、化身顕現。春風オリジナルの魔術……)
と、水音はゴクリと唾を飲んだ。
そして、爽子をはじめとした他の勇者達も、変身した春風の姿に見惚れていた。
「ほう、ソイツがお前の奥の手って奴か?」
そう尋ねてきたループスに対して、
「いきます」
と、フェニックスに変身した春風は一言だけそういうと、左右の翼を羽ばたかせて空へと舞い上がった。
「と、飛んだ!」
「す、スッゲェ!」
と、勇者達からそんな声があがる中、春風は上空でクルッと1回転すると、もの凄いスピードでループスに向かって突撃した。
「正面だと!? 上等だぁ!」
と、ループスはそう叫ぶと、その場に踏ん張って力を溜め、それを自身の口の中へと移動させたので、それを見た水音は、
「お、大きいのが来る! 逃げろ春風ぁ!」
と、春風に向かってそう叫んだが、
「受けろ! 春風ぁあああああっ!」
と、ループスはそう叫びながら、自身に向かって突撃してきた春風に向かって、溜め込んだその力を口からぶっ放した。
「うぅ! な、なんて凄いエネルギーなんだ!」
「ちょ、ちょっと! これ、雪村君大丈夫なのか!?」
咆哮と共に放たれたそのエネルギーが春風に迫る。
そのあまりの凄まじさに、勇者達は春風を心配した。
そして、誰もがその攻撃を回避するだろうと思っていたが、
「っ」
春風にその素振りはなく、寧ろ迫り来るループスの攻撃に対しても突撃する勢いだった。
「そ、そんな……逃げてくれ、春風ぁ!」
と、水音がそう叫ぶも虚しく、春風はそのエネルギーに思いっきりぶつかった。
その瞬間、ドォンと大きな音を立てて爆発する。
その衝撃と爆発の閃光が凄まじかったのか、その場にいる誰もが腕で顔を覆った。
そして、
「は、春風ぁあああああ!」
「フーちゃあああああん!」
「春風くぅうううううん!」
と、水音、歩夢、美羽がそう悲鳴をあげたその時……。
ーーブワァ!
爆発の中からフェニックスとなった春風が現れた。
「なぁにぃいいいいい!?」
その姿にループスが驚きの声をあげ、
「は、春風!」
「フーちゃん!」
「スゲェ! 生きてた!」
「かっこいいいいい!」
と、水音をはじめとした勇者達はパァッと表情を明るくした。
その後、
「……そうか。わかったぞ、ソイツの秘密が!」
と、ループスはそう呟いた後、
「来やがれ! 受け止めてやる!」
と、もの凄いスピードで突っ込んできた春風を止めようと身構えたが、
「無駄ですよ」
「何!?」
その勢いが強かったのか、ループスは攻撃を受け止める事が出来ずにもろに受けてしまった。
その瞬間、パンッと音を立てて、
「あ、消えた!」
水音達を閉じ込めてた透明な球体が消滅した。
そして、全員が自由になると、
「みんな」
『?』
「これで終わらせるぞ!」
と、爽子がループスに視線を向けながらそう言ったので、
『はい!』
と、水音達は迷わずそう返事した。
そして、
「……っ! しまった!」
水音達の存在に気付いたループスはすぐに行動しようとしたが、
『させるかぁあああああっ!』
それを阻止しようと、水音達は様々な攻撃を繰り出してきたので、
「ちくしょうがぁあああああああ!」
と、ループスは多少ダメージを受けつつ、それらを回避していった。
そして、何度目かの回避の後、
『ウオオオオオオオッ!』
「うげ!」
水音を含めた数人の勇者達が、ループスにガシッとしがみついた。
「こ、この、離せ……!」
と、なんとか彼らを引き剥がそうとしたループスだが、
(は、離すもんか! 絶対に、離すもんかぁあああああ!)
と、水音と他の勇者達は必死になってループスにしがみつく力を強くした。
そして、
『先生!』
と、水音達がそう叫んだので、ループスは「え?」と首を傾げると、
「私の生徒に……」
いつの間にか目の前まで来ていた爽子に、ループスはハッとなったが、
「何してくれてんだあああああああ!?」
と、爽子はそれよりも早く、ループスの顔面に向かって右ストレートをお見舞いした。
それを受けたループスは、
「グフアアアアアアアッ!」
と、思いっきり吹っ飛ばされた後、体を何度も地面にバウンドさせた。
そして、
「ぐ……うぐ」
と、苦しそうに呻くと、ループスはそのまま動かなくなった。




