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プロローグ
吸血鬼…ー
それは日の無いくらい闇に行動し、人の生き血を求める、人の形をした化け物。
吸血鬼は人々が考えた架空の化け物のはずだった。
ただ、あるひとつの町以外は…。
その町では、吸血鬼が住んでいた。
それが何人いるのかは分からない。
ただ、その吸血鬼の当主は気品があり、誰をも従わせる雰囲気があるとの事だ。
姿を見た者はごく少数で、一度は見てみたいと思っているものも少なくはない。
吸血鬼は数年に一度、娘を1人連れていく。
表向きは『嫁』とされているが、吸血鬼かすればただの『食糧』にしかすぎない。
『嫁』に選ばれると不自由なく幸せな日々が待っていると言われている。
そのせいか誰もが吸血鬼の『嫁』になることを望んでいる。
今日もまた『嫁』として1人の娘が町から消える…。