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0:昔の妹と違うので理解するのが大変です(4)



「お兄ちゃん、朝だよ~」


目を開けると、そこには制服にエプロン姿の真結(妹)がいた。


そうか、昨日そのまま風呂に入らず寝ちゃってたのか……


「ありがとう。昨日風呂入らずにそのまま寝ちゃってたよ。」


「そうなんだね。じゃあ、お風呂入れてくるね。ご飯とかは、もうできてるから、食べて待ってて。」


なんて良い子なんだ……お嫁に貰いたい。


「あっ、そうそう、これって私の服かな?」


日曜の真結が持っていたゴスロリ服を見せてくる。


「あー、そうだと思う。駅で凄い注目されてたな。よく似合ってたぞ。」


そう言うと、真結は何を想像したのか、顔を真っ赤にして、その服と自分を照らし合わせている。


「こんなのをお兄ちゃんの前で着てたの……///、いろんな人から見られてて……死にたい……」


「驚きはしたが、東京だしな。秋葉とかなら、そんな感じの服を着ている人なんて沢山いると思うぞ。」


そんなことは聞く耳持たずで、部屋を後にしようとする真結は振り向きざまに、


「これ今日のゴミ出しの時に捨てたいから、ごめんだけど、お風呂はお兄ちゃんお願い!」


顔を赤くしたまま……猛ダッシュで、自分の部屋に入って行った。


俺が着るより、1000万倍以上似合ってたけどな……



***


「久々の学校だな……」


学校は、家から20分ほどで、少し一般住宅などからかけ離れた場所に建てられている。

学校内の道の両側には、桜の木が植えられている。


真結は、転校生だから先に家を出た。

おそらく、教員への顔出しとかいろいろあるのだろう。


ここ、私立心身支援学校は、以前言ったように障害者を支援する学校であり、個々の能力をかなり尊重している。

精神的な病から身体的な障害まで、様々な人がいる。

また、自分みたいに字が書けないなど軽度~中度な人もいれば、精神と身体がどちらも悪く、一般社会になかなか適応できない重度の人も多くいる。


「えーと、教室は……ここか」


学校前の掲示板を確認し、教室へ向かう。もう2年生か……


そう思いにふけっていると、後ろから肩を叩かれた。


「よっ!」


「なんだ、あきらかよ。久しぶりだな。」


木之瀬きのせ あきらは、中学時代に知り合った数少ない友達の1人である。


「てか、俺の場所分るとか、やっぱりお前の耳はすげーな。いつも感心するよ。」


「俺の最強の能力だからな!ラブホ通っただけで、繊細な喘ぎ声まで聞こえてくるぜ。」


「それは良いな!俺も参加させてくれ……」


そう言って、固い握手をする。エロ同盟が結ばれた瞬間である。


もう気づいた奴もいるかもしれないが、明は耳が良い……


「いやー、てか、悠翔ゆうとは聞こえないだろ(笑)目が見えない奴の特権だよ。」


でも、目が見えないのである。

ある程度の明るさなら感じ取ることができるらしいが、人の顔や物の形などの情報は視覚から得られない。


「それより、今日、中学3年生にとても可愛い子が転校してくるらしんだけど、ホームルーム抜け出して、見に行かないか」


もう、噂になってるのか。情報化社会は怖いな。


「いや、辞めとくよ。巻き添えはごめんだ。」


「まじかー、じゃあ、俺だけ隠れて傾聴しにいくよ。後、悠翔は今日部活に顔出すのか。」


「一応、出すつもりだよ。」


「OK。じゃー、俺はスタンバってくるわー。」


明はそう言いながら、歩いて、中学生の教室である別館へ向かった。


「俺は、朝のホームルーム真面目に参加するか。」



***


「いやーーーーーー、むちゃくちゃ可愛かったなーーー」


今日の授業説明などは終わり、現在は部室にいる。

部屋の中は、面接会場を想像してくれれば分りやすいだろう。

長机があり、自分達が座っている椅子が2つ、扉側に椅子が1つ机に向けて置かれている。


「声を聞いただけで、可愛さが伝わってくるよ。あれは、黒髪ロングの美少女だ。悠翔は見れなくて残念だったな~」


「さいですか」


にしても、こいつの聴力はどうなってるのだろうか。

声で髪の色とか長さまで当てれるのかよ。


「多分恥ずかしがり屋なんだろうな~、あ……うっ……とか言ってて、自分の名前をなかなか言えなかったぽいしな。」


真結は、他人に対してはかなりの恥ずかしがり屋なのかもしれないな。

ただ、俺の前では普通に話しているし、コミュニケーション能力が無いわけではないだろう。


「てかっ、先輩遅いな! もう、2時間は待ってるぞ、多分……」


「そうだな。もう2時間だ。何かあったのかもなー」


デートなら即ビンタか、別れを切り出される延滞時間になるのだろうか?


そんなことを考えていると、扉からコンッコンッとノックの音がした。

「「はい」」と同時に答えると、この学校の生徒会長でもあるはやし 実咲みさき先輩が入って来た。

髪は茶髪ポニーテール、女性にしては168㎝と高身長でスタイルの良い先輩である。


「遅いですよ~」


「いやー、すまないね。いろいろと立て込んでいて……あっ、入って来てかまわないよ。」


そう先輩が扉に向かって声をかけると、後ろから黒髪ロングで、制服の胸に赤色のリボンを付けている中学生……いや、真結が立っていた。


「お兄ちゃん?」


「えっ、真結がなんでこんなところにいるんだ?」


「あれ、妹だったのかい?」


「えっ!妹?!」


それぞれの疑問が交差し、少しの沈黙の時間が流れる。

そして最初に切り出したのが、


「おいっ!裏切り者!あんな可愛い子が妹だと?!……あっ、だからあの時一緒に行こうとしなかったんだな!いつもなら一緒に見に行くのに、おかしいと思ったんだ!」


そう言いながら、明は俺の制服の胸ぐらを掴んで激しく揺すってくる。


「その通りだけど……苦しいから離してくれないかっ……」


手を外してくれたが、少し怒っているようで、そっぽを向いてしまった。


説明しないのもなんだし、一応しておくか。


「まず、先輩から。真結は俺の妹です。」


「そうなんだね。確かに、名字が一緒だね。納得がいったよ。」


先輩は腕を組んでうんうんと頷く。

真結の方を見ると、こちらをずっと凝視している。


「お兄ちゃんって、友達がいたんだね……」


「いやっ、失礼でしょ!1人くらいいるよ!」


真結は、目を大きく開き驚いているようだ。

俺、そんなに交友関係上手くいかない奴に見られてたのかよ。

まぁー、小学生の時は友人1人もいなかったけど…。


「そんなことより、なんで真結が俺らの相談部に来たんだ?」


「えっと……」


「それは、私から説明させてもらうよ。」


先輩は、そう言い「良いかい?」と真結に同意を得ていた。

頷いた真結に対して、同意だと解釈したのか先輩が話しだした。


「この子を相談部第4部員として、招き入れたいと考えている!皆の意見を聞きたい。」


「俺は、全然大丈夫ですけど……。」


「えっ、俺も賛成!よろしくっよろしくっ!」


さっきまで落ち込んでいた明は、いきなり立ち上がり、真結に握手しに行く。

手を握られそうになった真結は「やっ…う…」と言って、回避するため俺の後ろまでやって来た。


「真結ちゃーんどこー?」


腰を低くして、二つの果実を鷲掴みしようとするようなあの手の動きは性犯罪者にしか見えない。


「真結、怖がらなくても大丈夫だ。目だけでなく、頭も悪いだけだから…」


それが問題なのだが……それはさておき、


「そう言えば、なんで入部しようと思ったんだ?」


真結は、少し悩んだようだが、すぐに答えてくれた。


「私…人見知りを直したいの!」



見て頂きありがとうございます!


4話目になりますが、今回は次の話に繋げるための、お膳立てみたいな回になりました。


主人公の友人である明が、以外に気に入ってるんですよね。


次回で、真結(ハズデレ型)のお話を一旦終えます。ここで、様々な問題が明らかになりますので、楽しみにしていてください。


それでは、今回の話が良かった、キャラが良かったと思った方は、評価などをよろしくお願い致します。


後、早速ブックマークに入れて下さった方々には感謝です!

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