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【書籍化】6歳の賢者は日陰の道を歩みたい  作者: 斧名田マニマニ
3章 王立学園に入学する
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エピローグ 新生活のはじまり

「な!? そんな……魔力切れだって……!?」


 ヒューイは、あからさまに取り乱しはじめた。


 実を言うと、戦闘がはじまるのと同時に探知魔法を発動させて、ヒューイの魔力量の減少を確認していたのだ。

 彼の頭上に表示された魔力量はいま、0になっている。


 当たり前だ。

 いくらなんでもあんなに打ちまくっていては、子供の魔力量なんかすぐに尽きてしまう。

 魔力量はレベルに合わせて増えるものだ。

 ヒューイがいくら名門一家の生まれで、魔法の才能があったからって、六歳の子供があげられるレベルなんてたかがしれている。


 僕もそのことは身に染みてわかっているからね。

 最初からこれを狙っていた。


「魔法、使えなくなっちゃった?」

「く、くそ」

「あっれー? さっき言ってたよね? 魔法が使えない人間に価値はないって。いまの君ってもしかして」


 ヒューイの顔から、さあっと血の気が引いていく。

 見開いた目は、恐ろしいものを見るかのように僕を凝視していた。

 そのとき、ちょうどいいタイミングで予鈴を告げるチャイムが鳴った。


「教室戻ったら? もう君にできることは何もないんだし」

「くそ! 覚えてろ……!」

「わあ、待ってよ、ヒューイ!」


 まさに負け犬の遠吠えだね。

 ヒューイと取り巻きたちは、逃げるようにしてAクラスのほうに駆けていった。


 これで一応、一件落着かな?

 さて僕も教室に――。


「す……すごい!」

「ほんと、すごいよっ!」

「あのいじめっ子をかっこよく追っ払っちゃうなんて!」

「わあ!?」


 僕の周りにFクラスの生徒たちがわっと群がってくる。

 メイジーを中心に、次々言葉をかけられた。


「エディくん、スポーツ万能なの!? 魔法のボールを簡単によけちゃうんだもん!」


 しまった。

 撃ち返すわけじゃないしいいやって思ってたけど、魔法を避けるなんて、確かに普通の子供じゃ不可能かも。


「えっと……その……。ぼ、僕の家ではいつもああいう特訓をしているんだ!」

「すごーい! あのいじめっ子も追い返しちゃったし」

「すごくなんてないよ。あいつが勝手に自爆してくれただけだし」

「でも全然怖がってなかったよね?」

「え!? い、いや、そんなことないない。すごくこわかった!」


 引き笑いをしながら必死に主張する。

 かなり無理やりな誤魔化し方でも、子供たちはさすが素直だ。

 あっさり信じてくれた。


「あ、あの……エディくん。こわかったのに庇ってくれたんだね。本当にありがとう」


 進み出てきたのは、苛められていた気弱な少年だ。


「エディくん、僕より小さいのにすごいよ」


 そんなにチビなのかな僕。

 ヒューイにも指摘されたし。

 ちょっと気になってきた。

 でもまだ成長期だから大丈夫なはずだ。


「ありがとう」


 少年に手を握られて、僕は驚いた。


「僕、あいつにいじめられて怖かったけど、でも君みたいな友だちができたからよかったよ……」

「え……と、友だち?」


 思わぬ言葉にきょとんとしてしまう。


「あっ、ごめん。嫌だったかな?」

「いや、びっくりしただけ」

「じゃあ友だちになってくれる?」

「……う、うん」

「僕も君が困ってるときは助けるからね。本当にありがとう!」

「私も友だちになりたいな」

「僕も!」

「私も!」


 メイジーや他の子たちも次々名乗りをあげる。

 どう反応したらいいのかわからなくて、僕はぎこちなく笑い返した。


 だって友だちって。

 前世の頃憧れていた友だちが、ついに僕にもできたのだ。

 なんだろ、このほわほわした感じは。


「あ、本鈴のチャイムだ! エディくん、いこう!」


 そう言って、少年が手を差し伸べてくる。

 僕はちょっと戸惑いつつ、その手を握り返した。

 わいわい騒ぎながら、クラスメイトたちと一緒に教室の中に入る。

 そうだ。みんなの名前、あとで聞いておかなくちゃ。


 こんなふうにして、ちょっぴり騒がしい僕の学園生活がスタートしたのだった――。

これにて本編完結です!

ここまでお付き合いいただきありがとうございました!*.(๓´͈ ˘ `͈๓).*

新作については、↓にアドレス載せてます。

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『幼馴染彼女のモラハラがひどいんで絶縁宣言してやった』
https://ncode.syosetu.com/n0844gb/

【あらすじ】
一個下の幼馴染で彼女の花火は、とにかくモラハラがひどい。

毎日えげつない言葉で俺を貶し、尊厳を奪い、精神的に追い詰めてきた花火。
身も心もボロボロにされた俺は、ついに彼女との絶縁を決意した。

「颯馬先輩、ほーんと使えないですよねえ。それで私の彼氏とかありえないんですけどぉ」
「わかった。じゃあもう別れよう」
「ひあっ……?」

俺の人生を我が物顔で支配していた花火もいなくなったし、これからは自由気ままに生きよう。

そう決意した途端、何もかも上手くいくようになり、気づけば俺は周囲の生徒から賞賛を浴びて、学園一の人気者になっていた。
しかも、花火とは真逆で、めちゃくちゃ性格のいい美少女から、「ずっと好きだった」と告白されてしまった。

って花火さん、なんかボロボロみたいだけど、どうした?
+注意+

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