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野球バカ異世界  作者: ブリキのギター
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第4話<公爵様の屋敷とダンジョン>

第4話<公爵様の屋敷とダンジョン>


一日がかりで馬車を進め、大きな町の門を潜り、お城のような建物が見えてきた。

「あの白い屋敷が公爵さまの屋敷だぞ」とジルさん、お城を指さした。

「屋敷?、お城ですよね」と俺、

「まあ、小さい城に見えない事も無いな」

馬車は町の中をゆっくりと進む。冒険者ギルドらしき建物の前を通りすぎた。

「そう言えば、冒険者登録は”未だ”だよな?」

「いえ、一番奴隷のクリフさんに地元のギルドで冒険者登録をしてもらいました」と答えながら、首にぶら下げたギルドカードを見せた。

「ほう、手間が省けた。じゃあ腹はすいているよな」

「もう腹ぺこです」と俺、

「そうだよなあ、アタイもそうさ、そこの店は味がまあまあだ、止めてくれ」とジルさん、

明らかに、お酒を出している店に馬車を止めると、素速く飛び降りて店に入ってゆく。

「おい、何してる早くしろ」とジルさん、

俺も馬車から飛び降りると、手綱を固定し、店に入った。

「注文はもう済ませたからな」

「そうですか、ここはどんな料理が美味しいんですか?」

「まあ肉を焼いたものや、野菜料理とかかな」

かなりザックリとした回答だ。しばらく待つと料理が運ばれてきた。大きな皿に肉や野菜、パンが乗っている。

「さあ喰え」

「では、食べます」とジルさんに向かって礼をすると食べ始めた。

ちなみに”いただきます”と言うのはこの世界では無しだ、変な顔をされるだけなので言わないことにしている。

「しゃあねえ水でも飲むか、仕事中だし酒は飲めんな」とコップに入った水を飲むと、ジルさんも食べ始めた。すごいスピードだ。


「フー、腹一杯喰ったな」と勘定を支払うジルさん。

「お食事、ありがとうございました」とお礼を言う。

「ああ、これくらい何でも無い」

「ついでに、少し用事をたしてくるか」と飲み屋を出ると、服屋で俺の服を何枚かと、防具屋では革のブーツを購入してくれた。

「あとは、奴隷商人のところだ」とジルさん、

「えっ!!」と俺、

「フッ、安心しろ、いまから奴隷紋を解術する。公爵様は奴隷を雇わないからな」とジルさん、

「本当ですか?」と俺、

「公爵様の屋敷に奴隷は一人もいない、これからも雇うつもりは無いだろうな」とジルさん、奴隷商人の店に入った。

「主、こいつの奴隷紋を解術してくれ」とジルさん。

「かしこまりました、契約書の確認が必要で、解術の料金は金貨1枚となります」と奴隷商人、

ジルさんはポケットから適当に折りたたんだ契約書を取り出すと、テーブルの上に置き、袋から銀貨10枚を出した。

「これで良いか、細かくてすまんな」とジルさん、

「はい、大丈夫です、こちらキースさまですね」と奴隷商人、奴隷にも”さま”をつけたのが気になった。これから奴隷で無くなるからだろう。

「では、キースさま、シャツを脱いでください」

「はい」素速くシャツを脱ぐ、なんか期待がふくらんで、ボタンを外す手が震えた。

奴隷商人は巻物のような物を取り出し、胸に刻まれた奴隷紋にかざした。

「スクロールオープン」と奴隷商人、すると巻物が開き、塵となって消えた。

これがスクロールと言う物か。始めて見た。と感心すると同時に、自分の胸にあった奴隷紋が消えて白く跡が残った。

日焼けした水着跡のようだ。人のいないところで日光浴をして、早く白い跡を消したいと思った。


「以上で手続きは完了です。キースさま、ステータスを確認してください」

「はい”ステータスオープン”」ステータスに、奴隷紋の表示が無くなっていることを確認した。

ジルさんと奴隷商人が俺のステータスを覗きこむ。

「ほう、これは見たことが無いジョブですなあ、とてもお強くなれそうです」と奴隷商人、

「公爵様がスカウトしてきたモンスキーパーの見習いだ、普通では困るよ。当然さ」とジルさん、

「ここでの用は済んだ、屋敷に戻るぞ」とジルさんが立ち上がる、

「ジルさま、新しい奴隷が入荷しております、見るだけでもいかがでしょうか」と奴隷商人、

「奴隷は足りている」とジルさん、冷たくあしらった。

「それでまたの機会に、本日はご利用ありがとうございました」と奴隷商人が頭を下げた。


「俺、奴隷を解除されるなんて思ってもみませんでした」

「ああ、気にするな」

「でも、奴隷を解除すると、逃げ出す人もいるんじゃないですか?」と聞いてみる。

「ふっ、逃げても直ぐ捕まる。試してみてもいいぞ。それに、お前がもし逃げたらどうなるかよく考えるんだな」とジルさん、

「どうなるんですか?」

「脱走兵の扱いだと、すぐに捕まっておまえはその場で断首、農園で暮らしている両親も断首だろうな。だから逃げるなんて考えるなよ」とジルさん、

「は、はい絶対に逃げませんよ」マジなのか、怖えー。

「まあ、しっかり働くことだな、そうすれば公爵様に認められて良いこともあるさ」とジルさん、俺の肩を”ドスッ”と叩いてきた。

「うぐっ」ジルさん、とんでもない力だ。

「おっ、大丈夫か。すまん、ハハハ」

馬車に乗り込み、手綱を優しく引く、すると馬たちは向かう先を分かっているのだろうか、お城のような屋敷に向かってそろそろと勝手に進み始めた。




屋敷の門で一端止まるが、ジルさんの顔パスですんなり通らせてもらえた。俺は門を開けてくれた衛兵に会釈する。

「こいつがジルの弟子かあ?御者ができる弟子を持つとはジルも出世したもんだなあ」とベテランの衛兵。

「フフ、まあな。こいつはキースという名前だよろしく頼む」と笑顔で答えたジルさん、

「あそこの馬車の近くに止めてくれ、係の者に馬車を返すんだ」

「分かりました」馬が外されている馬車の近くに停車すると、人が出てきた。

「ヨシヨシ、疲れたろ」と馬をなでながら俺から手綱を受け取り、馬を馬車から外すと、厩舎に入れた。馬たちは汲んであった水をガブガブ飲んで、牧草のような物を食べはじめた。

「キース、荷物を持ってこい、おまえの部屋に案内するぞ」とジルさん、

しばらく歩くと、屋敷の横には使用人や兵士達の暮らすアパートのような宿舎があった。

ジルさんは俺を管理人に紹介し、鍵を受け取ると部屋に案内してくれた。

「狭い部屋だが、ここがキースの部屋だ、しばらくは門外には出るな、朝飯と夕飯は食堂で食べることができる、トイレや水浴び場は共用だ。そんなところかな、部屋の鍵は掛けろよ、泥棒みたいな事をするヤツもいる、気をつけろ」とジルさん、

「はい、気をつけます」

「あとは、まあ、今日はここまでだ、明日は朝から色々教えるからな。アタイは門外で家を借りて暮らしているから帰ることにする。じゃあな」

「はい、今日は色々ありがとうございました」 と俺、ジルさんに深く頭を下げた。

「あと、それからあまりもめ事は起こすな。でも殴られたら殴り返すぐらいはして良いからな」

「はあ」と俺、ジルさんは背中をむけると階段を降りた。


「ここが俺の部屋か」一人部屋っていうもの久しぶりで新鮮だ。前世では当たり前のことでも今まで奴隷だった俺には特別なことだ。

ベッドと棚、クローゼットだけの狭い部屋だ。

農園から持ってきた荷物をほどいて、作り付けの棚に置く、見覚えの無い包みが出てきた。

「なんだこれ?」と言いつつすぐに気付く、母がお弁当を作った時の包み方だった。

中には大きな葉っぱに包んだ肉を挟んだパンと、折りたたまれた手紙が入っていた。手紙を開くとポトリと金貨一枚が俺の膝上に落ちてきた。餞別か?母のヘソクリかな。

奴隷でも干し肉を加工したり、編み物をして作った物を行商人に売って金を得ることは認められていて、そのお金で必要な物を購入できていた。

手紙を読む、

「キース、もう二度と会えないかも知れないと思って手紙を書きました。外の世界は私達のような奴隷にとても厳しいでしょう、ですが奴隷だとか、お金が無いとか、運が無い、そんな不幸を言い訳に、他人を不幸にするようなことをしてはいけません。公爵様はとても良い人のようですが、反面厳しいと噂のある人です。真面目にしっかりと勤めてくださいね。目を閉じると、キースが冒険者となって成長してゆく姿が心に浮かんできます。キースのことです困っている人を見れば見過ごせずに助けるでしょう。そんな大人になったキースの姿を想像するだけでお母さんはとても幸せです。キースはやさしい子ですから農園や私達のことが気になることがあるかもしれません、ですがそのような気遣いは無用です。どうか私達のことは忘れて自由に生きてください。自慢の息子キースへ、母より」

俺は傷だらけの金貨をギュッと強く握りしめ、そのままドサッとベッドに倒れ込んだ。

「フー」と溜め息が出た。


朝早く起きる。お城のような大きな屋敷の庭を見て歩いていると、門で待機している衛兵がいてこちらを見ていた、

「お疲れさまです、ジルさんの弟子になりましたキースです。よろしくお願いします」と挨拶をする。

「おお、そうかお前がジルの弟子か、モンス退治は任せたぞ」と衛兵が答えた。

「内壁の内側をグルッと一週してきても良いでしょうか?」と聞いてみる。

「おお、問題ない、定期的に俺達も見回っているから、歩くところが轍になっているだろう、そこから外れなければ誰からも注意されないぞ」と衛兵、なるほど。歩いて良い場所が決まっているようだ。

「ありがとうございます、では失礼します」と俺、ダッシュしたり、軽く走ったりを繰り返しながら門の内側を一週した。多分500mぐらいのような気がした。なかなかの広さだ。外周を覆う壁は高さ10mぐらいあり、非常にがっしりしている。屋敷の後ろ側には戦闘訓練ができるスペースや、弓を練習するスペースがあり、その脇には鍛冶師が住んでいそうな鍛冶場があった。鍛冶場の煙突からは煙りが出ている。おそらく人が住んでいるのだろう。兵士達の装備をメンテナンスする施設と思われた。専属の鍛冶師も住み込みで居るなんてさすが公爵様の屋敷なんだ。と感心した。

屋敷の周りを一周して門に戻る。先ほどの衛兵がこちらを見ている。

「えっ、もう一週してきたのか?」と衛兵、

「ハイ、軽く走ってきましたから」

「なるほど、お前は足が速そうだ」

「屋敷の裏の訓練施設は自由に使っても良いんですか?、その横の鍛冶場にはどなたかお住まいなのでしょうか?」と俺。

「訓練場を使うのは自由だが物を壊すなよ。それと鍛冶場にはドワーフのゴメス爺さんが住んでいる、ゴメス爺は気難しい爺さんで怒らせると面倒だから気をつけろよ。大抵の装備は材料費や素材の持ち込むことで修理や作製をしてくれるぞ」と衛兵、

「そうなんですね、ありがとうございます」と衛兵から良い情報を聞けた。

「それでは、失礼します」と衛兵に頭を下げる。

訓練場に戻ってきた。こんな早朝に訓練している人はだれもいない。

弓を練習する的のところまで移動するとその場所に、

「マッドウォール」と唱え壁を作った。

30mくらい離れて投擲の訓練を始めた。

「マッドボール」と唱え、柔らかめのマッドボールを作る。振りかぶってまずは軽くピッチングをする。腕も肩も調子が良い、ボールは回転しながら減速せずに、俺の作り出したマッドウォールに”パスッ”と言う鈍い音を立ててへばりついた。これは練習する時に大きな音を立てない工夫である。

それから50球ほど投げて肩慣らしを終えるとピッチングはやめることにする、投げすぎも良くない。俺の立っていた場所の土を綺麗に均してから、マッドウォールとボールを念じて消した。

「お前、見事な技をもっておるな」と背が低くく長い髭を生やしたドワーフが俺を見ていた。キタ、お約束のドワーフの鍛冶師が登場だと思った。

「ハハハ、ありがとうございます。昨日からジルさんの弟子になりましたモンスターキーパー見習いのキースと言います、よろしくお願いします」と俺、このお爺さんにはお世話になりそうだ、丁寧に挨拶する。

「ほう、最近の若いヤツにしては礼儀正しいやつだな。フォフォフォ」と笑った。

「鍛冶師の方ですか、僕も鍛冶のスキルを持っているので、時々鍛冶場をお借りしてもよろしいでしょうか?」と聞いておく。

「ウーン、どうしょうかのう、ワシの仕事の手伝いを時々するのであれば貸してやらなくは無いのう」とゴメス爺さん、

「時間が有るときであれば、お手伝いいたします。農園育ちですので力仕事も得意です」と俺、

「ほう、最近は鉄鉱石を持つと、腰にキテのう。手伝いが欲しかったんじゃ、では早速頼むとするかのう」と、俺を鍛冶場につれてゆく。

「朝ご飯まだなので、大丈夫でしょうか?」

「まだ朝飯には早い、それまで手伝ってくれればよいわ」とゴメス爺さん、なんか機嫌がよさそうだ。

「そこの入り口にある鉄鋼石の袋と、炭の袋をそれぞれそこと、あの棚に運んでくれんか」「師匠、分かりました」と俺、

「おまえを弟子にしたつもりは無いんじゃが、ワシが師匠か、まあ気分は悪くないのう」とゴメス爺さんが呟いた、俺は言われたとおり鉄鋼石と、炭を指定して場所に運んだ。

「次は、炉の中の燃えカスをそのバケツに入れて裏のレンガで囲ったところに捨ててくれ」

と、けっこう人使いが荒そうだ、とりあえず言われた通りに灰を捨てた。

入り口の剣立てと、壁に弓や槍、甲冑などが掛かっていた。それらを眺める。どれも素晴らしい出来だった。町の店で売られている物よりも良い物に見える。

「どれも素晴らしい武器や防具ですね。全て師匠の仕事ですか?」と聞いてみる。

「一番上のはダンジョン産の武器で研ぎを頼まれただけじゃな、弓も違う。それ以外は全部ワシが作った物じゃな」とゴメス爺さんが自慢げに言った。

「すごいです、素晴らしい装備ですね。剣なんかとても良く切れそうです」とここぞとばかりに褒めておいた。

「フムフム、分かるヤツには分かるもんじゃ」とゴメス爺さん、

「そう言えば、昨日買ったこのブーツなんですけど、革が堅くて、柔らかくする油ありますか?」と俺、早速なんか頼んでみることにする。

「ブーツか、見せてみろ」とブーツを脱いで、ゴメス爺さんに見せる。

「どこら辺りが堅いんじゃ?」と聞き、俺が答えると、軽く熱したコテを裏から当てて、革の上からワックスを刷毛で塗った。

「こんなモンじゃろ」と言うとブーツを渡してきた。

「ああ、良いです。すごく良くなりました」と俺、たしかに当たりが良くなった。

「もうそろそろ飯の時間じゃな、ワシも喰いに行こう」とゴメス爺さん、

「俺も行きます」と椅子から立ち、ゴメス爺さんと一緒に歩く。

カウンターで飯をもらい、席について食べているとジルさんが食堂に入ってきた、手を上げて知らせた。

「キース、部屋にいなかったから心配したぞ」とジルさん、

「鍛冶場でゴメスさんの手伝いをしてました」と俺、

「ゴメ爺ともう知り合いになっているとは、キースは行動が早いな。ハハハ」とジルさん、

「チョット、アタイも飯取ってくる」と言うと、カウンターに移動して飯を受け取ると俺の隣に座った。

「ジルの弟子は見所があるな。訓練場で投擲を見たが、あれほどの技は見たことが無い」とゴメス爺さん、

「そうなのか?」とジルさん、俺の顔を見る。

「キースはレアジョブの持ち主で投擲とメイスの恩恵があるらしい。あとは土魔法だな」とジルさん、

「ほう、そいつは強くなりそうだ」

「まあ、これからアタイがみっちり鍛えてやりますよ」

「ふむふむ、ところでジル、こいつを時々借りてもよいかな、鍛冶場で手伝いがほしい、鍛冶のスキルもあるみたいだしどうだ?」

「モンスの討伐や訓練が無い時間ならキースの自由だ、キースも大丈夫だろ」とジルさん、

「大丈夫です、俺からもゴメスさんにお願いしたところです」と俺、

「冒険者で鍛冶の技術を持っていると重宝する。モンス相手だと武器をよく壊されるからな」

「まあ、ジルの場合は武器を壊しすぎだ、フォフォフォフォ」とゴメス爺さんが笑った。

「わざとじゃないし!」とジルさん、


朝飯を食い終わると、訓練場に移動した。ジルさんが俺の技量を確認するとのこと、

「キース、木剣を持て」とジルさん、

「はい」自分の分を取り、ジルさんにも渡す。

「軽くヤロウ、怪我しないように寸止めでな、いくぞ」とジルさん、

ジルさんは少し離れると、木剣を構えて打ち下ろしてきた、上から下、下から上、右、左と剣撃を繰り出してくる。それらを全て弾き、うち流す。

「防御だけでなく、打ってきていいんだぞ」とジルさん、俺も攻撃をすることにした。

剣撃を弾いてからのカウンター、上段からの打ち下ろしを躱してからの横薙ぎを繰り出してみた。もちろんそれらは全て躱され、打ち払われた。

「ほう、訓練を受けた経験があるようだ、基本は十分だ。これ以上はお互い防具を着けてやらないと怪我しそうだな」とジルさん、

「はい、農園で元冒険者のクリフさんから指導を受けました」と俺、

「あの農園でクリフと言えば、”赤い道化師”のクリフか、キースは赤い道化師の弟子なのか?」

「赤い道化師?」と俺、

「ああ、あの農園の主人は昔冒険者でな、有名なパーティだった。赤い道化師は剣の達人で、踊るように剣を振るいその通った道には死骸の山ができたそうだ。赤い道化師とは、返り血を浴びそのままの姿で町に戻ってきたことがあったらしく、それから付いた2つ名だ」

「踊るようにと言うのは、俺も持っている”あやしいダンス”のアビリティでしょうね。敵のMPを吸収できるんです」と俺、

「ほう、なるほどな。それじゃあ次は投擲を見せてくれ、モンス相手の場合、弓が必要になる場合が多い、でも投擲ができるのであれば不要だからな」とジルさん、

「分かりました」と俺、朝に練習したように、マッドウォールで壁を作ると、その真ん中に丸く円を描いた。30mくらい離れて、マッドボールを投げつけてみせた。

「ほう、すごいな。それを見せてくれ」と俺が作り出すマッドボールを手渡して見せた。

「練習の時は柔らかくして、モンスにぶつける時はこれくらい堅くしてます」堅くしたボールも手渡す。

「堅い方はほとんど石だな、柔らかい方は泥団子だ」とジルさん、

「クリフさんと訓練する時は泥団子の方で練習してました、俺が投げつけると上手に真っ二つにしてました」と俺、

「なっ、なにコレを真っ二つか?」とジルさん、

「はい、木剣でも真っ二つでした、メイスを使った時は俺に打ち返してくるから危なかったです」

「よし、やってみよう」とジルさん、スタスタとマッドウォールの前まで歩いていき、そこで構えた。

「えーと、初めは危ないのでぶつけないようにしますね。その丸いところめがけて投げますんで、目を慣らしてください」と俺、なんかバッティングピッチャーやっているみたいだ。

「それじゃあ投げます」と俺、振りかぶらないで団子タイプを軽く投げる。

「おお、速い」とジルさん、逃げ腰で腰が引けていた。

「当てないんで、木剣で弾いてみてください」と俺、バッターが立っているだけで、ピッチングは面白くなる。こういう練習はバッターとキャッチボールするみたいなものなんだ。

「よし、こい」とジルさん、俺は軽く投げる。

”ガシッ”とボールに木剣がかすった。芯を捉えていない。

「もっと球をよく見て、あまり力を入れないで剣を振ってみてください」と俺、これどっちの練習なんだっけ。もう一度軽く投げる。

”バコン”とマッドボールが打ち返された。

「おお、さすがです。それじゃあ、すこし速くしますね」と俺、少し力を入れて投げてみる。

”バコン”と弾かれた。

「おお、もう慣れたようですね」と俺、

「じゃあ、速いの投げます」と言うと、振りかぶり、テイクバックして投げる。ボールが音を立てながら飛んでいく。

”チッ”と木剣がかすった。

「もう一回」とジルさん、同じような速さのボールを投げる。

”バコン”と手前にボールを弾き飛ばした。さすがモンスキーパーだ。もうこのスピードに慣れたようだ。

「それじゃあ、早めの球をなげますね」と俺、振りかぶり、テイクバックして力を入れて投げる。おそらく130kmぐらいのスピードだ。

「おお、速い」とジルさん、今の球速には対応できないようだ。

「ちなみに、もっと速いのも投げることができます”速球”」とアビリティを起動して、全力投球をする。200km近いスピードが出ている。ボールは変形して唸りながら飛んで行く。

「うわっ」とジルさん、もう人間には反応できないスピードだと思う。

ボールはマッドウォールにバチンと当たり砕け散った。

「これは凄い」とジルさん、

「こんな感じです」と俺、

「弓は練習する必要ないかな」とジルさん、

「いえ、弓を覚えたいです、教えてください」と俺、俺の投擲にも限界はある。長距離になると弓の方が攻撃力はあるだろう。覚えておいて損は無い。

「そうか、では弓もやることにしょう」とジルさん。昼間まで弓の練習や木剣での打ち合いを練習し、昼からは防具などの装備をして、型の訓練などを行った。3時ぐらいまで身体を動かすと、訓練終了となった。

「良い運動になったな、明日は軽くダンジョンに潜ってモンスでも狩ろう」とジルさん、

「えっ、ダンジョンですか?初めてです」と俺、

「キースがモンスを倒せるのか見てみたいからな」とジルさん、

「強いモンスだと自信がありません、普通のオークぐらいなら大丈夫ですが」と俺、

「うんうん、大丈夫だ、そんな深いところまで潜らない、この町のダンジョンには各階に転送石もあるから、怪我をしてもすぐに入り口に戻れるから楽だぞ」とジルさん、余裕のようだ。

「はあ、じゃ明日はダンジョンですね。なにか準備は必要ですか?」と俺、

「普通に装備をしてくれば良い、マップ、ランタン、食料、水筒、リュックなんか必要な物はアタイが持ってくる」

「分かりました」ほう、明日はダンジョンか、怖い感じもするけど楽しみだ。異世界とくればダンジョン攻略だよな。


訓練を終えると、鍛冶場に行きゴメス爺さんの仕事を手伝った。農園と違い武器を作る本格的な設備で、剣や、ヤリを作っていた。力仕事を手伝い、片付けや掃除をすると夕飯の時間となった。

一日があっと言う間だ。農園みたいに一日じゅう草刈り、とか一日じゅう収穫とかでは無くて、仕事が面白いせいもあるだろう。他のことを考えるヒマも無かった。


「まずダンジョンだが、ダンジョン自体もダンジョンコアという大きな魔石を持ったモンスだと言う説がある。倒したモンスや倒された遺体はすぐにダンジョンに吸収され、装備もしばらくすると吸収されてしまう。ダンジョンの中は戦いやすいように天井や壁が光っていて真っ暗ではなく、時々宝箱も見つける事が出来る」とジルさん、

「へー、魔獣の革とか素材は確保できないんですね」と俺、

「そうだな、地上に比べて確保できないが、ドロップすることがある。ドロップとは解体された状態で素材や魔石が残るんだ。放置すると吸収されるから拾ってリュックに収納する。私の場合はこれだな」と言いながら、少しボロボロの布袋を指さした。

「なんですかそのボロい袋は?」と俺、

「これはダンジョン産のマジックバックだ、宝箱の中に入っていた物だ、いいだろ」とジルさん、自慢げだ。

「その袋に、どのくらい入るんですか?」と俺、

「鑑定結果ではマジックバック(中)と言う物らしい、そうだな、そのリュックだと10個程度の容量だ。これ結構高価なんだぞ」とジルさん、

「へー、便利ですね。すごいです、僕も見つけられますかね」と俺、便利そうだぜひ欲しい。

「たしか、私の場合は15階の宝箱で見つけたから運良く粘ればその周辺で見つける事が出来るだろうな、それほど珍しい物でも無い」

「ダンジョンで戦う理由は何ですか、ダンジョンからモンスが出てくるとか?」

「そうなんだ、ダンジョンにだれも入ってこなくなると、ダンジョンからモンスが出てこようとするんだ、だから適当に中に入ってモンスを狩る必要がある。まあこの町にはダンジョン目的の冒険者も多いから私達が潜る必要もないんだがな」

「やっぱりダンジョンは稼げるんですか?」と俺、

「東の森にもモンスは出るが、数が少なくなかなか遭遇しない。その点ダンジョンは少し歩くだけでモンスに出会う、そこそこの冒険者でも転送石で入り口から10階に入り、3時間も戦えば金貨10枚は稼げる、つまり10日間ぐらいは宿に泊まって食うに困らないぐらいは稼げるぞ」とジルさん、

「えっそんなに?」と俺、

「ああ、だけど死ぬヤツも多い、ダンジョンから帰ってこないやつは多いぞ」

「なんで、いつも戦っている階でモンスにやられたりするんでしょうか?ベテランならなおさらだと思いますが」と俺、

「ダンジョンにはイレギュラーモンスがいるからだろうな、イレモンは通常ありない階に湧くモンスだ。通常10階にいるようなモンスが5階とかにたまに湧くんだ」

「そりゃ怖いですね」

「ああ、だから見つけたら逃げて、入り口にあるギルドの担当者に知らせる、するとベテラン冒険者がイレモンを狩るということをしている」

「はあ、なるほど」

「では入るぞ」ダンジョンの入り口で、衛兵にギルドカードを見せ、台帳に名前を書いてから中に入った。


「けっこう明るいんですね」と俺、

「ああ、このダンジョンは明るいし、各階に転送石があるからモンス狩りや宝箱探索に便利だ、キースそこの四角い転送石に触れるんだ。各階の転送石からこの場所まで戻ってこれるようになる」とジルさん、

「この石に触れるだけで良いんですね」と黒くて四角い石に触れる、魔方陣のような模様が刻まれていた。

「各階の階段近くにあるからな、忘れないで触れておくように。すると、入り口の転送石から一度行ったことのある転送石まで一瞬で転送が可能になる」とジルさん、

「はあ、凄く便利ですね。どういう仕組みなんでしょうか?」

「魔法だろうな、仕組みなぞは知らんな。昔からある物だ」とジルさん、

たしかに、テレビやパソコンは前世で使用していたが、仕組みまでは知らなかった、そう言う物なのだろう。とその時、モンスの気配がした。

「モンス近いです」と俺、

「ああ、来たな。腕試しだキースがやれ、どうせ雑魚だ 」

「はい”マッドボール”」と繰り返し詠唱し、攻撃用の堅いマッドボールを3つ作る、左手に2つ持ち替え、右手で1つ持った。

”ギャッギャ”とゴブリンが3匹現れた。

1球目は振りかぶって投げる。右手をお尻の下までスッと下げると、身体全体で腕を加速させる。しっかり加速させたマッドボールを手首でグンッと回転させた。

”シューッ”と音を立てながらゴブリンの頭に当たるとゴブリンの頭が砕け散った。

他のゴブリン2匹はなにが起きたか分からない様子だが、俺が敵であることは理解したようだ。剣を構えて俺に近づいてきた。

左手に持ったマッドボールを連続でゴブリンに投げつける。お腹と肩に当たって、1匹はうずくまり、残りは持っていた剣を後ろに飛ばしたようだ。俺はメイスを構えると、ゴブリンに向かって走り出した。

先ずは、うずくまっているゴブリンの首を殴りつけ、剣を取りにうしろを向いたゴブリンの後頭部をメイスで砕いた。

すると、ゴブリン3匹の死骸は地面に吸い込まれるように吸収され、死骸の後には魔石だけが残っていた。おれはその3つを拾うと、ジルさんにわたそうとした。

「ああ、いい取っておけ、ダンジョンで得た物は自分の物にして良いんだ」とジルさん、

「さあ雑魚狩りしてもつまらん、ドンドン進むぞ」とジルさん、俺に配慮してか、1階から順番に攻略させて転送石に触れさせる計画なんだろう。

1階と2階では見慣れたゴブリンやスライム、スライムからは魔石とスライムシートがドロップした。ゴム製の薄いシートのような物だ。なんに使う物かも分からないがとりあえずリュックにつめておく、3階と4階にはオークがいた。オークの弱点は膝だ、膝を砕かれると当たり前だが動きが止まり、あとはどうにでもできた。オークからはオーク骨とオーク肉がドロップした。

5階と6階にはコボルドという二足歩行する犬のモンスがいて襲ってきた、こいつらもたいしたモンスでは無かった。ボールをぶつけてメイスで殴るを繰り返して倒す。

コボルドはコボルドナイフをドロップした、そのナイフは使えそうもない粗悪な物だったがなんかの素材になるようなので拾ってリュックにしまう。

階段を下がり、7階の転送石にふれた。出口に戻りますか”YES、NO”の表示が出るがNOを選択する。

「キースだけで、問題なく7階まで降りてこれたな」とジルさん、ジルさんは後方を警戒しながら、俺が戦う姿を見ているだけで、戦うつもりは無かったようだ。

「7階からは、アタイも戦うぞ、7階からは宝箱も期待できる。小部屋も見ていくからな」とジルさん、背中の弓を持ち矢をつがえた。

「ジルさん、このダンジョンって地下何階まであるんですか?」と俺、

「現時点で40階までたどり着いた冒険者がいて、ギルドで売っているマップもそこまでだな」とジルさん、

「未踏破の階がまだまだ下にあるということなんですね」と俺、

「そうだな、まあ冒険者も命は惜しいし、そこまで行かなくとも十分稼げるしな。なかなか下に進まんよ、特に41階の階段前にいる階層主が強くてだれも倒せないんだ、アタイはまだ見たこともないけどね」

「たしかにそうですね。ムリしても死にますもんね。階層主ですか」と俺、ボスみたいなモンスもいるようだ。


7階と8階には大きな蜘蛛のようなジャイアントスパイダーと、レッサー・サイクロプスが出現した。ジャイアントスパイダーは動きが素速く、俺の投擲もたびたび回避する面倒な敵だったが、釣り糸のような素材をドロップした。ジルさんいわくいろんな用途に使える丈夫な糸で、高く売れる物らしい。

レッサー・サイクロプスは一つ目の巨人だった。巨人といってもダンジョン内を動き回れる程度の大きさだ。大きな棍棒をふりまわしてくるが、動作も遅く知能も低いので、俺の投擲したマッドボールを眼に直撃させることが簡単にできた。あとはメイスで膝を砕き、倒れたところで止めを刺した。

「キーズは7階、8階も余裕だな」とジルさん、

「蜘蛛のモンスはやっかいですね。動きも速く、僕の投擲もかわされます」

「まあでもHPが低いから、襲って来た時にカウンターか、動き回った後で、動けなくなる時間があるからそのタイミングを逃さないことかな」とジルさん、とその時、前方の通路からドタドタと大きな足音が聞こえてきた。遠くてよく分からないが人間のようだ、

「オーイ、モンスか~」と声をかけると。

「モンスじゃ無い!!たシけてえ~」とこちらに逃げてきたのは人間のようだ。

紫の三角帽子とローブを身につけた魔法使いの女の子だった。後ろからはレッサー・サイクロプスが追いかけてきている。

「ちっ面倒くせえな」とジルさんが毒を吐いた。

俺はマッドボールを右手に出し、振りかぶる。”速球”アビリティを使おう。

「速球」とアビリティを起動させ、全力で投球した。”シュー”と音を立てながらレッサー・サイクロプスの大きな1つ眼にむかって飛んで行く、サイクロプスは女の子を追いかけるのに夢中で俺の投げた球には気づいていないようだ。

”バシャ”と音がしてサイクロプスの眼に直撃すると、頭蓋骨を突き抜けて後ろに貫通したように見えた。

”ドサッ、ゴロゴロゴロ”とサイクロプスの死骸は転がり地面にゆっくりと吸収された。

「ヒェー、一撃ですか!!」と後ろを振り返った女の子、

「ありがとうございます、すいませんが向こうで仲間が未だ戦っています。助けてもらえないですか」と女の子、

「なに、キース行くぞ」とジルさんが、走り出した。俺はサイクロプスがドロップしたらしい黒くて少し太くて丸い木の棒のような素材と魔石をリュックに押し込み、ジルさんの後ろを追いかける。俺の後ろからは女の子も追いかけてきた。

屈んでいるサイクロプスがジルさんに気づき立ち上がったと思ったら、ジルさんが飛び上がり、サイクロプスの首を一太刀ではね飛ばした。

「スゲー」と俺、

「あっああああっ、なんでこんなことにぃ」とダンジョンの地面にしゃがみ込む女の子、その近くには冒険者の装備がゴロゴロと転がっていた。

どうやら女の子の仲間はモンスに倒され、その遺体はモンスに喰われたかダンジョンに吸収されたようだ。

「キース、落ちている装備を拾え、しばらくすると全部吸収されちまうぞ」とジルさん、

俺は命令されたとおり、落ちている装備や、モンスの素材を拾った。

「おい、お前、移動するぞ!ここに居てもモンスに喰われるだけだ」とジルさん、女の子に声をかけた。

「私の仲間があ、あああっ」と泣いている女の子、

「まったく世話のやけるやつだ」とジルさん、泣いている女の子を担ぎ上げると来た道を引き返し始めた、そして階段の手前まで戻ってきた。

「キース、今日はここまでだ、8階の転送石に触れて入り口まで戻るぞ」とジルさん、そう言うと、石に触れ”パッ”と俺の眼の前から消えた。ダンジョンに一人っきりになると急に怖くなってきた、急いで俺も転送石に触れ、入り口にもどりますか?”YES“を答えた。一瞬で入り口の部屋に戻ってきた。

「うわっ」と驚いていると、

「キース、驚いていないですぐに移動だ、この場所からどかないと衝突する」とジルさん、なるほどね。ほかにも転送されてくる人がいるかもしれない。

ダンジョンの外に出る。明るい日差し、新鮮な空気が俺を包んだ。

「はあ、外はいいですね」と俺、

ジルさんは女の子を連れて、ギルドの出張所に行くと、なにか報告しているみたいだ。

俺も、そこに近づく。

「ではこちらの冒険者二名は死亡ですね」とギルド職員、俺達が入る時に書いた台帳になにやら書き込んでいた。

「キース、さっきの場所で拾った装備とドロップをこいつに渡してやれ」とジルさん、

「ねえ君、リュック出して」と俺、女の子のリュックに死んだ仲間の装備と倒したであろうモンスのドロップ品を詰めてあげた。

「ありがとう、助けてくれて」とぼそっと女の子が俺に言った、

「君さあ名前は?」

「ローズ、魔法使い」と女の子、

「ローズか」女の子の髪は赤い、赤毛のローズね。

ジルさんはローズのことをジッとみていると、

「ローズは宿屋に泊まっているんだろ?」とジルさん、

「はい、仲間と一緒に宿屋暮らしです」とローズ、

「おいローズ、元気出せ、そうだな今日はアタイの家に泊めてやる」とジルさん、

「は、はい」とローズが答えた。

「キース、素材を売るぞ」とジルさん、俺をギルドの出張所に連れて行くと、素材を吟味しながら売り始めた。俺の手に残ったのはレッサー・サイクロプスからドロップした丸太のような黒い棒だけだ。ジルさんは金貨を受け取り、そのお金でポーションを買うと、お金を半分にして、その金とポーションをおれに渡してきた。

「はい、ポーションと今日の稼ぎ半分な」とジルさん、

「ありがとうございます」と俺、金貨は2枚だった。やはり冒険者は儲かると感じた。半日ぐらいしか戦っていないはずだ。それなのに金貨2枚とは。

ジルさんは屋敷に向って歩きながら俺の動きや反省点などを指摘し、今後どのような訓練をすれば良いか教えてくれた。

屋敷の門まで来たところで、

「今日はこれまでだ、鍛冶場のゴメス爺さんにサイクロプスの素材からメイスを作ってもらうと良い」とジルさん、

「この丸太みたいな物でメイスですか?」と俺、

「丈夫なメイスが作れるぞ、まあキースに合うか合わないかは出来てから判断すれば良い、武器は初ダンジョン記念に部屋に飾っておいても良いしな」とジルさん、

「そうですね。では師匠に頼んでみます」と俺、門のところでジルさんと別れる。

ジルさんとローズの二人は俺と反対方向に歩いて行った。

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