第131話 ちょっとした「報告」・2
「で、その後の事なんだけど……」
と、水音はそう言うと、春風に切人との一件の後について話し始めた。
あの後、水音、歩夢、美羽の3人は、爽子やクラスメイト達(1部を除いて)だけでなくウィルフレッドら王族達に、自分達と春風との関係について話をしたという。
「え、待って! 何でウィルフレッド陛下達も一緒に!?」
と、春風がその時の事について尋ねると、水音は「うーん」と唸りながら答える。
「なんか、色々あって……」
「意味わかんねぇよ!」
と、春風はそうツッコミを入れたが、凛咲に「どーどー……」と言われて、
「はぁ。それで、何処まで話したの?」
と、半ばヤケクソ気味にそう尋ねると、
「主に君とどんな風に出会ったかとかと、君が僕と師匠との生活の中でどんな無茶をしたかを全部……」
と、代表するかのように水音がそう答えたので、
「いや『全部』って……てか、『無茶』って何だよ!? 俺そこまで大したことしてないぞ!」
と、春風は「オイオイ!」と反論したが、
「してるだろ! スッゴイ無茶してるだろ! 君が何か無茶する度に僕はいつもハラハラしていたんだからな!」
と、水音にそう言い返されてしまい、春風は「えぇ?」と首を傾げていると、
「……あれ? ユメちゃんに、美羽さん? 何で俺の両腕にしがみついてんの?」
歩夢と美羽が春風の両腕にしがみついてきたので、「え? え?」と困惑しながら、2人に向かってそう尋ねた。
その質問に対して、
「「……」」
と、歩夢と美羽は目をウルウルとさせながら、無言でジィッと春風を見つめた。そんな2人を見て、
「あ、あのね、2人とも……」
と、春風は何か言おうとしたが、
「「……」」
歩夢も美羽も、ただ無言で春風をジィッと見つめたままなので、
「……し、心配かけて、すみませんでした」
と、春風は観念したかのように謝罪した。その間、周囲から「ふふ……」と小さく笑われて、
「むー」
と、何故かレナだけは頬を膨らませていた。
その後、
「……じゃあ、みんなはもう俺の事知ってるの?」
と、春風がしょんぼりした表情でそう尋ねると、
「ああ。特に正中とウィルフレッド陛下、お前の活躍を聞いて目をキラキラとさせてたぜ」
と、鉄雄が「クックック……」と笑いながらそう答えたので、
「ま、マジかよ……」
と、春風はガクリと頭を下げたが、
「……ん? ちょっと待てよ」
と小さくそう呟くと、スッと頭を上げて、
「み、水音。まさかとは思うけど……」
と、チラリとキャロラインを見ながらそう言うと、
「うん、キャロライン様達にも君の事は話してあるから。あ、勿論、この場にいないヴィンセント皇帝陛下にもね」
と、水音はグッと親指を立てながらそう答え、それに続くように、
「うふふ」
と、キャロラインも穏やかな笑みを浮かべたので、
「う、嘘だろぉおおおおお!?」
と、春風は絶叫した。
すると、
「あ、そうだ!」
と、凛咲がそう口を開いたので、それに水音達が「ん?」と反応すると、
「ねぇ、みんな。そこまで知ってるなら、私と春風の冒険譚聞きたい?」
と、凛咲は周囲を見回しながらそう尋ねてきたので、
「……え? そ、それって、水音君が『弟子』になる前の話ですか?」
と、耕すが頭上に「?」を浮かべながらそう尋ねた。
その質問を聞いて、
「……え! ちょ、ちょっと待って……
と、春風が止めようとしたが、それを遮るように、
「ええ、そうよ。水音が私に弟子入りする前の、私と春風の冒険譚よ」
と、凛咲は笑顔でそう答えた。
その答えを聞いて、
「ま、待ってししょ……」
と、春風は「待った」をかけようとしたが、
『是非聞きたいです! 今すぐぅ!』
と、進らクラスメイト達だけでなく、イヴリーヌやキャロライン達までもが目をキラキラとさせながらそう言い、その言葉を聞いて、
「か、勘弁してくれぇえええええ!」
と、春風は再び絶叫した。
因みに、
「あ、そうだ雪村君」
と、恵樹が春風に向かってそう口を開いたので、
「な、何、野守君?」
と、春風がそう返事すると、
「君、真っ赤なドレス姿になったんだよね?」
と、恵樹にそう尋ねられてしまったので、
「げげ! そ、それも知ってるのかよ!?」
と、春風がショックを受けていると、
『み、見たい! スッゴイ見たい!』
と、クラスメイト達だけでなくイヴリーヌやキャロライン達までもがそう言ってきたので、
「絶対にぃ! 嫌だぁあああああああっ!」
と、春風はそう絶叫しながらそれを拒否した。