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城での生活①

「「「「「「「「「「……………………」」」」」」」」」」


 ハニルたちはマオたちを食事へと誘い、テーブルマナーについて指摘してやろうと考えていた。

 だがマオの食事は指摘する必要もない程度には完璧だった。


「何でしょうか?」


 そして視線を向けられているマオは居心地がわるく何で視線を向けてくるのかと疑問をぶつける。

 言いたいことがあるのなら遠慮せずに口にしてほしいと思っている。


「いえ。食事のマナー、完璧なんですね………」


「街に住んでいる者に偶に教えてもらいましたので。それでも不慣れなので、やっぱり味が感じませんが」


「……………そうか」


 前半の教えてもらっただけで良いのに何で余計なことまで口にするんだと全員がジト目になる。

 着たくなかったみたいだし嫌味のつもりかと思う。


「そうですか。それでは、これらはいりませんね?」


 マオの言葉に傍に控えていたメイドや執事が苛立ち、マオの分の料理を下げようとする。

 これに慌てさせて誤らせようと考えていた。


「……そうですね。構いません。どうせ味がわからないのなら食べても意味がありませんし」


 だがマオから返ってきたのは構わないという声。

 少し悩んでいたが全く気にしていない姿に逆にメイドや執事たちの手が止まる。

 料理を出さずにいる客人の前で料理を口にする主人たちを想像したせいだ。

 失礼なことを口にしたとはいえ、何も知らない者が聞けばあまりにも外聞が悪すぎる。


「?」


 回収しようとしていた手を止めて戻すメイドや執事たちに軽く首を傾げるマオ。

 食事を下げられようとしても全く気にしていないマオにハニルたちもため息を吐く。


「ところで数週間はここで暮らしてもらうつもりだけど何か不便なことはないか?うまくいけば兵士たちの実力が上がる。できるだけ叶えようと思うが」


「なら部屋で食事をすることって出来ませんか?王族と一緒に食べるとか普通にキツイです」


「…………そうか」


 食事のマナーは完璧だが、王族に向ける言葉使いがダメすぎる。


「もしかして緊張しているのか?」


「だから部屋で食べたいんですが?」


 味がわからないと言ったことから慣れ以外にも理由があるんじゃないかと考えて思わず疑問をぶつけるが。当たり前だと返される。

 もしかして言葉使いも緊張で悪くなってしまっているんじゃないかと想像してしまう。


「ふむ、わかった。だけど偶には一緒に食事をしてもらうぞ」


「わかりました」


 それならと王はマオへと譲渡する。

 毎日のように緊張をさせるのは忍びない。

 それでも偶にはマオの訓練について話を聞きたいから、これからも共に食事をすることは約束させた。



「はぁ………」


「何をため息を吐いているのよ」


 マオは自分たちの部屋に戻るとため息を吐く。

 そのことにキリカは王族相手に失礼な言葉使いだったのに何でため息を吐いているのか理解できずに疑問をぶつける。


「王族が目の前にいて食事のマナーも気をつけないといけない。普通にプレッシャーで何を離したのかも食べたのかも覚えてないんだが?」


「うっっっっっそだぁ」


 マオの言葉に全力で否定するキリカ。

 多少は緊張していたかもしれないが、そこまで緊張していたとは思えない。

 むしろ周りから敵意を向けられていても平然としていたように見えていた。


「えぇ?何、そんなに失礼な態度に見えていた?」


 マオの疑問に首を縦に何度も振る。

 いつ惨劇が起きるのかキリカも緊張して見ていた。


 キリカからすればマオは絶対的な強者なのだ。

 勝ちたいとは思っているが、だからといって勝てる姿が思い浮かべれるわけではない。

 むしろ想像でも勝った姿が思い浮かべない。


 だからマオが失礼だからと執事やメイドたちが攻撃しないか不安だった。

 もし攻撃したらマオが反撃に出るのがたやすく想像できる。

 そして、その結果が死体の量産なんて笑えない。


「マジかぁ……。もう少し気をつけないとな」


 またため息を吐くマオ。

 キリカからすれば、あれで気を使おうとしていたと知って面白く感じる。


「ところでマオ?」


「なに?」


「もし殺されに来たらどうするつもり?」


 キリカは王族相手に喧嘩を売ったら国を相手にしないといけないことぐらいはわかっているはずだとマオに疑問をぶつける。

 その上でマオの答えを聞きたかった。


「逆に殺すけど?」


 そして当たり前のように答えるマオに今度はキリカが本当にわかっているのかと疑問を覚えてしまう。


「あっ。一応だけど王族が殺しに来たらよ?それか王族の命令で殺しに来たらだから」


「だから逆に殺すって」


 前提をつけ忘れていたとキリカは王族がと付け足すがそれでも答えは変わらないマオ。

 キリカは国を相手に勝てるのかと死んだ目になり、マオなら勝てそうだと表情まで死んでしまう。


「正直、王族を殺しても自分さえ無事なら民衆は時間が経てば何もしないだろうしな」


「………」


 否定できなかった。

 もし王族が死んでも自分たちが関係ないなら多少慌てることはあっても何もしない自身がキリカには想像できてしまう。


「それに国の全てが敵になっても負けるとは思えないし」


「…………」


 愉しそうに笑うマオ。

 想像しているのは死体の山だろう。

 マオなら本当に国を相手に勝ててもおかしくないからキリカは体を震わせる。

 そして想像して笑ったことにもだ。


「はぁ………。あまり陽の光を浴びれなくなるようなことはしないでよ?」


「わかっている」


 キリカの忠告にマオは当たり前のように返した。

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