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BLOODY KISS  作者: AЯ!SΔ
3/6

『嫁』

どれぐらいの時間馬車に揺られていただろう。


目的地に着いたのか馬車がゆっくり止まった。


「到着しました。どうぞ、お降り下さい」


3人が馬車から降りると、大きな屋敷の前だった。

ドゥーイット家とは比べ物にならない。


(わたくし)の後に着いてきてください。リカルナ様の元へ案内致します。絶対に(・・・)私から離れないで下さいね」


微笑みながら言い、近くにあったランプを取り中へ入っていった。

3人はドミニクを見失わないよう、慌てて追い掛けて行った。


中は薄暗く、不気味な雰囲気だ。

人なのか、吸血鬼なのか分からないが所々に人が居り、全員3人を見ていた。


奥へ奥へと入っていくと、大きな扉の前へと着いた。


「失礼致します、リカルナ様。ドゥーイット家のお三方様をお連れして参りました」


ドミニクが一礼して中へ入ると、廊下より薄暗い部屋の中に男が座っていた。

周りには数人の女達がおり、男の身体に腕を絡めていた。


「お前達、下がっていろ」


周りにいた女達に命令をすると、黙って部屋から出ていった。


「初めまして、今回はようこそお越しくださりありがとうございます。シュールフィー家当主、リカルナ・シュールフィーです」


少しだけ部屋に灯りを点け、3人に近寄りながら自己紹介をした。


灯りに照らされたリカルナの顔は、この世で見た事のある世界中の男達よりも顔が整っており誰をも魅了させるような顔立ちをしていた。

そして誰も反抗出来ないような支配的な雰囲気を纏っている。


「お前…」


リカルナは1人の少女を見付けると、ポツリと呟いた。


目が合ったジュリアは、頬を染め恥ずかしそうに目を泳がせていた。

段々と近付いてくる。

近付いてくるにつれ、胸の鼓動は大きくなる。


ーあぁ、私が『嫁』として選ばれるんだわ。こんなカッコイイ旦那がいて何不自由なく一生を過ごせるんだわー


期待を胸に抱きながらリカルナから目が逸らせない。


だが、そんなジュリアの横を通り過ぎ、後ろに隠れていたエリサの元へとやって来た。

そのままエリサの腕を掴み引き寄せながら、首筋に顔を埋めた。


「お前…いい匂いがするな…」


自らの匂いを嗅がれ、低い少し掠れたような声が耳元で直接聞こえる声にエリサは顔を赤く染めた。


「決めた。俺、こいつにする」

「畏まりました。では、ドゥーイット様…屋敷までお送りします」


ジュリアは男の言葉が分からないのか、ドミニク、そしてリカルナとエリサの顔を順番に見比べた。


「じゃあ私も…」


エリサは2人に付いて帰ろうとしたが、リカルナに腰を引き寄せられ、歩く事が出来なかった。


「お前はここで暮らすの」

「え?」


目を見開き、まだ意味が分かっていないエリサにドミニクは微笑みながら「貴方はリカルナ様に選ばれたのですよ」と言って説明をした。


「選ばれた…?」

「言葉の意味通りさ。お前は俺の『嫁』としてここで一生暮らすんだ」


リカルナはエリサを離さないように腕の力を強めら耳元で呟いた。


そんな様子にジュリアは納得のいかない顔で「なぜ………何故私じゃないの!?エリサはドゥーイットの者でも何でもないじゃない!ただの使用人よ!」と叫ぶとリカルナは睨んだ。


「俺が誰を選ぼうがお前には関係ない。ま、俺以外の(しょくりょう)になるんだったらここに置いてやってもいいけどな。ここにはお前みたいな奴を必要としている奴が沢山いる」


言うと興味が無くなったのかジュリアの事を目もくれず、エリサの腰を支えながらベッドへと向かった。


「うそ……うそよ……私が選ばれるはずなのよ……どうして使用人如きが…」


ブツブツと「うそよ」「有り得ない」と呟きながらその場に崩れ落ち、泣き出してしまった。


リカルナは軽く舌打ちをすると、指をパチンッと鳴らした。

すると、何処からかスーツケースを持った男が現れ蓋を開けた。

中には大金が入っていた。

一生遊んでも暮らすことが出来そうな額だ。


「それで新しい使用人でも雇えよ。その代わりこいつはオレが貰う」


それだけ言うとエリサをベッドへ運び、自分の足の間に座らせた。


男に「早く連れて行け」とだけ言うと、興味を無くした様に目もくれず、エリサの耳に口付けた。


「お前はもう逃がさせねえよ」


ジュリアの抵抗する声を聞きながら扉が閉まっていく。


扉が閉まるのを横目で確認しながら、ニヤリと不気味に笑った。

耳の形に沿うように舐めると、可愛らしい声が聞こえる。


「ね、俺腹減ってんだ。お前の血…頂戴?」

「ん…」


リカルナが首筋を舐めてきた。


舌の生暖かい感触と吐息で、エリサは身体が震えた。

そして……そのまま白い首筋に牙を突き立てた。


ブツリ、と皮膚が破れる感触が伝わる。


だが、不思議と痛みはない。

そこから真っ赤な血が流れてくる。

喉を鳴らし、血を飲んでいる感触と音が直接聞こえてくる。


耳が犯されているみたいだ。


エリサは震える手でリカルナの身体を押し逃げようとするが、びくりともしない。

逆にリカルナは腕に力を込め、離さないようにした。


「も、だめ……」


エリサは血を失いすぎた事により貧血になり、リカルナに凭れ掛かる様に気を失った。


「やっぱり…こいつは正解だったな」


腕の中で眠るエリサを見ながらリカルナは微笑んだ。

そのままエリサを抱き上げ、ベッドへ寝かせた。


「おやすみ、エリサ。俺の愛しい(しょくりょう)…」


額に口付けると、そのまま抱き締めるように横になり目を瞑った。

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