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ユニーク賢者物語外伝 〜青き戦鬼の章〜  作者: ハヤテ
第7章 「邪神」との対決
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第167話 「見習い賢者」vs「邪神ループス」・2


 「行かせてもらいます!」


 そう言って、1人ループスに向かって突撃した春風。それを見て、


 「ゆ、雪村! 駄目だ!」


 と、爽子はそう叫んだが、ループスが作った透明な球体に閉じ込められている状態ではどうする事も出来ず、その後悔しそうな表情を浮かべた。


 一方、水音はというと、


 (く! 確かに、力を奪われているとはいえ『神様』を相手にたった1人で戦うなんて、どう見ても無茶すぎる)


 と、爽子と同じように悔しそうな表情を浮かべていたが、


 (いや、もしかしたら春風なら……)


 と、すぐに表情を変えてゴクリと唾を飲みながら、黙って春風を見守る事にした。


 そして始まる、春風とループスの一騎打ち。


 ループスは自身が作った黒い剣を振るって様々な攻撃を繰り出すが、


 「フン! ハッ! フゥ!」


 春風はそれら全てを防御、回避していった。


 そして、その最中にループスに隙が生まれたので、それを見逃さなかった春風は、


 「『ファイアボール』! 『ウォーターエッジ』! 『ウインドニードル』!」


 と、ループスに向かって自身が使用出来る攻撃魔術を放った。


 炎の剛球を飛ばす「ファイアボール」。


 水の刃で切り裂く「ウォーターエッジ」。


 風の針で貫く「ウインドニードル」。


 3属性の攻撃魔術が、ループスに迫る。


 普通ならここで防御するか回避するだろうが、運が悪い事にその時ループスは攻撃を繰り出す途中だったので、どちらも行う事が出来ず、結果、それら全てをくらってしまった。


 それを見て、


 「やったか!?」


 と、透明な球体内の純輝がそう叫んだが、


 「そこ! それ、思いっきりフラグだから!」


 と、春風にそうツッコミを入れられてしまい、


 「あう……」


 と、純輝はシュンとなってしまった。


 (正中君、お気の毒に)


 その時だ。


 「悪いが、俺はこの通りピンピンしてるぜ」 


 というセリフと共に現れたループスが、春風に向かって剣を振り下ろした。


 それを見て、


 「は、春風ぁ!」


 「雪村ぁ!」


 と、悲鳴をあげる水音と爽子。


 絶対絶命かと思われたが、


 「こんのぉ……!」


 春風は魔力を込めた杖で、振り下ろされた剣を受け止めた。


 「ほほう、受け止めるとはやるじゃねぇか。じゃあ、コイツはどうかな!?」


 と、ループスはそう言うと、もう1本黒い剣を生み出して、それで春風を貫こうとした。


 しかし、


 「こんちくしょうが!」


 と、春風はそう叫ぶと、自身の右足に風の魔力を纏わせ、それでもう1本の剣による刺突を防いだのだ。


 『ふ、防いだのだぁ!』


 「うげっ! コレも防ぐのかよ!?」


 まさかの結果に驚く水音ら勇者達とループス。


 その後、


 「どぉっせぇえええええええい!」


 と、そう叫んだ春風は、思いっきり力任せにループスを押し出して、


 「『アースハンマー』!」


 と、土属性の攻撃魔術「アースハンマー」を唱えた。


 その瞬間、ループスの頭上に大きな土の塊が現れて、それがループスの頭目掛けて落ちて来たが、


 「あっぶねぇ!」


 と、ループスは間一髪のところでその場から飛び退き、攻撃を回避した。


 そして、ループスは「ふいー」とひと息入れると、


 「中々やるようだな。なら、次はコイツだ!」


 と、新たな行動に移った。


 (な、何だ!? 何をする気なんだ!?)


 と、水音が再びゴクリと唾を飲むと、


 「この身に集え、我が分身達よ!」 


 と、ループスは4体の分身達に向かってそう叫んだ。


 次の瞬間、分身達はループスのもとへと飛び、その傍に着地すると、1体、また1体と、ループスの体に吸収され始めた。


 『ああ、分身達が!』


 と、驚く水音らを他所に、分身達を吸収したループスの体が、ボコボコと音を立てながら変化していった。


 持っていた黒い剣は消え、全身がひと回り大きくなった。両腕が熊型の分身の両前足のようになり、両足は虎型の分身の後ろ足のようになり、お尻からは蛇型の分身の尻尾が生えて、最後に背中から大鷲型の分身翼が生えてきた。


 そして、変化が終わると、


 「さぁ、第2ラウンドの始まりといこうじゃないか」


 と、ループスは春風に向かってそう言い放った。


 一方、水音はというと、


 (……いや、ループス様その姿……)


 分身達と合体したループスの姿を見て、


 (レナさんには悪いけど……思いっきり『邪神』じゃないですかぁああああ!?)


 と、心の中で悲鳴をあげるのだった。

 


 


 

 

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