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友達の彼女の告白を断ったら、お断り屋にスカウトされました!  作者: なつのさんち


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新たな決意

「旦那様、朝でございます」


 あ、そうか。瑠璃るり牡丹ぼたんと3人で浮気がバレてそのまま3人プレイして寝てしまったんだった。

 左右にはそれぞれ瑠璃と牡丹の温もりがある。

 紗雪さゆきは俺だけを起こしに来たのか……?


「だ、旦那様? 朝でございます」


 ん? おかしいな、さっきと声が違う気がするが……。

 声の方向を見ると、メイド服のスカートが見えた。2人?

 あぁ、この2人か。


「おはよう、紗雪さゆき夏希なつき。朝から素敵な格好をしているな。

 さて、風呂は沸いてるんだろうか」


「このお屋敷は24時間入浴可能となっております。ささっ、奥様方が起きられる前に参りましょう」


 身体を起こした俺を引っ張るように手を引く紗雪。

 夏希は未だもじもじしたまま恥ずかしそうにしている。

 そんなに恥ずかしいならメイド服なんて着なければいいのに。


「紗雪、このメイドは新人か? どこか落ち着きなさそうにしているが」


 ベッドの端に腰掛けたまま、夏希のスカートを捲り上げる。

 ひゃぁ!? とか変な声を上げている新人メイド。今日も黒か。


「はい、教育が行き届いておらず申し訳ございません。

 ほら夏希、旦那様に失礼がないようにしないと」


「は、はい。申し訳ございません……!!?」


 スカートから手を離し、そのまま柔らかさを確かめる。

 メイド服を着ているだけで、夏希もすっかりメイドモードに入っている様子だ。

 さすが女優といったところか。


「旦那様、奥様方が起きられる前に……」


 そうだったそうだった、この2人が起きたらまたやっかいな事になりそうだ。

 さっさと風呂へ行こう。



 お遊びはここまで、との事で紗雪と夏希がメイド服を脱ぎ、そのまま3人で湯舟へと浸かる。


「夏希、昨日は姫子ひめを任せて済まなかったな、助かったよ。

 賢一けんいちさんとも、瑠璃と牡丹ともゆっくりと話す事が出来た、ありがとう」


「うん、まぁ一緒に寝ただけだけどね。今もまだ寝てるよ」


 そうだろうな、起きていたらメイドさんが3人になっていた事だろう。

 でもまだひめには別の嫁と寝ているところを見られるのには抵抗があるな。今後の課題としておこう。


「で、おぇと牡丹ちゃんとはちゃんと話せたの?

 朝の様子を見る限り決着はついたんだろうけど」


 う~ん、決着がついたと言っていいんだろうか。


「とりあえず俺の想いは伝えられた。誰かがハーレムの犠牲にはならないようにしたいという事。そして流された結果とはいえ、俺は経営者として色々と勉強して行かなければならないという事。

 だから、直近で考えなければならないのはトプステをどう使うかだな」


 アイディアはある。


 企業に株主になってもらい、接待や福利厚生的な使い方をしてもらう事で、まだお客様アクトレスデビューしていない女性もお断り屋のお店に足を運んでもらう機会になるだろう。

 そんなデビューしていない女性向けに、人がプレイしているのをモニター越しや実際に生で観覧出来るようにする。食事やお酒を飲めるようにしておき、飲食代としてお金を払ってもらう形式を作る。

 飲食代として収益があるのはもちろんだが、デビューしていない人が実際にプレイを見る事によって、自分もアクトレスとしてプレイしてみたいと思って下さるキッカケを作る事が出来る。

 トプステでは初心者でもプレイしやすいシチュエーションを何らかの形で提示しておき、まずはアクトレスとして経験を積んでもらう。

 そしてある程度アクトレスランクが上がれば、上手くスペックスへと誘導する。

 そのような道筋を作っておけば、初心者と経験者の棲み分けが出来て、さらにトプステとスペックスが競合する事がない状況を作る事が出来る。


「じゃあさ、スペックスを高ランクアクトレスしか入店出来ないような特別な店にしてしまうってのはどう?」


 さゆが俺のアイディアを受けて、さらに提案をして来る。が、それはどうだろうか。


「すでにスペックスでデビューして、今も通い続けておられるアクトレスもいっぱいいるだろう? その方々もすでに新規顧客を連れて来てくれていると思うんだ。口コミ的な感じでな。

 だから今さら一見さんお断りにはしたくないんだ。高ランク専用のお店を作るのであれば、別に用意するべきだと思う」


 例えば、新しくお店を作りましたよぉ~と声高々に宣伝するのではなく、スペックスサイドで選び、限られたアクトレスのみに招待状インビテーションを送る、とか。


「なるほどね、それならすごく高級感が増すね。私は選ばれたアクトレスなんだ! ってテンション上がるかも」


 夏希が同意してくれる。

 が、まぁ高級路線のお店を出すなんて予定はないんだけれど。あくまでアイディアである。


「そうね、その辺りの話はお姉ぇ達がいる時に詰めた方がいいでしょうね。

 それよりも……、ひめちゃんの事、どうするつもり? 最初は何か企んであのキャラを演じているのかもって疑ってたけどさ、結局は地のキャラとそう変わりはなかったじゃない? 本当に純粋無垢そうだし。彼氏がいた事がないってのは確認済みよ。

 ハーレムがどんなモノなのか理解しているかどうかまでは聞いてないけど、もしかしたら分かってないかも知れない」


 あぁ、それは早急にどうにかしないとな。


「え~? でも優希ゆうきに『愛して』って言ってたじゃん。どんなモノかは分かってるでしょ。異性として意識してるはずよ。

 お風呂に突撃した時も、本当に入るの? って私に確認してたし。ちょっとだけ焦ってた感じだったよ?」


「それなら近々ひめちゃんと2人きりになる状況を用意してあげるわ。後になればなるほど、大切に思えば思うほどやりにくくなるかも知れないでしょ?

 ひめちゃんを特別視すれば、その分だけ本人が疎外感を感じるかもよ」


 なるほどな、確かにそうかも知れない。疎外感か、考えてなかったな。


 そう言えばあの後、基夫もとおさんは爽やかに、スッキリした様子で宮坂みやさか家を去って行ったが、ひめの事は置いて行ったんだな。

 シスコンっぽいあの人がそう簡単に1人で帰るようには思えないのに。


「あぁ、ひめちゃんったら一緒に帰ろうってお誘いをガン無視してたよ。それがよっぽどショックだったのか、タクシーが来る直前まで凹んでたもの。

 あたしから見てもちょっと可哀そうだったなぁ」


 そうだったのか、ひめは基夫さんには辛く当たるんだな。内弁慶ってヤツだな。


「そう言えば夏希、優希に奴隷が出来たのよ、それも一番年上の24歳の。

 優希が殴られる直接の原因を作った人なんだけどね」


「え~!? 何でそんな人をハーレムに入れる訳!!?」


 夏希が怒っている。別に俺が進んで奴隷にした訳じゃないんだけど……。


「ハーレムに入れたんじゃないのよ、優希の奴隷だってだけ。一応うちに来るか誘ったんだけど、奴隷が奥様方のご実家に行くわけにはってお断りされたんだ。 

 あと、何か色々アパートの部屋に荷物が届く予定だからって言ってたな」


 そうそう、だから夏希と会う機会はあまりないような気がする。色々とスパイとしても動かすつもりだし。


「ふ~ん、それはそれで何か気になるな~」


 いやいや、お気になさらず。



 ふぅ、ゆっくりと浸かり過ぎた。

 前では夏希、後ろでは紗雪がそれぞれバスタオルで、仁王立ちしている俺の身体を拭いてくれる。朝からいつぞやの王様プレイだ。

 夏希まで口調がメイドになるのは新鮮でいいのだが、夏希に向かって家具がと言うと恐らく怒るので止めておく。

 夏希も紗雪もメイド服ではなく私服を着る。宮坂みやさか家のシェフが朝食の用意をして下さっているようなので、このまま食堂へと向かうようだ。



 さて、これからの課題が山盛りだ。

 経営者としてどう立ち回るのか、トプステをいくらで買収するのか、お断り屋の新たな可能性は、そしてその先にあるリアルダンジョンをどのように実現するのか。

 これからは与えられた立場をただ何となく演じるのではなく、自らこうあるべきだという理想の元、自分なりに足掻いて進んで行こうと思う。


 ハーレムは世間的には認められていない。

 しかし、賢一けんいちさんのように富・地位・名誉を持っている男性であれば、世間は何も言わない。言えないのだ。

 そう、俺は誰にも文句を言われないよう自分を高めて行けばいい。

 そして、堂々と嫁達と仲良くしていればいいのだ。


 こんなに美人で、可愛くて、誰もが羨むような嫁達をはべらしていても、誰も俺に文句が言えないような人物になればいい。

 それがハーレム全員で幸せになるという事なんじゃないだろうか。


 そのような意気込みを抱えながら食堂の扉をくぐる。


「ちょっと優希君、お風呂行くなら何で一声掛けてくれないの!? 背中流してくれるって約束でしょう!!?」


 あ、花江はなえさん、おはようございます。


「しょうがない、それじゃあ今から3人で入ろうか」


 あ、賢一さん、お断りします。






次話は金曜日から投稿予定です。

今後ともよろしくお願い致します。


11/7 表現加筆・誤字訂正致しました。ご報告感謝致します。

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