第一幕『日常に訪れた変化』
唐突だが、僕の疑問、モヤモヤとした思いをここに語りたいと思う。
昔、小学生の頃かな?友達……Aとしようか。Aの家によく遊びに行ってたんだ。
Aの家は、僕の家の向かい側に建っているアパートの102号室に住んでいた。
そのアパートは割と最近、とは言っても1、2年ほど前に建てられたばかりの新築でね。親の転勤と共にAはそこに引っ越して来たんだ。
僕の通っていた板成小学校に転校して来たAは明るく活発で、すぐにクラスに馴染んだよ。
昔の僕は自分で言うのもなんだけど、ヤンチャだったんだ。
教室で本ばかりを読んで誰とも遊ばない子から本を取り上げてクラスメイトと遊ぶように諭したりしていてね。悪い事をしたよ。
あの頃は友達と遊ぶ事が一番楽しいんだって、信じて疑っていなかったなぁ。
ともかく、そんな僕とAは意気投合してね、お互いの家で遊び合う仲になったんだよ。
そんなある日、Aの家に遊びに行った時、ふと気付いたんだ。
101号室だけ誰も住んでいない事を。
なぜ気づけたか、それは一室毎に存在するネームプレートというのかな?名字が記載されたプレートにその一室だけ名字が載ってなかったんだよ。
当時の僕は、新築なのに誰も住んでいないんだ、と疑問を抱いたがそれだけだった。
その疑問を抱いてから一年ほどだった時も、その一室には誰も住んでいなかった。
流石に気になった僕はAに聞いてみると、
「マジか!全然気付かなかった!」
て驚いていたよ。
気にしてもいなかったんだろうね。Aらしいと思ったよ。
またその後の行動もAらしかった。
「なあ、今から101号室の中に忍び込んでみないか?」
知って、気になったら即行動。若さ故の勢いの良さがあっても、忍び込もうなんてよく思い付いたよ。
あれ、子供だから良かったけど、不法侵入だからね?
その提案に僕も乗ってしまったのだから、若さってスゴいよね。
怖いもの知らず、もしくは無知な僕とAは始めに、真正面から入れないか試したけど、鍵はしっかりと施錠されていた。
この結果は僕もAも分かっていたけど、もしかしたら鍵が開いていたかも知れないじゃないか。
ともかく、他の場所から侵入できないものかと、幾つかある窓を調べた。
そしたら、ベランダの窓の鍵が開いていたんだ。
これを知った時は僕もAも驚いたけど、それ以上にワクワクした。
秘密基地を見付けた、てね。
部屋の中に侵入して見て回ったけど、これと言って何かある訳でもなく、どうして誰も住まないのか分からなかった。
だけど、そんな事は僕とAにはもう関係無かった。
その日から、僕とAは家から物を持ち込んでボードゲームをやったり、マンガを一緒に読んだり、色々と楽しんだよ。
そんなある日かな。いつものようにインターホンを鳴らしたんだ。
いつもであれば、先に来てるAが鍵を開けてくれる筈なんだけど、その日は違った。
「はーーい」
知らない女性の声が聞こえたんだ。