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【書籍化】6歳の賢者は日陰の道を歩みたい  作者: 斧名田マニマニ
3章 王立学園に入学する
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31話 エディVSいじめっ子

「みんな下がってて。危ないからね」


 周囲を見回してそう伝えると、他の子たちは慌てて後退した。

 僕とヒューイを取り囲むように、生徒たちの輪ができる。


「なめやがって……!」


 ただこの生意気な少年を倒せばいいわけじゃない。

 それならずっと話は単純だった。

 Fクラスの実力を装って対処するとなると、結構頭を使う。


「これでも食らえ!」


 ヒューイが水魔法を詠唱する。

 今回で三度目。

 僕は邪魔をせず、彼の望むとおり撃たせてやった。

 ヒューイの掌に現れた水魔法はボールほどの大きさまで膨れ上がった。


「いっけえーッ!」


 青くてぶよぶよした水色の球を、ヒューイが勢いよく投げつける。

 当たれば相当痛いだろうし、突き指か打撲くらいにはなりそうだ。


 さすがはAクラス、この年齢の子供にしてはすごいね。

 とくにヒューイは、名門一家の出。

 魔法の才能は、血の影響を大きく受けるのだ。


 さて。

 一発なら体を捻ってかわせる。

 だけどヒューイもそのぐらいは承知していた。

 彼は間髪入れずに二発目、三発目の水魔法を放って、僕を挟み撃ちにしてきた。


「どうだ! 俺様得意の水球戦法は!」

「得意な攻撃で、相手をいやらしく追い詰める戦法か。さすがだね、ヒューイ!」


 取り巻きの少年が、目をキラキラさせて声援を送る。

 もしかして今の褒めてるつもりなの?

 でも確かに、ちゃんと頭も使って戦っているのはわかる。

 普通の子供が相手なら、Fクラスじゃなくてもヒューイの魔法に翻弄されていただろう。


 そんな相手を、どうしたらFクラスっぽくやっつけられるかな。

 そんなことを考えつつ、僕は迫ってきた水球をふわっと避けた。


「……? どうしたんだ? 全然エディくんに当たってないぞ……?」

「本当だ……どうして?」


 Fクラスの子供たちが、不思議そうに、でも明らかに喜びながら声を上げた。

 対照的に、ヒューイの表情は曇った。

 訝しげに眉をつり上げ、ふんっと鼻を鳴らす。

 自分の中に生じはじめた戸惑いを払しょくするように。


「どうせまぐれに決まっている。これならどうだ。食らえ! 食らえ食らえーッ!」

「あっ……。危ない!」

「エディ君、逃げて!」


 苛められていた子たちやメイジーが、僕のため、必死に叫んでいる。


 四方八方を囲み、一気に押し寄せてくる水の球。

 僕は短く息を吐き出して、無詠唱で風魔法を発動させた。

 ただし、この場にいる誰もが気づけないほど、瞬きより速い短時間だけ。


「な……っ!?」


 風はその一瞬で、バリアのように水球をすべて叩き落した。


「そんな……。僕の水球が消えた……? な、なんで……? く、くそっ!」


 ヒューイは動揺のあまり、正常な判断ができなくなっていた。

 ひどく慌てて、馬鹿の一つ覚えみたく、また水魔法を放とうとしたのだ。


「君ってぜんぜん自分のことが見えてないんだね」

「なに……!?」

「だって」


 僕はすっとヒューイの顔を指さした。


「もう切れてるよね? 魔力」

次回の更新は5月7日です

そこで一部が終わるので、一旦完結となります!(*ˊᗜˋ*)

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こちらもよろしくお願いします( *ˊᵕˋ )

『幼馴染彼女のモラハラがひどいんで絶縁宣言してやった』
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【あらすじ】
一個下の幼馴染で彼女の花火は、とにかくモラハラがひどい。

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しかも、花火とは真逆で、めちゃくちゃ性格のいい美少女から、「ずっと好きだった」と告白されてしまった。

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