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友達の彼女の告白を断ったら、お断り屋にスカウトされました!  作者: なつのさんち


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カラオケ大会

感嘆符後のスペース追加、三点リーダーを偶数に変更、ルビ等その他追加修正



 でハーレムの結束が高まったとは言え、このままみんな纏めて抱いてやるぜ! って流れにするにはさすがに人数が多い。

 姫子ひめとの初めてもこんな状況でってのはダメだろうと思ったので、真面目な流れに戻そうかと思う。


「結束が高まったのはいいんだけど、無理して女同士裸のお付き合いする必要ないからな?

 俺もどっちかと言うと1人ずつの方がいいし……」


 嫁達を気遣うフリして本音を吐露とろする。

 複数同時の場合、誰を一番に相手するかとか考えながらってのは辛いモノがあるしな。


「そうですね、さすがに5人同時ではあぶれてしまう人もいるでしょうし、もっと優希ゆうき君と一対一で過ごせる時間をそれぞれ取れるよう、私が正妻として調整しますね」


「おぇ、まだ正妻権限はあたしにあるんだけど」


「あら、じゃあ紗雪がスケジュール立てて平等にハーレムを回してくれる?」


 うっ! と詰まるさゆ。

 そういう調整は得意ではないらしい。だからと言って俺を見てもどうにもならんとからな?


 瑠璃るりが俺の腕を取り、正妻権限を復活させるよう迫る。


「それぞれの嫁の一番の願いは、主である優希君との2人の時間を過ごす事。それがハーレムを上手く回していく条件だと思うんです。

 今の正妻さんはそれが出来ないそうなんですけど、どうしましょうか?」


「分かった、俺が瑠璃に言いたい事は伝えた。ハーレムを続ける事が一番重要なんじゃなく、俺の嫁達が辛い思いをしない事、そして楽しむ事が一番重要なんだという俺の気持ちを分かってくれたのなら、この時点で瑠璃を正妻に戻す」


 誰もハーレムに付き合わされないよう、自分で楽しんで、自分で選んで俺と付き合ってくれるのであれば、俺も嫌な思いをせずに済む。


「はい、アナタの仰りたい事は受け止めました。これからもどうぞ、よろしくお願い致します」


 こうしてさゆの三日天下が終わり、瑠璃が正妻としての地位を復活させた。

 まぁ正妻が一番偉いってワケじゃないし、一番愛されているって訳でもないし。

 そういう意味では何も変わらないけどな。みんなで楽しく過ごそうぜってのが再確認されたなら、とりあえずはそれでいいか。


 ハーレム大集合でゆっくり湯舟に浸かりながらキャキャウフフしていると、浴室のドアをノックする音が。

 次は誰が現れるのか……。


「皆様、お客様がお待ちですのでそろそろ娯楽室の方へお越し下さいませ。もう宴会が始まっておりますので」


 この声はメイド長のひかりさんだ。さっきからハーレムは一段階前進して良かったねみたいな空気だったが、今はそんなゆっくりしている場合ではなかったんだった。

 基夫もとおさんとの話もまだ終わってないしな。


「あ、石田いしださんほったらかしにして忘れてた……」


「え、何で夏希なつきのチーフマネージャーが来てるんだ?」


 スポーツ飲ポカル料CM撮影の後の仕事で一緒になって、そのまま石田さんがついて来たらしい。

 何かお小言を言われそうな予感……。それにしても宴会って何だ。



『押してぇぇぇ! また押してぇぇぇ!! それでもダメなら引いてみてぇぇぇ~、でもでもダメなら諦めろぉぉぉ~』


 うわぁ、基夫さんめっちゃ歌ってる。

 家に通信カラオケが置いてあるトコ初めて見たわ。


 しっかりロン毛茶髪に戻ってる基夫さんの歌声はめちゃくちゃ上手かった。吹っ切れるといいですね。

 石田チーフマネージャーがノリノリでピョンピョン跳ねてる。楽しそうで何より。


「やっと出て来たのね、私も入っちゃおうかと思ってたところよ」


「お待たせしました、花江はなえさん。また機会があればお背中流しますよ」


「ホントに!? じゃあ今から行きましょうか!!」


 いやいやいや、お断りします。


 娯楽室には立食用の料理がズラリと並べられており、ビュッフェスタイルで各自取って食べるように用意されている。さゆ、いや今は紗雪か。紗雪が料理を皿に乗せて持って来てくれた。

 そのまま花江さんと紗雪と3人で話しながら食事をしていると、基夫さんが歌い終えて俺の方へ歩いて来た。


「やぁ紗丹さたん君、いや優希君と呼ばせてもらおう。もう君に対してのわだかまりはないからね。同じ女性を愛した者同士だ。

 仲良くとは行かないだろうが、悪い印象を持ったままというのもどうかと思ってね」


 瑠璃と直接対峙し、そして賢一けんいちさんに思いの丈を聞いてもらった事で、過去との決別が出来たのだろうか。

 変わらず疲れたような表情の中にも、スッキリとした心情が窺える。

 気を利かせてか、花江さんと紗雪がそっとこの場から離れて行く。


「基夫さんのお陰で僕も思っていた事を瑠璃に伝えるいい機会になりましたよ。瑠璃は自分の理想ばかりで周りが見えなくなる事が多い。

 基夫さんのように、また誰かが辛い思いをする前に釘を刺す事が出来ました」


「そうかい、まぁハーレムについては未だ良くは思えないけど、君達全員がいいと言うなら外野が口を出す事でもないしね。

 そうそう、株の件は宮坂みやさかさんと話し合ってね、全部売る事にした。もうお断り屋業界から足を洗うよ。

 1つの企業を軌道に乗せた経験を生かして、何かしたい事をなせと励ましてもらってね。

 これから俺に何が出来るか、ゆっくり考えてみるよ」


 賢一さんから何か助言をもらったようだ。過去に縛られず、未来を生きろといったところか。


 離れて行った紗雪が瑠璃を連れて戻って来た。紗雪が瑠璃の背中を押し、基夫さんと対面させる。


「基夫さん……、その、禄に説明もしないまま、無理やりハーレムに付き合わせようとしてしまい、申し訳ありませんでした……」


 そう言って深く頭を下げる瑠璃。基夫さんがにこやかに笑い掛ける。


「もういいんだよ、君に反発した事がきっかけで、起業して形に出来るまでの力が俺にはあるという事を知った。何事も経験だね。

 そして失恋も経験だ。その経験を生かして、俺は先に進む事にするよ。

 ……、今の君が幸せならばそれでいい」


 先ほどとは打って変わって饒舌な基夫さん。

 賢一さんと酒を酌み交わしたからか、それとも本当に吹っ切れたからか。


「優希君に叱られました。基夫さんはちゃんと私の事を見ていてくれたのに、って。

 それなのに私は……」


 苦笑いしながら、基夫さんが瑠璃の言葉を制する。


「それ以上は言わないでほしいな、もう分かってるから。

 でも、優希君がそんな事まで君に言うんだという事が分かってホっとした気分だ。僕は君の考えが分からないからと君の元を離れてしまった。けれど優希君は君と分かり合おうとしている。

 ……、俺には出来なかった事だ。彼を大切にしないとね?」


 はい、と頷く瑠璃。


 これで2人の間にあったわだかまりが完全になくなったわけではないだろう。

 それでも、基夫さんは明日からまた違う気持ちで過ごす事が出来るんじゃないだろうか。



「瑠璃ちゃん、この方を紹介してくれないかしら?」


 石田さんが頬をほんのり赤くしながら近寄って来た。赤くなっているのはお酒を飲んだからか、はたまた基夫さんの歌声のせいか。

 ってか石田さんも同じ大学だったはずだけど、瑠璃の元カレだとは知らなかったんだな。


「この方は橋出はしいで基夫もとおさんです。お断り屋業界2位のTop Statu(トプステ)sのオーナーです」


 元カレだとは伝えずトプステのオーナーとして伝える瑠璃。

 う~ん、それでいいんだろうか。いや良くないだろう、俺から石田さんに伝えようとすると、ステージから呼ぶ夏希の声が聞こえた。

 直後、よく2人で歌う曲のイントロが流れ始める。


『早く早く!』


 そんなに急かさなくても大丈夫だろ、先にお前が歌うパートなんだから。


『外の雨音を目覚ましに アナタの瞼がそろりと開く 目と目が合った瞬間 ニコリとほほ笑み二度寝する♪』


『あとで起こして~ もう少しあとで起こして~ 味噌汁の匂いで起こして~』


 気になってチラリと見ると、基夫さんはまたお酒を飲んでおり、石田さんは何故かスマホをこちらに向けている。ずっと向けたままのところを見ると動画を撮っているんだろうか。


 そんな事してないでもっとアピールすればいいのに。



 俺達が歌い終わった後も代わる代わる誰かがステージに立ち、カラオケ大会は大いに盛り上がった。




いつもありがとうございます。

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