0:昔の妹と違うので理解するのが大変です(7)
金曜に投稿すると言いながら、また土曜になってしまった…
来週は、予定通りに出したいものです(白目)。
今回はツンデレ型人格の真結ちゃんの話になります。
それではどうぞ!
午後0時30分
真結の部屋
「へー、それで、私は兄貴とお風呂にいたのね。」
「そういうことだ。すまん……でも、不可抗力だったんだ。」
深々と土下座をする。
真結に対して、日曜の真結と月曜の真結のこと、多重人格や新たな学校に入学したことなどを話し、また、なぜお風呂場に一緒にいたのかの理由説明もしていた。
そして、今に至る。
てか、入って来たのは真結なんだけどな。
俺がなんで謝らなければいけないんだ……
「……という言い訳をしている。ただのシスコンキモ兄貴だったってことね。」
「いやっ、だからあのときは、真結が倒れそうになって、支えて、お前が暴れた拍子に胸をちょっと……」
「見苦しい言い訳してないで、正直に話しなさいよ!」
「全て、本当なんだって!」
全く信じて貰えない。
どうしたものか……
「はぁー、てか、私が多重人格だったことなんて、全然知らなかったなー」
「そうなのか?」
日曜の真結は知ってそうだったし、月曜の真結、つまり、昨日の真結は、精神科にも行っていて多重人格であることを知っていた。
今回の真結は、自分の状況をあまり理解していないみたいだ。
「一週間前の記憶が、いつも全く無かったのは奇妙だと思ってたし、記憶障害があるんじゃないかとも考えたけど、学校行く気も無かったし……どうでもいいかなって……」
「おばさんからも聞いて無かったんだな。」
「そうね。あんまり仲良く無かったからね……てかっ、なんで、兄貴にこんなこと話さないといけないわけ!それよりも……」
自分から、話し出したのにいきなりキレだす。
また、あの長い風呂話に戻りそうだ。
これ以上、返す言葉もなくなってきたのだが……
そうだっ、昨日の真結から伝言があったな。
それを伝えて、今日は早く寝よう(逃げよう)。
「あー、そう言えば、昨日の真結からお前に伝えるように言われてたことがあったんだけど……」
「何?」
こちらを少し睨んでくる。
可愛い顔が台無し……とか言ったら殺されるんだろうなー
「えーと、あれだ、その様子だと俺の家に来ること知らなかっただろ? だから、一応、ここ俺の家だから、これからよろしく。」
「馬鹿なの? 兄貴の家じゃなかったら、誰の家なのよ。マジで別の家がいいんだけど……て言うか話そらそうとしたでしょ」
「いやー、そんなつもりは無かったんだけどなー。」
頭をかきながら誤魔化す。
逃げる手札がなくなった。
正直に言ってもどうしようもできないし、嘘をついたらなんとか……いや、どのみちこれは詰んだな。
少しの沈黙の後、真結が会話を始めた。
「もういい。 許しはしないけど、明日学校あるしね。それに、今日はもう眠たいから、出てってくれる。」
急に身体を強く押してくる。
そして、ドアを開けられ、廊下に強制的に出された。
「永遠に眠ってくれることを願ってるから……お・や・す・み。」
バタンッ!
強くドアが閉められる。
まだ、怒っていることが分る。
どうやら、勘違いをしたままらしい。
右手を確認する。
まだ、真結の柔らかな胸の感触が残っていた。
他の女の子も、こんな感じなのかな……
「何、自分の手、見つめてんの? 早く自分の部屋に戻りなさいよ。マジでキモいから……」
扉の隙間から、冷徹な目でこちらを凝視してくる。
まだ、いたのかよ……
俺は、真結の発言に反応することなく、自分の部屋へと戻るのだった。
***
「妹を理解するのって、以外と大変なんだな。」
「えっ、俺の妹可愛い自慢かよ。」
「違う。性格の問題だ。」
「いや、なかなかあんなに良い性格の妹いないだろ。」
現在、授業も終わり、友人である明と相談部の部室にいる。
今日は、久々のちゃんとした部活動、つまり、相談者がやって来るらしい。
スマホでグループチャットを確認する。
『相談者:綾瀬 陽愛
学年:中等部3年
相談内容(恋愛):彼氏について
予約時間:4時以降(陸上の部活動のため少し遅れるかもしれません)』
へー、陸上部か。
そう言えば、ここの学校の陸上部は、障害者部門において、良い成績残してたな……
「そうだ。今日は真結ちゃん来るのか?」
「あー、一応連絡はしておいたから来るとは思う。」
真結には朝に部活の話はしておいた。
しかし、俺への当たりがキツくて、話聞きそうにないから保証はできんけどな。
ガラガラ
扉の開く音が聞こえた。
「あっ、真結ちゃん、おはよ~」
「こんばんは」
真結が入って来た。
「なんで、兄貴、驚いてんのよ。」
「いや、来るとは思ってなかったから……」
「あんたが言ったんでしょ。言われたら来るわよ……」
意外だった。
朝は適当にあしらわれたけど、ちゃんと話は聞いてくれてたみたいだ。
風呂事件の話は聞いてくれないみたいだけど……
「あれ? 真結ちゃん話し方変わった?」
そうか、明はしらないのか。
こいつなら、別に多重人格のことを話しても……
真結の方を見ると、顔を横に振っていた。
まぁー、あんまり人に言いたくなるものでもないか。
「真結の話方って、あんな感じだと思うぞ。」
「そうかな~、俺、耳には自信があるんだけど……」
ガラガラ
またもや、部室の扉が開く。
部活の先輩であり、この学校の生徒会長でもある林 実咲先輩と今日の相談者であろう女の子が入って来た。
女の子は、肌は少し焼けており、髪は短く、いかにも陸上やってます感が伝わってくる。
「皆そろっているみたいだな。こちらは、今回の相談者である綾瀬 陽愛さんだ。」
「初めまして。綾瀬です。本日はよろしくお願いします。」
深く頭を下げる。
ちらっと、綾瀬さんは、真結の方を見た。
「あれっ、真結ちゃん、この部活してたんだね。」
「? うん。ていうか、私あなたとどこかで会ったことある?」
「酷いな~、昨日も今日も話したじゃん。」
真結の友達だろうか?
まぁー、早速友達ができることは、良いことだしな。
でも……
「綾瀬さん。そろそろ、面談を始めるので、そちらの席に座って頂けると助かります。」
俺は、綾瀬さんを席に座るよう促した。
真結の顔を見ると、困惑しているのが分った。
あの様子だと、多重人格のことは話してないのだろう。
言いにくいことではあるしな。
「すみません。相談しに来たのに……よいしょ!」
椅子に座ったと同時に、先輩がこちらにやってくる。
「真結さんは、こちらに腰をかけてくれるかな。」
「分りました。」
前も言ったが、この部屋の構造は面接会場をイメージして貰えれば、理解しやすいだろう。
俺達、相談部のメンバーは、椅子に座り、長机に並べられた、おそらく綾瀬さんの情報資料であろう紙を見る。
「では、相談を始めようと思う。もう一度、自己紹介していただけるかな?」
「はい。中等部3年の綾瀬 陽愛です。陸上をやってます。ただ……」
右足をこちらに上げて、見せてくる。
「私は、事故で右足を失っているので、義足を日常的に付けています。陸上用のやつもあるんですよ。」
「なるほどね。君は確か、障害者女性部門の100メートル走2位の成績を収めているね。すごいじゃないか。」
この子が、陸上部で優秀な成績を収めた子か……
大分前に、学校で表彰されてたな……思い出した。
「いえいえ、そんなことないですよ。それで、相談なんですが……」
「そうだね。彼氏と何があったのかな?」
少しの沈黙が流れる。
そして、勇気を出したのか、手にギュッと力を入れて、真剣な顔でこちら側を見てきた。
「そうですね。最近私とあまり遊んでくれなくなって……他の女の子と遊んでるって噂も聞くし……だから、私の彼氏が、彼氏が浮気してないか……調査して欲しいんです!」
ここまで、見て頂きありがとうございます!
ツンデレってどんな感じだったか模索して記述したので、おかしな点があるかもしれません。
その場合は、指摘して頂けると助かります。
来週からは、真結ちゃんと悠翔(主人公)の浮気調査回になります。
綾瀬さんの彼氏は、浮気をしているのでしょうか?
お楽しみに!
最後に、今日の話が面白かった、キャラが好きだったなど、とにかく良かったと感じた方は、ブックマークと評価をよろしくお願い致します。
*初評価☆5を獲得!:評価して頂ありがとうございました!
*タイトル:タイトルにサブタイトルを付けました。