第102話 「真実」・4
お待たせしました、1日遅れの投稿です。
そして、今回はいつもより長めの話になります。
ヘリアテスによって語られたエルードの「真実」。それは、水音達にとって衝撃的な内容だった。
そもそも、この「エルード」という世界は、今でこそ人々から「邪神」などと呼ばれているが、元々は「太陽と花の女神ヘリアテス」と、「月光と牙の神ループス」の2柱の神々によって守られている世界で、住んでいる種族も、彼女達の加護を受けた「妖精」と「獣人」の2つだけだという。
ところが500年前。そう、ヘリアテス達が封印される事になってしまった時の事だ。
突如、エルードの空が割れて、その割れ目の向こうから見た事もない巨大な「船」が現れ、世界全土を攻撃し始めたのだ。
妖精達と獣人達は力を合わせて、この未知の「侵略者」に立ち向かったが、見た事もない武器を持った数多くの兵士達や、彼らが操る異形の怪物達を前に、なす術もなく蹂躙されていった。
そして、このままではいけないと感じたヘリアテスとループスも、世界を守る為に戦いに加勢したが、そこへ現れた5人の侵略者の「親玉」達によって、2柱は「神」としての力を奪われて、それぞれ別々の地へと封印されてしまった。
それから500年後、ヘリアテスとループスは封印から解放されたが、その間に世界は侵略者達によって支配されてしまい、2柱は「悪しき邪神」、妖精と獣人は揃って「悪しき種族」と呼ばれる事になった。
そして、この世界を支配した侵略者達の方はというと、既に自分達の「国」を作っていて、自分達の事は「人間」という種族と呼ばれる事になり、「神」の力を奪った5人の親玉達は、新たなこの世界の「神」となったのだ。
そう。その「国」こそが、今でいう「ルーセンティア王国」の事である。
そして現在。
「……そ、そんな」
ヘリアテスの話を聞いて、水音は顔を真っ青にしていた。
いや、水音だけではない。進らクラスメイト達や、イヴリーヌにキャロライン達も、水音と同じようにショックで顔を真っ青にしていた。特にイヴリーヌは「世界消滅の危機」を聞かされた時以上に顔を真っ青にしながら手で口を押さえて、体をブルブルと震わせていた。
そして、暫く間、誰もが沈黙していると、
「あ、あの、ヘリアテス様! 今仰った話は、本当の事なのですか!?」
と、水音はその沈黙を破るかのように、ヘリアテスに向かってそう尋ねた。
その質問を聞いて、ヘリアテスは本当に申し訳なさそうな表情で答える。
「はい。否定したい気持ちはわかりますが、残念ながら真実です」
その答えを聞いて、水音は「う……あ……」と小さく呻くと、その場に膝から崩れ落ちた。勿論、進達もだ。
無理もないだろう。この世界を救う「神に選ばれた勇者」として召喚されたのに、その時に使われた「勇者召喚」の所為で、この世界だけじゃなく自分達の故郷「地球」までもが消滅の危機に陥り、更には教わってきたこの世界の歴史が全くの「偽り」で、自分達を選んだ「神」が実は悪い奴らの「親玉」でしたなどという事実を知ってしまったのだから。
そんな状況の中、
「ま、だからといって悪い事ばかりって訳でもないんだよねぇ」
と、それまで黙ってたアマテラスはそう口を開いたので、それに水音達が「え?」と反応すると、
「そうですね。確かに世界が変わってしまったのはショックでしたが、良い事もありましたよ」
と、ヘリアテスはニコッと笑いながらそう言ったので、
「あの……何があったんですか?」
と、再び水音はヘリアテスに向かってそう尋ねた。
その質問にヘリアテスは答える。
「1つはね……みんな、出てきてください」
と、ヘリアテスが周囲を見回しながらそう言うと、食堂内に赤やオレンジといった幾つもの小さな光の塊が現れた。その光の塊を見て、
「キャ! な、何ですか!?」
と、イヴリーヌが驚いていると、
「この子達は『精霊』。変わってしまったこの世界で生まれた新しい存在で、今の私やループスにとって心強い味方です」
と、ヘリアテスはその光の塊ーー「精霊」についてそう説明した。
その説明を聞いて、水音達が周りにいる精霊を見ながら「おぉ……」と感心していると、
「そしてこの子達のおかげで、私とループスはレナに出会ったんです」
と、ヘリアテスはレナを見ながらそう言った。
その言葉を聞いて、
「それって、どういう意味ですか?」
と、今度は美羽がヘリアテスに向かってそう尋ねると、
「今から17年前、私とループスが精霊達と世間から隠れて暮らしていた時に、幼い精霊達が生まれたばかりの赤ん坊だったレナを見つけてきたんです。レナの故郷は既に何者かに滅ぼされた後で、その時は私もループスも凄く悲しみましたが、この子を放っておく事は出来ない、この子はきっと私達の『希望』になる、そう考えて、私達はレナを自分達の『娘』として育てる事にしたんです」
と、ヘリアテスは美羽に向かってそう答えたので、美羽だけでなく水音やキャロラインまでもが、
『そ、そうだったんですか』
と、納得の表情を浮かべた。
そんな状況の中、アマテラスが「コホン」と咳き込んだので、それに反応した水音達が「ん?」とアマテラス視線を向けた。その視線を受けて、アマテラスが再び口を開く。
「話を戻すけど、確かに、今の状況はもの凄く悪いわ。何せ、2つの世界が危機に陥ったんだから。でもね、それと同時に敵の親玉達にとって1つ大きな誤算が起きたのよ」
と、アマテラスはそう言い、それを聞いて、
「ご、誤算……ですか? それは、一体……?」
と、水音が恐る恐るアマテラスに向かってそう尋ねると、アマテラスはチラッと春風を見て、
「春風君が『勇者召喚』に抵抗し、その末に私……正確には私達『地球の神々』と出会ってしまった事よ」
と、答えた。
その答えを聞いて、
「え? そ、それは、どういう意味ですか?」
と、今度は耕がアマテラスに向かってそう尋ねてきたので、アマテラスが「それは……」と答えようとすると、
「あ、そうそう、大事な人を忘れてた!」
と、春風が何かを思い出したかのようにハッとなってそう言った。春風のその言葉に、アマテラスは「むむ」と眉を顰めたが、すぐに「あ、そういえば……」とアマテラスも春風と同じく何かを思い出したかのようにハッとなった。
そんな様子の春風とアマテラスを見て、水音達が「え? え?」と戸惑っていると、春風はズボンのポケットに手を入れて、そこから何かを取り出した。
取り出したのは、春風がアマテラスを召喚した時に使用した改造スマートフォンだったので、水音が「え、それさっきの……」と声をかけようとすると、春風はその改造スマートフォンの画面に向かって、
「グラシアさん」
と、話しかけた。
次の瞬間、改造スマートフォンの画面が光り、そこから1人の若い女性が現れた……のだが、アマテラスの時とは違って、その女性は体全体が透けていたので、
『え、ど、どちら様!?』
と、水音達がギョッとなりながらその女性に向かってそう尋ねると、
「紹介するね。こちらは元・固有職保持者のグラシアさん。今は見ての通り幽霊だよ」
と、春風は水音達にその女性を紹介し、それに続くように、
「はじめまして、グラシア・ブルームと申します。春風様の言うように、元・固有職保持者で、今は幽霊の身ですが、以後、よろしくお願いします」
と、女性ーーグラシアも笑顔でそう自己紹介した。
その自己紹介を聞いて、
『……』
と、水音達は沈黙していたが、次の瞬間、
『……で』
「「?」」
『出たぁ! 幽霊だぁあああああっ!』
食堂内に、水音らクラスメイト達の悲鳴が響き渡った。
謝罪)
大変申し訳ありませんでした。この話の展開を考えていたら、その日の内に終わらせる事が出来ず、結果、1日遅れの投稿となってしまいました。
本当にすみません。




