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ユニーク賢者物語外伝 〜青き戦鬼の章〜  作者: ハヤテ
第6章 「友」との再会
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第132話 ちょっとした「報告」・3


 「へー、そんなに凄かったんだ。そのエレクトラ様って人」


 「ああ、俺ら手も足も出なかったわ」


 あれから春風はどうにかして自身と凛咲の「冒険譚」から話を逸らすのに成功すると、水音達に話の続きをさせた。


 その後、水音達は春風に、ストロザイア帝国皇帝ヴィンセントと、その娘である第2皇女エレクトラがルーセンティア王国に来た時の事を話し始めた。


 「ビックリしちゃったよ。訓練場に入ったら、まさかの『地獄絵図』が広がってたんだから」


 『いやいや、地獄絵図って……』


 遠い目で「はぁ」と溜め息を吐きながらそう話す水音に対して、ツッコミを入れる進らクラスメイト達。そんな彼らに向かって、


 「うちのエレンがごめんなさいねぇ」


 「「妹が大変申し訳ない」」


 と、キャロライン、レオナルド、アデレードは深々と頭を下げて謝罪した。


 その謝罪の後、


 「で、先生もやられちゃってな。水音が来た時、残ってたのは正中と力石だけだったんだ」


 と、そう話した進の言葉を聞いて、


 「おぉ! 正中君だけじゃなく力石君も残ってたんだ!」


 と、春風は大きく目を見開きながらそう言ったので、


 「ん? 誰?」


 と、それまで黙って話を聞いていたレナがそう尋ねると、


 「フルネームは力石(りきいし)煌良(あきら)君。普段はクールな印象なんだけど、かなり強い武術の使い手なんだ」


 と、春風はそう説明した。


 それに「へぇ」と返事したレナを前に、


 「……そうさ。俺ら『勇者』……特に前衛戦闘職能持ちの中じゃあアイツと正中が1番強いんだよ」


 と、若干不貞腐れた表情をした鉄雄がそう話すと、


 「そうそう。まぁ、それでも、最後は2人ともエレクトラ様にぶっ飛ばされたんだけどねぇ」


 と、今度は恵樹が軽いノリでそう続けたので、それに春風が「そうなんだ」と応えると、


 「じゃあ、水音もそのエレクトラ様と戦ったって事?」


 と、水音に向かってそう尋ねた。


 それに水音が「うん」とコクリと頷きながら返事すると、春風は「うーん」と考え込んで、


 「ねぇ水音」


 「何?」


 「もしかして、『力』使った?」


 と、再び水音に向かってそう尋ねた。その質問を聞いて、進らクラスメイト達は「あ……」と声もらし、レナをはじめとした春風の仲間達は「え?」と首を傾げていると、水音は表情を暗くして、


 「……その事なんだけど春風。そして師匠」


 「「ん?」」


 「僕の中の『鬼』は、今、封印されてる状態なんだ」


 と、答えた。


 その答えを聞いて、


 「何だって?」


 「水音、何があったの?」


 と、春風と凛咲はかなり真剣な表情でそう尋ねると、


 「この世界に召喚される際に、僕は今の神々……敵の親玉に職能を植え付けられたんだ。そして、その職能が、『鬼』を封じ込めいるんだ」


 と、水音は辛そうな表情でそう答えたので、


 「そうだったんだ」


 と、春風はそう言うと、グッと自身の拳を握り締めた。


 その後、


 「じゃあ、水音は『力』なしでそのエレクトラ様と戦ったって事なの?」


 と、凛咲がそう尋ねてきたので、


 「はい。その時は、()()()()()をさせてもらいました」


 と、それに水音がそう答えると、


 「え? 『俺の真似』って?」


 と、春風がポカンとした表情で尋ねてきたので、


 「覚えてる春風? 僕と初めて会った時、君と手合わせしたよね?」


 と、水音は春風に向かってそう尋ね返した。


 それを聞いて、


 「ああ、()()()の事か……」


 と、春風がその時の事を思い出してると、


 「……え? ちょっと待って水音。まさか君……!?」


 と、急に何かを思い出したかのような表情で水音に向かってそう尋ねた。


 その質問を聞いて、


 「うん。その時春風が()()()()()を真似して……彼女を4()()()()()()()


 と、水音は真っ直ぐ春風を見てそう答えた。


 その瞬間、


 「な……何やってんの水音ぉおおおおおおおっ!?」


 と、春風は驚愕の叫びをあげると、水音の両肩をガシッと掴んで、


 「何やってんだよ水音!? 駄目だよ()()()()女の子に、それも皇女様にやっちゃ!」


 と、ユッサユッサと揺さぶりながらそう怒鳴ったが、


 「何言ってるんだよ! 春風だって、あの時この()僕の事()()()癖に!」


 と、水音にそう怒鳴り返されてしまい、それを聞いて春風は、


 「うぐ! それは……」


 と、言葉を詰まらせ、


 『え? それ、どういう意味?』


 と、周囲が首を傾げていると、


 「な、なぁ雪村。『倍』って何だ? 『倍』って」


 「そ、その時の事、詳しく聞いてないんだけど。え? 『倍』ってまさか、8()()()()()って事?」


 と、進と耕がそう尋ねてきたので、その質問に対して春風は、


 「……1()6()()


 と、かなり気まずそうにそう答えた。


 次の瞬間、


 『よ、よ、4倍だとぉおおおおおおお!?』


 と、一部を除いた周囲からそう驚きの声があがり、その後すぐに、


 『おまえが何やってんだぁあああああああっ!?』


 と、クラスメイト達は一斉にそう叫びながら春風に詰め寄った。


 それに対して、


 「だ、だぁって! やられたら4倍の『倍倍返し』は当然だろぉ!?」


 と、春風が怒鳴るようにそう尋ねると、


 『それは、この世から『さようなら(バイバイ)』させるって意味ですかぁ!?』


 と、逆にクラスメイト達にそう尋ね返されてしまい、春風は「うぐ……」と再び言葉を詰まらせたが、


 「あああもう! 俺の事はもう良いから!」


 と、開き直るかのようにそう叫んだ後、


 「で、水音! 4回殺したって事は、そのエレクトラ様に勝ったって事で良いんだよね!?」


 と、強引に話題を変えるように水音に向かってそう尋ねた。


 その質問に対して、


 「ああ、勿論僕が勝ったよ」


 と、水音はそう答え、それを聞いて、


 「「おお、流石ぁ!」」


 と、春風だけでなく凛咲までもが驚きの声をあげた。


 その後、水音は真剣な表情で口を開く。


 「……で、その結果」


 「「ん?」」


 「エレクトラ様に『好きだ』と告白された」


 「「何でそうなった!?」」


 水音の口から出たまさかの結末を聞いて、春風と凛咲がそう絶叫すると、


 「そして、その後……」


 「「ん?」」


 「ヴィンセント陛下に、『責任とってエレクトラと結婚しろ』って言われた」


 と、水音は更に真剣な表情でそう言った。


 その言葉を聞いてから4秒後、


 「「何でそうなったぁあああああああ!?」」


 と、春風と凛咲は再びそう絶叫した。


 


 


 


 


 

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