表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ユニーク賢者物語外伝 〜青き戦鬼の章〜  作者: ハヤテ
第6章 「友」との再会
107/186

第106話 新たな再会


 「チクショオオオオオッ!」


 そう叫びながら床を殴りつけた鉄雄。


 そんな彼の様子を、水音は悲しそうな表情で見つめた後、


 (落ち着け。気持ちを落ち着かせるんだ僕)


 と、心の中でそう自分に言い聞かせ、ゆっくりと深呼吸すると、


 「……あのさぁ、春風。それに、レナ……さん」


 と、水音は春風とレナにそう話しかけた。


 それに春風とレナが、


 「ん?」


 「何?」


 と返事すると、


 「君達の事情はわかった。わかったけど、敢えて聞くよ」


 と、水音はそう言って表情を暗くすると、


 「2人共、本気で『神様』を殺す気なの?」


 と、頭上に「?」を浮かべる春風とレナに向かってそう尋ねた。


 その質問が出た瞬間、食堂内が一気に緊張に包まれ、その場にいる誰もがタラリと汗を流しながらゴクリと唾を飲んでいると、


 「……殺すよ。それで、私を育ててくれた、大好きなお父さんとお母さんの力を取り戻せるなら」


 と、レナが真っ直ぐ水音を見つめながらそう答えた。


 その答えが出た瞬間、食堂内が更に緊張に包まれ、それと同時に、イヴリーヌが悲しそうな表情で下を向いたのが見えたが、水音はそれをスルーして春風に視線を向けた。


 そして、


 「俺は……」


 と、春風が水音の質問に答えようとした、まさにその時、


 「ふざけるなぁ!」


 という怒声と共に1人の人物が食堂に入ってきたので、


 (うわ! 何だ!?)


 と、びっくりした水音がその声がした方へと視線を向けると、そこにはイヴリーヌと一緒に来ていたヘクターやルイーズと同じルーセンティア王国の騎士の鎧(ただし、彼らのより派手さはないが)を纏った、水音と同じ年頃くらいの若い青年がいた。


 はじめは驚きのあまりその青年が何者なのかわからなかった水音だが、


 (……あれ? アイツ、何処かで見た事があるような……)


 と、その青年の顔を見て既視感に襲われたので、水音が「誰だったかな?」と思い出そうとしていると、


 「あ。アンタは、俺が最初にぶっ飛ばしたルーセンティア王国の騎士」


 と、春風がその青年を見てそう言ったので、


 (あ、そうだ! 思い出したぞ!)


 と、水音もその青年の事を思い出した。


 そう、その青年の正体は、この世界に召喚されたあの日、


 「この世界を救ってほしい」


 と言ったルーセンティア王国国王ウィルフレッドの申し出に対して、


 「すみません、やっぱり無理そうなので、ここを出て行く許可をください」


 と、その申し出を断った春風に斬りかかろうとして思いっきりぶっ飛ばされた、あの時の騎士だったのだ。


 その事を思い出した瞬間、


 「な、なぁ耕。 アイツって確か……」


 「う、うん。雪村君の言う通り、謁見の間で雪村君に斬りかかってきた騎士だよ」


 「嘘でしょ? 何でアイツがここにいるの!?」


 と、進、耕、祭が口々にそう言って、


 (そうだ。アイツは……アイツはあの時、春風を殺そうとした……!)


 と、水音は「怒り」に満ちた表情で、その騎士の青年をギロリと睨みつけた。勿論、


 「「……っ」」


 歩夢と美羽も、水音と同じように騎士の青年を睨みつけた。


 しかし、そんな水音達を無視して、


 「か、神を! 神を殺すだと!? そんな事、許すものか!」


 と、騎士の青年がそう怒鳴ってきたので、


 「はぁ? 何よアンタ、やろうっての?」


 と、レナは彼に向かって挑発するかのような口調でそう言い返した。


 睨み合うそんな2人を見て、


 「え、ちょっと待って2人共……」


 と、春風が止めようとしたその時、


 「やめないかエヴァン!」


 と、慌てた様子のヘクターが食堂内に入ってきて、「エヴァン」と呼んだ騎士の青年をガシッと取り押さえた。そして、ヘクターの後に続くように、


 「エヴァン……」


 と、ルイーズも食堂内に入ってきた。


 目の前で起きた突然の出来事に、


 (え? な、何事?)


 と、水音をはじめとした誰もが頭上に「?」を浮かべていると、


 「皆様方、大変申し訳ありませんでした」


 「……申し訳ありませんでした」


 と、ヘクターとルイーズが、「エヴァン」と呼んだ騎士の青年の頭を押さえつけながら、深々と頭を下げて謝罪してきたので、


 (え? あ、あれ? 何この状況?)


 と、先程まで怒っていたのが嘘のように、水音は再び頭上に「?」を浮かべながらキョトンとしていた。


 すると、アマテラスがヘクター達の前に出たので、


 (え、アマテラス様?)


 と、水音がアマテラスに視線を向けると、


 「彼は、あなたの部下かしら?」


 と、アマテラスはチラッと騎士の青年を見ながら、ヘクターに向かってそう尋ねてきたので、


 「は、はい、その通りです異世界の神様。彼の名は、エヴァン・クルーニー。私達と同じルーセンティア王国の騎士にして、こちらのルイーズの弟にございます」


 と、ヘクターはチラッとルイーズを見ながら、アマテラスに向かってそう答えた。


 その答えを聞いて、


 (へ? お、弟ぉ!?)


 と、水音は驚きのあまり目を大きく見開いた。

 

 


 


 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ