第165話 勇者達(と春風)vs「邪神ループス」・4
すみません、遅れてしまいました。
「みんな、いくぞ!」
「「「はい!」」」
そう叫びあうと、水音、爽子、純輝、そして煌良の4人は、それぞれ召喚した「神器」を手にループスに突撃した。
水音が持つ「大剣」を思わせる神器の他に、爽子と純輝の手には純白の長剣型の神器、煌良の手には斧の刃ついた槍ーーハルバード型の神器が握られていて、突撃前に春風の強化魔術を受けた4人は、それら全てをループスに向かって振り下ろした。
しかし、肝心のループスはというと、4人から攻撃されようとしていたにも関わらず、その場から1歩も動こうともしないで、
「フン」
と、落ち着いた表情で鼻を鳴らすと、自身の尻尾を大きくしてそれを軽く振るった。
その瞬間……。
ーーガキィン!
という音と共に、水音達の攻撃を全て弾いた。
そしてそれと同時に、凄まじい衝撃波が4人を襲い、
「「「「うわぁあ!」」」」
と、その衝撃波を受けた4人はそう悲鳴をあげながら、思いっきり吹っ飛ばされた。
それを見て、
「みんな……!」
と、春風はすぐに行動に移そうとしたが、
「おっと、そうはいかねぇよ」
「っ!」
いつの間にか近くまで来ていたループスに驚いて、春風はすぐにその場から飛び退こうとしたが、それよりも早く、ループスは自身の右前足を大きくして、そこから鋭い爪を生やした。
そして、それを春風めがけて思いっきり振り下ろしてきたので、春風はすぐにそれを持っていた杖で受け止めた。
「くぅ!」
「お、やるじゃねぇか」
攻撃を防いだ春風に向かってそう言ったループス。そんな彼らを見て、
(あ! は、春風が!)
と、吹っ飛ばされていた水音はすぐに動いて、
「春風から、離れろぉ!」
と、手にした神器をループスに向かって振り下ろしたが、
「嫌だね」
と、ループスはそう言うと、尻尾を振るって水音の攻撃を防いだ。
「な! また止められた!?」
と、驚く水音に向かって、
「オイオイ。この程度かよ勇者様よぉ」
と、ループスが呆れ顔でそう言うと、
「まだだ!」
と、いつの間にか傍まで来ていた爽子が、ループスに攻撃を仕掛けてきた。勿論、純輝と煌良も一緒だ。
だが、
「甘い」
と、ループスはそう呟くと、尻尾ではなく全身を思いっきり回転させて、3人の攻撃を弾いた。
「「「っ!」」」
攻撃を弾かれて驚く爽子、純輝、煌良。
そこから生まれた隙をついて、ループスは尻尾による攻撃や体当たりを駆使して、3人だけでなく水音までも吹っ飛ばした。
その後、どうにか地面に着地した水音は、
(ぐぅ! ち、ちくしょう!)
と、ループスを睨みながら、心の中でそう悔しがった。
そんな水音をチラッと見ながら、
「フーン。この程度かよ。で、お前はいつまでコイツらのサポートに徹するつもりだ?」
と、ループスは春風に向かってそう尋ねた。
その質問を受けて、春風は「それは……」と答えにくそうにしていると、
「ほほう。だったら……」
と、ループスはそう呟いて、自身の額にある第3の目を開くと、それをピカッと輝かせた。
突然の眩い光に、
(うわ! 眩しい!)
と、思わず目を閉じた水音。
その後、光が弱くなったのを感じて、水音はゆっくりと目を開けると、
「……は? 何これ?」
と、視界が何やらおかしな事になってるのに気が付いたので、水音は恐る恐る手を伸ばした。
すると……。
ーーペタ。
「はあ!? な、何だよこれ!?」
どうやら自分が今、透明な球体の中に閉じ込められてる状態なのを理解して、水音は驚きの声をあげた。
いや、水音だけではない。
「せ、先生! 正中君、力石君!」
どうやら爽子や純輝、煌良までもが水音と同じ状態になっていて、更に周囲を見回すと、
(そんな……みんなまで!)
と、それまでループスの分身達ち戦っていたクラスメイト達までもが閉じ込められている状態になってしまったのを知って、水音はショックで顔を青くした。
だが、
「……って、あれ? 何で俺だけ自由!?」
(え?)
なぜか、春風だけが自由な状態になっていた。
「な、何だよこれ!? どうして俺だけ!?」
と、突然の事に戸惑う春風に向かって、
「さぁ、春風。ここからが本当の戦いだ」
と、ループスはニヤリと笑いながら言った。
(……え? 『本当の戦い』って……)
その言葉を聞いて、
「『本当の戦い』って……ループス様、一体先生達に何をしたのですか!?」
と、春風が「戸惑い」と「怒り」が入り混じったかのような表情でそう尋ねると、ループスは「ん?」と首を傾げて、
「ああ、心配するな。邪魔だからちょいと閉じ込めさせてもらっただけだから」
と、悪びれもなくそう答えたので、
(な! じゃ、邪魔だって!?)
と、水音は「怒り」に満ちた表情でループスを睨みつけた。
そんな水音を他所に、
「ループス様。まさかとは思いますが、あなたの目的は……」
と、何かに気付いたかのような表情になった春風が、ループスに向かってそう尋ねると、
「そうだ。最初からお前と戦う事が目的さ」
と、ループスは再び悪びれもなくそう答えたので、
(ちくしょう! そういう事かよ!)
と、水音は更に「怒り」に満ちたループスを睨みつけながら、心の中でそう呟いた。
謝罪)
大変申し訳ありませんでした。この話の流れを考えてたら、その日のうちに終わらせる事が出来ませんでした。
本当にすみません。