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放蕩者まかり通る  作者: 淳
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6.レイナールの力(3)

取敢えず今日もノーチェックです申し訳ありません。

「おかあさん!おかあさん!!大丈夫???」心配そうというよりかは、不思議そうにタニーの顔を覗き込みながら訪ねるアニー。声を掛けられ、意識を取戻すタニー。


「んっ!私は・・・どうして私は寝ているのでしょうか?」寝ぼけた顔をして尋ねる、タニーを見て覗き込んでいた3人は笑い出してしまい。

「本当に、おかあさん、大丈夫???」と笑いながらもアニーには心配されてしまった。


 まだ、状況の掴めないタニーであったが、自分の横にある"精霊石"を見て、段々と状況が理解出来た様なのだが、


「魔力循環はどうなったのでしょうか?」戸惑いながら尋ねるタニーに、アニーが一生懸命、説明するのだが、要領を得ないのでマリナが補足していた。


 二人の話を聞きながら、レイナールは何となく状況を理解していったが、タニーは二人の話を聞くほどに混乱していった。


「タニーに、何か身体の中から、引っ張り出されたと思ったら、今度は、何か温かい物が入って来て気持ちがよかったから、それを身体の中に流したら、どんどん気持ち良くなるし、なんか楽しくなったから、ぐるぐる回しちゃったんだけど、ダメだった」申し訳なさそうに、言うレイナール。

「こちらこそ、申し訳ありません。私がコントロールするべきだったのですが、あまりの魔力量とその優しい魔力に、どうも眠ってしまった様です。そして、レイナール様に魔力を循環して頂いたおかげで、なんだか爽快な気分です」頬を赤くしながら少女の様に恥じらうその顔は、思い過ごしか幾分艶やかに見えた。

「魔力のオーラを纏ったとなると、魔力量は相当なもので、それは私の魔力ではなく間違いなくレイナール様の魔力です。それが何色にも変化し、最後は虹色になったとしたら、これは飛んでもないことです」今度は、興奮気味に捲し立てるタニー。


 タニーもいつしか、様付けになってしまっていた。


「奥様、申し訳ありませんが、魔力量は奥様の方が私に比べて、圧倒的に多いので、今度は奥様と魔力循環して頂けませんか?私も見て確認したいことがありますので・・・」と、マリナにお願いするタニー。


 手を取り合う、マリナとレイナールは、同じ様に魔力を循環させるのだが、今度は少し違うことになった。二人を虹色のオーラが包みそれがゆっくり流れる。ここまでは然程、違いは無かったのだが、今度は、二人の廻りに、白や赤、黄色の光の玉が回り始めたのである。その玉はどんどん増え、8色の光の玉が二人の廻りをまるでじゃれ合っているかの様に飛び廻っていた。

 タニーに抱かれた、アニーは先程にも増してはしゃぎ、光の玉を追いかけ始めた。そして、勢い余って、レイナールたちの輪に飛び込んでしまった。 

 すると、アニーの身体にも虹色のオーラが纏わり付き廻り始め、アニーの廻りのも、新たに赤、緑、青、黄色の4色の光の玉が舞始め、アニーは更に、はしゃぎ廻った。

 レイナールたちから離れた、アニーの身体からは虹色のオーラは消えたが、4色の光の玉は、消えること無く、飛び廻りアニーと遊んでいるかの様であった。

 しばらくして、レイナールたちを包むオーラは消えたが、こちらも光の玉は消えず8つの玉が飛び廻っていた。そして、マリナも崩れる様にレイナールに倒れ込んでいった。辛うじて、レイナールはマリナを受け止めた。タニーと言えば、マリナが倒れるのを見ても、反応すら出来ない程、あまりの美しさに、心を奪われてしまっていた。

 そこへ、勢いよくダインが飛び込んで来た。畑仕事を終えたダインは、畦に腰かけて休んでいたのだが、家がうっすらと光り出したので、慌てて帰って来たのであった。ダインはまた、眼を疑う光景を目の当たりにして、固まってしまった。レイナールに膝抱きにされているマリナ。そのマリナを不思議そうに眺める、レイナール。寄り添う様にして同じ様に不思議そうな顔をするアニー。三人の廻りを飛び交う光の玉たち。そしてどこか虚ろなタニー。


「タニー!しっかりしろ何があった!!!」昨夜からの色々でかなり参っていた、ダインは惚けている妻のタニーに叫んだ。


「あら、あなたお帰りなさい」まだ虚ろなタニーは、間の抜けた返事はしたものの、惚けたままであった。あまりの妻の色気に、ダインの喉が小さくなったのは愛嬌である。

「ただいま戻りました」妻の出迎えにダインも無意識に間の抜けた返事をした。


 しかし、マリナの顔を覗き込んだ途端に、また、ダインの喉が鳴った。その音は、先程よりも少し大きく感じたのも愛嬌である。レイナールの膝の上にある、マリナの顔は、女神の様に神々しい寝顔であり、この世の者とは思えない程の美しさであった。

 元々、マリナもタニーも絶世の美女と言える程の美人であり、当然美人慣れ?しているはずのダインだが、今の二人は別格であった。やっと我に返った、タニーもやってきたが、なぜかタニーは、いきなりダインの太ももを抓り上げ、ダインを慌てさせた。顔を真っ赤にしている両親に、


「どうして、おとうさんとおかあさんは真っ赤なの」とアニーが問いかけたので、二人は見つめ合い更に顔を、赤くした後に今度は、お互いに顔を背けた。その夜、新たな命が育まれたのは、また、別の話である。


 取敢えず、マリナを起こし、艶が出た以外に異常がない事を確認し、タニーは夕食の準備に掛かり、ダインは家畜の世話と農具の片付けをしに裏庭に向かった。

 残った、レイナールとアニーは、そのまま、光の玉と遊び、マリナはその二人を不思議そうに眺めていた。


「ねぇ、レイナールこの光の玉ってなんだか解る?危なくないの?」マリナは、遠慮がちに尋ねた。

「危なくないょ、妖精さんだょ、可愛いでしょ」マリナの問いに、アニーが答えたのだが、あまりの答えにまたまた、固まってしまった。

「妖精さん?レイナールこの光は妖精なの?」戸惑いながらも、しっかりとレイナールに問いかけた。

「んっ、こっちは精霊さんだょ。妖精さんはアニーの処の4人だけだょ」無邪気に微笑みながら、不思議そうに答えた。

「タニー!タニー!!ちょっとお願いこっちに来て」おおきな声を出してタニーを呼ぶ。


 マリナの大声など聞いたことがなかったタニーは、慌てて居間にやって来た。後から、大声を聞きつけた、ダインも外から駆け込んで来た。


「こちらが、妖精さんで、こちらが精霊さんらしいのだけど、どうしましょう?」自分で言っていても、訳が解っていない様なマリナを心配そうに見つめる二人。


「この娘が、イグニちゃん」アニーがそう言うと、アニーの両手の上で赤い光の玉は"ぽんっ"と弾けて、可愛らしい女の子に変わった。その娘の背中には、蝶の様な形の透明な羽が生えていて、アニーの手の上に浮かんでいた。


「「きゃっ」」「うぉっ」大人3人は声ともならない変な音を発し、固まってしまった。

「この娘は、ウェンちゃんで、こっちがアクアちゃん、そしてこの娘が、フムスちゃん」嬉しそうに次々と妖精の名前を呼ぶアニー。

「みんな、御挨拶しましょうね」まるで、ままごと遊びでもしているこの様に、楽しそうに、妖精たちに声を掛けるアニー。

「イグニです」「ウェンです」「アクアだょ」「フムスでしゅ」可愛らしく次々と挨拶をする妖精たち。

「まぁまぁ、これはご丁寧に、私はマリナ。この家の主で、そこにいるレイナールの母です。よろしくお願いしますゎ」丁寧に挨拶をし、スカートの裾を軽く持ち上げ、所謂カテーシーを優雅に決めた。

「私は、マリナ様に仕えるダインと申します。そこにいるアニーの父です」とダインは、片膝を着き、右手を胸に、左手を後ろに回し、頭を垂れる、騎士の最敬礼をして見せた。

「同じく、アニーの母です。よろしくお願いします」タニーはメイドらしく、手を前で合わせて深々とお辞儀をした。


 見慣れない、大人たちの姿を見たアニーは、喜んでますますはしゃぎ廻っていた。


「あれ、レイナール、精霊様たちはどうされたの?」いつしか、精霊と言われた光が、消えていたのに気づいたマリナがレイナールに尋ねた。


 どうも、精霊は顕現すると、ほぼレイナールたちと同じ大きさになってしまうので、ここでは狭すぎるのと、顕現した後の姿を維持出来る霊力が無いとのことで、精霊界に戻ったらしい。

 取敢えず気を取り直した、大人たちは、夕食をすることにしたが、妖精の食事をどうしていいのか解らずに、アニーに聞いた。妖精曰く、本来、食事の必要はないが、食べることは出来るので、人族の食事に興味があるので、少し食べて見たいとのことで、少しづつ、分けたところ、あまりのおいしさに大騒ぎになってしまった。騒がしいが、楽しい食事を済ませ、今後どうするかを妖精たちに尋ねたところ、みんなこの家と、アニーたちが気に入ったので、一緒に住み、色々と協力してくれることになった。


 私"零"には、もちろん『適正』や『魔法』ましてや『妖精』の知識は無い。あくまでも、フィクションでの知識なら、有名なティンカー・ベルなどは当然知ってはいるが、この世界で役に立つ知識ではないだろう。"レイナール"の知識から考えると、イグニは【火】ウェンは【風】アクアは【水】そしてフムスは【土】の属性を持つ妖精らしい。


 妖精たちと、楽しそうに遊ぶ、レイナールとアニー、それを微笑ましく、眺める親たち、やっと訪れた安らぎの時間を大人たちは、のんびりと味わっていた。

 すると、マリナと目があった、レイナールが近寄って来た。


「結局、僕は魔法を使えるの?」レイナールが爆弾を落とした。



 

誤字脱字、特に表現方法教えて下さい。

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