1 或る昭和の中学生
できれば群像劇にしたいな、と思っていますが見切り発車です。
読んでくださる方がそれなりにおられたら続けるし、そうでなければ早々に打ち切ろう。
そう思っています。
これまで、自分の書きたいことを書く。という姿勢で色々書いてきました。
自分はこれまでどんなことを考えてきたか、自分にとっての記録保管という意味もありました。
もういいかなと思いましたので、これからは、どういうことを書けば、読む人に面白いと思っていただけるのか、その意識をもって色々試してみようかな。
そんなことを考えております。
モットーは、「自分を出すのはやめよう」
ですかね。
自分の女の子の趣味は、かなり変わっているのだ。
要くんが、そのことをはっきりと自覚したのは中学生のときだった。
多くの人に「可愛い」「綺麗」と言われている女の子に、さほど魅力を感じないのだ。
美の基準が人と違うのか、そんなことも思ったが、「可愛い」「綺麗」と評されている女の子については、要くんも同じように感じるので、美意識はごく普通なようだ。
なぜだろう。
要くんは、思った。
このことは、これから長く続くであろう自分の人生にとって、かなり影響のあることなのではないだろうか。
要くんはそう思ったので、自分の女の子の趣味について自己分析してみることにした。
可愛い子は、やはり男の子に人気がある。
クラスの男の子たち、クラブの男の子たちと、
「どの子が可愛いか」
という話題に加わると、そこで出てくる女の子の名前はだいたい決まっている。
そこで出てくる女の子については、要くんもやはり可愛い子だと思う。
でその時、要くんはこう思ってしまうのだ。
「これだけ男の子に人気があるのだったら、別に僕でなくてもいいわけだ」
要くん自身も美少年とは言えない。
そのことも自覚している。
が、客観的に見ても、まあまあかな、と思える程度のルックスではある。
学校の成績もクラスのトップではないが、トップクラスではある。
スポーツについては、軟式テニスという学園ドラマではほとんど登場することのない競技ではあるが、去年の秋、市の大会で準優勝した。
そして要くんは、周りに、きちんとした礼儀正しい男の子と思われている。女の子の中でそこそこには人気があるようだ、ということも感じていた。
去年、要くんは生まれて初めて、女の子とデートの真似事のようなことをした。
だいたいの男の子は可愛いと言うであろう女の子だった。
向こうのほうから誘われた、と言っていいであろう。
ふたりで会っている間、あまり楽しくなかった。居心地がよくなかった。
何だか変に緊張してしまうのだ。
別れ際、その女の子に
「新田くん、あまり面白い男の子じゃないんだね。私といて楽しくなかったんだね」
と言われてしまった。
「ううん、そんなことないよ。ごめんね」
と答えたが、
その女の子から、もう声をかけられることはなかった。
そのことに、要くんは何だかほっとした。
要くんは中学三年生になった。
クラスも新しくなった。
そろそろ彼女がほしいな。
要くんは思った。